交換条件は……俺?
「う…ぁあ……」
「おぅ……何だ! 急に出現したよな」
気配もなく、ユウの隣に男のゴーストが現れた。爺さんのゴーストとは違って、まともにしゃべれる感じじゃない。NPCというよりも野良魔物に近い? 一応、街の中に野良魔物が出るのは、シンリーみたいに隠しダンジョンがあったりするのか? それもユウに攻撃するというよりも、すがるようにユウから俺を奪おうとしてる?
「新人ですね。まだ準備も終わってないし、位、順番がありますので」
ユウは優しい口調で言いながらも、魔法の一種なのか、空中に槍が現れて、新人の心臓部分を突き刺した。ゴーストのはずなんだけど、血みたいなのが飛び散ってたのが、俺に掛かる。それをユウが大事そうに拭いてくれるのが、逆に怖い。
「あれ? 安息の地なのに……攻撃するのはありなの」
「問題ありませんよ。彼は消滅したわけではなく、洗礼を受けたと思ってください。末席に移動してるはずです」
ユウの言う通り、新人は消滅したわけじゃなく、一番後ろの長椅子に移動しただけ。大人しく座り、祈りを捧げ始めている。
「まずは交換出来る場所でしたね」
ユウは俺の言葉を覚えていたみたいで、交換屋に案内してくれた。一番前の長椅子に座ってる女性がそれだったみたいだ。
「商品はこちらになります」
そのラインナップはクロス周辺にある素材じゃないと思うし、結構ヤバい品物じゃないか? 聖剣や聖槍なんて、『人』じゃないのに置いてあるとか……パチもんじゃなければ、魔物が装備出来るわけがないと思うし、人の名前がついた魂もあった。それがクロスの住人なら……進化や特技素材になるとは思えない。
そもそも、こっちの交換用に指定があって、『ポン骨』……俺じゃないか! 『分身』でも、顔部分以外はNG。俺の一部しか無理らしく、『補骨』されたのも無理らしい。という事は、俺のドロップアイテム、もしくはデビルドッグに奪われた骨ならOK。今更手に入らないけど。
一番ヤバいと思ったのは……『ヒロインの左腕』じゃなくて、『ヒロインの顔』がある。ラインナップにあるのはどれも見せて貰えず、『ヒロインの顔』に関しては、表示されてるくせに、交換不可になっている。
「あの……この『ヒロインの顔』ってのは、『ヒロインの左腕』というのと関係あったりします?」




