ゾンビライダーの出来上がり
『うわ! 本当に入ってきた……よ。あれ? 後ろにいるの草井さんだ。ベルゼブの部屋付近も嫌がってたのに、帰りが遅いから見に来てくれたのかな?』
デビルドッグA、犬男でいいかな? 犬男は二匹のデビルドッグを引き連れて、ベルゼブの部屋に入ってきた。勿論その二匹は『与骨』で顎や前足が進化した奴等だ。その後ろ、犬男に隠れるようにいるゾンビがいるんだけど、草井さんらしい。両腕は完全に回復してないけど、犬男のアソコを直に触れて隠してる……下手したら、そのために来たのもあるかもしれない。
「ふっふっふっ! もう姿を現しまちちゃね。デビルドッグに変装するとはなかなかでちちゃが、僕の目は誤魔化せまちゃん。って、話を聞いてくだちゃい」
ベルゼブもそういう台詞を言う相手は実は俺だし、変装と言ってる時点で誤魔化せれてますから。それに『与骨』したからって知能は増えなさそうで、犬男達はベルゼブに向かっていく。
けど、俺にとっては本当に良い感じじゃないか? ここに来るまでに一瞬目が合った事で、意志疎通が出来たのかも。
「よし、前よりも動きが鈍くなってる……って、何でだよ!」
デビルドッグ達は普通に歩くだけなら問題なさそうだったのに、勢いをつけて動き出そうとしたら全然だぞ。前足が大きすぎるせいで前転の姿になってるし、顎が地面に引っ掛かって前に進めない。犬男は名残から二足歩行から四足歩行へ。草井さんは犬男の背中に……それもあって、動きが鈍い。犬男の顔が人なら、ヤバい格好だよな……じゃなくて、草井さんは退いてやれよ。
「そんな動きで僕に勝てるとでも思いまちたね。これでも喰らいなちゃい! ペペペペ」
パワーアップしたのに動きが悪くなるとは俺も予想外だったから。それにベルゼブの攻撃も消化液、唾を飛ばすのもそうだぞ! そこは魔法を使うとか、俺で攻撃だろ? しかも、顎犬はちゃっかり顔面に受けて、顔が溶けてるし。
「……ベルゼブ様、アイツらに魔法を使えば一掃出来るんじゃないですか?」
「ベルゼブに助言! こんな状況だから俺を裏切るのは酷すぎないか?」
まさかのレイが裏切る! 負ける展開になってはいるけど。
「まだ子供の僕には魔法や、魔力での攻撃は出来まちぇん。けど、今の状態でも全然大丈夫でちゅ」
ベルゼブが子供っぽい喋り方だと思ってたけど、本当に子供なのか。そこはどうでも良いけど、魔力系の攻撃は使えない?
『という事は、私は攻撃を受けないかも。逃げるつもりで言ったんじゃないよ』
本当か? と疑いたい気持ちになったけど、レイは戦闘開始した時にベルゼブの側に寄っていたんだよな。けど、攻撃手段は……俺の右手? それで殴るだけで倒せる相手じゃないだろ。