ゴブリン→ファイター→マージ
「よし! 登ってこれないみたいだな。下に毒とか敷き詰めてあるし、勝手に死んどいてくれ」
出入口前に落とし穴を設置したけど、トドメを刺しに行くのは危険過ぎるんだよね。あそこは時間稼ぎってだけで……
「あの場合、死んだゴブリンは誰が倒した事になるんだ? あのメンバー達は撃破数を増やすために来たんだよな」
「私……と、罠を敷いた奴等だろ? 落とし穴だけだと死なないだろうし」
「それって酷すぎない? アイツ等が離れた場所にいて良かったよ」
それは理不尽な気がするぞ。落とし穴を掘り損というか……かおリンもそこは教えておこうよ。ゴブリンプレイヤー同士で仲間割れもあるかもしれなかったぞ。後から調べられる事には……問題ないよな。
落とし穴がゴブリンホイホイみたいに、中へ吸い込まれて行くんだけど、次第に毒や槍の部分もゴブリンで一杯になり、屍を乗り越えて進んできたぞ。
「来た来た! 今回は俺が先行してもいいよな?」
「どっちでもいいよ。ポン骨が死のうが、経験になるわけだし。ただ……移動しながら、後ろを向くと危ないぞ」
「大丈夫だ……って! 何だ?」
石に引っ掛かったわけじゃなく、かおリンが入るくらいの穴が掘られてる。もしかして、俺への嫌がらせのために、かおリンが掘る……時間はなかったよな? 出鼻を挫かれるのは恒例にならないか不安だけど。
「ゴブリン達が掘ったんだよ。深い落とし穴以外に、時間が足りないから、体勢を崩すくらいの浅い穴をさ。というか、アイツ等の掘った落とし穴の場所を全部把握してないから」
確かに準備万全と言っときながら、ゴブリン達の掘った穴の場所を全部確認してないぞ。そもそも、ゴブリンばかりになってくると、場所の判断もつきにくい。
「私はある程度は迎撃に徹するから、どうぞ行ってきてくれ」
マジか……ある意味地雷源の中を進む気持ちなんだけど。
「見とけよ! 華麗に駆け抜けてきてやるからな」
嫌らしい笑顔を向けてきやがって。今度こそ、格好良く決めてやるからな。
体勢を崩したゴブリンを発見! 離れた場所だとあんまり意味がないと思うんだけど……駆け抜けながら、爪というか、尖った骨の部分でゴブリンの頸を切り裂いた。
一撃で倒した? 勢いもあったし、腕一本力は5だけど、×4が乗ってるだろ。まともに戦闘して、勝利したのは初めてじゃないか? 滅茶苦茶気持ち良いんだけど! 今度は噛みついて……狼じゃなくて、骨だから歯が抜けそうか。
俺は同じやり方でゴブリン達を連続で撃破。それは駆け回れる程度の数だし、初期のゴブリンで武器を所持してなかった。それが武器を持ったゴブリン達が登場。棍棒は当然として、剣だけじゃなく、弓を持ったゴブリンも。
「ヤバいですよ。ゴブリンマージもいます!」
ゴブリンプレイヤーの一人が叫んだ。マージという事は魔法使い? そいつは範囲魔法を使うみたいで、仲間もろとも眠らせてから、後から来るゴブリン達が追撃させる形を取る。マージが出てくると、野良ゴブリン達の知能も上がってきたような……気のせいじゃないよな?




