学習せずに何度も落ちますか?
「あんな奴と一緒にしないでください。ゴブリンプレイヤーの面汚しというか……卑怯な手を使うし、俺達全員一度はゴブ蔵に殺されてますからね。嫌われ過ぎて、ゴブリンの掲示板から追い出されたぐらいですよ」
それはちょっと……ソロ推奨された『魔』だから、文句を言われる筋合いはないかもしれないけど……掲示板にアク禁されるのは相当なんだけど。ゴブ蔵は反論しようと、無理矢理粘着草を剥がそうとすると思いきや、全く無反応だし……
「貴方達はリア友か何かですか? 僕達は掲示板で話し合って、ここに集まったんですよ。合計五十匹のゴブリンを倒したら、進化前でも、野良のゴブリンを少人数ですけど手下に出来るみたいなので」
なるほど。ゴブ蔵の場合はどうなんだろう? 退化したのかもしれないけど、手下を手に入れられる感じだったけど。
「チラチラと何を見てる……うわっ……ゴブリンの形をした武器? 大量発生がまだなのにレアアイテムが! 触ってもいいですか? 道具の図鑑にも登録したいし」
俺の影に隠れた形になってたけど、他のゴブリンプレイヤー達にバレてしまった。まぁ……それがゴブ蔵自身とは気付いてないようだけど、触れた時点で図鑑登録……されるのか? それが無理だとしても、『ゴブ蔵の頭』と表示されたら……そうなった理由を聴かれるのも面倒だし、恨みがあるみたいだから、相手が何をするかも分からないし。
「ゴメン。それはちょっと……呪われた道具で、ゴブリン撃退用だから」
そう言うと、ゴブリン達は触れるのを避けた。大量発生が始める前に撃退されるわけにもいけないもんな。見るからにゴブリン用と分かるのも良かった。密かに、ゴブ蔵の視線がこっちを見た気がするけど……そこは無視しておこう。
結局、ゴブリンプレイヤーは十人程集まって、俺達を含めて十四(ゴブ蔵も含む)。全員が落とし穴作りに協力してくれたのは助かったし、落とし穴に仕掛けた道具も、探しに行ってくれたのも良かった。
「準備万全だな。私としては、アンタ達を間違って攻撃しないか不安なぐらいか。どさくさに紛れて、攻撃なんてしてくるなよ」
かおリンは準備を手伝ってもらいながらも、ゴブリンプレイヤー達を全面には信用してないみたいだ。俺は信用しても良いと思うけど。
「そこは大丈夫ですよ。俺達には目的があるし、そんな余裕ないでしょ。俺達は連携するつもりなんで……そっちに協力は出来ないと思うので」
俺達に話し掛けてくるのはゴブリンプレイヤーのリーダー的ポジションの『ボブリン』というプレイヤーだ。ゴブリンだけの方が連携が取れるのなら、邪魔するのも悪い。団体行動をして、落とし穴に嵌まるのだけは止めて欲しいけど。
そんな話をしていたら、広場に繋がる四つの出入口、東からゴブリンが一匹が出現。そのゴブリンはプレイヤーじゃなく、ゴブリン1の出現と表示された。Aじゃないのは、ローマ字では収まらない程の数が登場するからだろう。そして、一番最初からゴブリン1は落とし穴に沈んでいく。
「出入口から来ると予想したけど、正解だったな。四方向から来る最初のゴブリンは全員に落ちるんじゃないか?」
俺の予想通り、一匹が落ちた後、残りの三方向からゴブリンが出現したけど、全員が姿を消した。まだ初回だから、学習能力はないのかもしれないけど。




