失禁してます?
「今度は何だ? すゴーストに殺られたわけじゃ……うわぁぁ!」
俺が『ヒロインの左腕』を身に付けると、コツっと音が鳴り、鎧の外に出た状態で出現。頭蓋骨を出してないから、ゴブ蔵には左腕にしか見えてない。
「来るな! 来るなよ! 俺に何の恨みがあるんだ。骨に何かした覚えはないぞ」
鎧の中からゴブ蔵の姿を覗いてみると、恐怖で腰が砕けたのか、立てない状態みたいだ。運営に手下を倒された時みたいに、またしても漏らしてるような感じだ。
俺もゴブ蔵に何かした覚えはないし、そこまで怖がらなくても。野良のスケルトンを倒してもいないみたいだし、泥ハンドの進化系が骨だったなんて事……はないか?
「何か返事しろよ! ここまで執拗に狙ってくるのはプレイヤーだろ。スケルトンは一人しかいないみたいだしな!」
前の時も言葉を発してないのか? 本当に『ヒロインの左腕』がゴブ蔵を倒した? パラメーターで力もなければ、速も上がらない。倒せる要素は一つもないぞ。『ヒール』で首切り状態には流石にならないだろ? 今も左腕が勝手に動く事もないわけだし。
「悪いけど、それは人違いだから。こっちも記憶にないし、俺のせいにされても困る」
俺は頭蓋骨を見せて、ゴブ蔵に別人だと言っておく事にした。こんな性格だと、後から掲示板で色々と書かれそうで面倒だからな。
「ついに姿を見せたな。さっきから不意討ちばかり、卑怯な真似ばかりしやがって。スケルトン以外に誰がこんな事出来るんだよ! ぶっ殺してやる」
本体が現れたと思って、ゴブ蔵は強気に戻ってしまったぞ。人を卑怯呼ばわりするけど、数押しも大概だし、『魔』においては別に問題ないと思うけどな。頭蓋骨が見えた時点で、強気になるのも周りが見えてない証拠だよ。壺の中を確認するのを途中で止めたら駄目だと思うんだよね。運動もそこを注意していたわけだし。
「残念だけど、死ぬのはお前の方になるから」
草井さんは無事に壺から抜け出し、俺を標的にするゴブ蔵の背後から棍棒を振り落とした。うん! 見事なかかと落としで、ゴブ蔵の頭が胴体部分に食い込んだ。
「その棍棒は俺の……やっぱり、俺を殺したのはお前達だろ」
ゴブ蔵は後ろに倒れる時、食い込んだ状態でも草井さんの姿を目にした。その棍棒はゴブ蔵の物らしく、それを所持してる事は三人が仲間であって、あの場所に隠れていた俺が倒した事になるわけだ……実際、違うけどね!
「だから……人違いだって。俺達は草井さんの足を取り戻しに来ただけで、運営もプレイヤーのスケルトンは他にもう一体いるって、話をしていたから」
取り敢えず、いるかも分からないスケルトンのプレイヤーのせいにしておこう。それ以外考えられないし、俺が一緒に行って、鉢合わせさせようと運営が考えた可能性もあるし。そんな事よりも、草井さんの右足だ。ゴブ蔵が消える前に取り返さないと。




