飛びます飛びます!
「ガルルルル〜!」
「さっきの絶叫で仲間を呼んだみたいだね」
「一匹だけなら……今度は俺を叩きつけるのはなしで、突き刺す形でいってみよう。どうせ、レイの体はすり抜けるんだから」
「簡単に言うけど……どんどん仲間が増えて」
デビルドッグが現れた。仲間が倒された事で、俺達を敵視してるのは明らかだな。しかも、時間経過で数がどんどん増えていくぞ。
「無理無理! あんなのに囲まれるのは怖すぎだよ」
デビルドッグはヨダレをダラダラ流してる姿は汚いし、目が爛々と光ってる。何匹かは死体を共食いしてる姿を見て、レイは撤退を選んだ。
「逃げるのはいいけど、俺を引き摺らないで! 持ち上げてくれないと、骨が削られていくから!」
レイは気が動転して、俺を抱き抱えるんじゃなく、地面に着いたまま引き摺っていく。しかも、変に上下左右に動くから骨にダメージが。折角付けた角の骨なんて、先の方からポキポキと折れていってるし!
「もう! 集まり過ぎだよ。ここまで来たら……振り回すんだからね! 一撃で倒せるんだからね」
逃げ道の方からもデビルドッグが現れたせいで、レイは恐怖より、いい加減腹が立ってきたらしい。ダブルラリアットをするみたいに回転して、デビルドッグを威嚇し始めた。重いはずなのに、火事場のクソ力ってやつか!
「壁、壁! ギリギリだから。しかも、デビルドッグは近付いてこないし」
道の幅がそこまで広くなく、俺を振り回すと壁にすれそう。しかも、警戒してデビルドッグも寄ってこないし、レイもそこから動く事も無理っぽい。
「うげぇ〜……目が回る……そろそろ吐きそうかも」
「はやっ! 十秒も回ってないし、自分がボロボロになるだけで回り損だぞ……あれ?」
戦闘経験の無さがここに出たぞ。回転するだけ無駄で、気持ち悪くなった時を狙われる。デビルドッグの方が頭が良かったわけなんだけど……どういうわけか、俺とレイの距離がどんどん離れていく。レイは最後の力を振り絞って回ってて、鉄棒も持ったまま……
「俺の頭だけがスッポ抜けただと! 」
地面に引き摺られたり、壁にすれたり、デビルドッグを攻撃したりでHPが減っていた。限界を迎えてしまったのか、『与骨』する前に、鉄骨が頭蓋骨から離れてしまったのかも。その先にはデビルドッグが口を開けて、中に飛び込んでくるのを待ってるし。
と思ったら、俺の頭蓋骨の方がデビルドッグの口より大きく、装備品の効果がまだ持続してたおかげで、デビルドッグの顔を粉砕していく。それも地面に落ちた時にはドクロ棒から、スケルトンに戻った事が表示された。
「こんな時に元に戻らなくても……ん? 『補骨』の選択と」
デビルドッグに囲まれて、レイがどんな状態かも見えない。そんな時、『補骨』の選択肢が出てきた。骨というか、デビルドッグの死体があるだけ。頭と胴体が分かれていて、少し骨の部分が見えるんだけど、あれでも合体出来るのか? それと『補骨』の選択肢が消えて、『与骨』の選択も出現した。今は頭蓋骨だけで、デビルドッグに与える骨はない。レイが俺の右手をデビルドッグに与えようとしてる?