追放ものが流行ってるけど、追放する奴らがバカばかり
「ほんと、追放ものが増えたなぁ」
ブームに乗れば次々と似たような物が出るのは仕方無ーわな。誰もが二匹目のドジョウを掬いたいもんだ。
こうやって読んでるほうとしちゃあ、面白ければなんでもいいんだけどな。
それにしても序盤で追放する奴らが、バカばかりに見える。まともに判断できない自意識肥大のおバカさんばっかり。あんまり間抜けが過ぎるとバカバカしくなって、読む気が失せるんだよね。
追放されたあとの主人公、めっちゃ有能じゃん。これに気がつかないで追い出すとか、バカ過ぎるなー。なんでそんなバカが重宝されてたりするんだ? この世界の奴等は皆、おバカさんなのか? みんな頭おかしいのか?
その中で唯一マトモだから主人公が追放されんのかもな。
でも流石にリアリティってもんがねー。いくらファンタジーでも、それは無いわー。ひくわー。
出勤中のバスの中で、スマホでウェブ小説に目を通す。そろそろ会社に着くか。スマホをポケットに入れて、会社に出社、タイムカードをピッと。
ロッカーに向かう途中、トイレの出入り口の前で、新入社員が佐々木課長に蹴られてる。尻を蹴り上げられて廊下の壁に肩をぶつけている。
「何を朝からトイレに行ってやがんだお前はぁ!」
「す、すいません」
「お前は会社にトイレ使いに来てんのか? 仕事しに来てんじゃねえのかよ!」
相変わらずの佐々木課長。抵抗しそうに無いのを見つけてイビるの好きだな。トイレとか理由なんてのはなんでも良くて、蹴り入れたら縮こまって謝るのを見つける天才だよな。
佐々木課長に目をつけられるとめんどくさいので、遠回りしてロッカールームに。なんで朝からあんなに元気なんだか。
今日もノルマ通りにチンタラと。頑張ったところで給料が増える訳で無し。適当にこなすのが長続きするコツ。
「おい、なにやってくれてんだよ」
今度は田代係長か? 吊るし上げてるのは派遣かな?
「なんで三号機が動いてんだよ」
「調子が悪いって聞いたんで、直しときました」
「なに派遣が勝手に機械直してんだよ。設備責任者は俺だぞ? 断りも無く勝手に三号機直してんじゃねえよ」
「わざわざ言うほどのものでも無かったし、簡単に直せるとこだったんで」
「派遣が勝手に余計なことするんじゃねえ! 二度と黙って機械いじるんじゃねえ!」
あーあ、あの派遣さん、田代係長の事情を知らなかったか。家のローン含めて借金のある田代係長は稼ぐために残業したいんだよ。だから調子の悪い三号機は残業の理由に丁度良かったんだ。『機械の調子が悪いんですが、八時まで残業したら終わります』って設備責任者が言っとけば残業代が稼げるからな。
お、田代係長、順調に動くようになった三号機、コンパネ開けて元通りに壊そうとしてる。程々に調子の悪い機械を騙し騙し使ってますってのが、残業代稼ぐにはいいんだよな。
「こんなことしてて、いいんですか?」
「と言ってもこんなことが俺らの仕事でな」
工場の廃液を小ボトル缶に分けて詰める。こうして燃えないゴミに入れて捨てる。
産廃業者に頼むと金がかかるので、小分けにして燃えないゴミで出す。これが細かく稼ぐ為のアイディアってことらしい。
「川に流してるわけじゃ無いから前よりマシだって」
「工場廃液を燃えないごみに混ぜて出すのがダメだってことなんですけど」
「うちはISO取ってるから大丈夫だろ」
「ISOが何か解ってて廃棄物の偽装してるんですか? ちょっと部長と話して来ます!」
なんだあの新入社員は。長いものに巻かれろって言葉を知らないのか?
上に逆らったところでろくなことにならんだろうに。会社都合でクビにしたく無いから辞表だすまでイビられ続けるぞ。そんなことも解んないのかね。
最近の若いのは日本の常識ってもんが解ってないのかね? 適当に流して給料貰ってりゃいいのに。いちいち上に噛みついてたら、そのうち追放されるぞ。
私がかつて勤めていた工場では、係長がパートのおばちゃんに蹴りを入れるのが、日常風景でした。