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47.客寄せパンダを頼まれました

週1水曜日更新になりそうです。

今後ともよろしくお願いします。

 この学校の文化祭は1日目中等部が主催し高等部の生徒がお客様、2日目高等部が主催し中等部の生徒がお客様だ。その他に生徒の保護者などを招待できることになっている。


「えっ、お姉さまがいらっしゃるんですか。」


 志保さん家の両隣に有名な噺家夫婦とその子供夫婦が越してきたというので挨拶に伺った。その子供夫婦の奥さんが俺と同い年で仲良くしてほしいらしい。余所の奥さんと仲良くしていいのか。


 その場で志保さんから文化祭の招待状が欲しいと言われた。


「僕の分も・・・。」


 話に割り込んできたのは子供夫婦の旦那の『中田雅美』だ。アイドルグループMotyの『マッミー』のほうが有名だ。こっちは今年40歳のロリコンオヤジである。


「そうよ。あと監督さんたちの分も招待状が欲しいのよ。」


 主演する映画の監督さんや俳優さんたちがいらっしゃるらしい。


「だから僕の分も頂戴。」


 この男、社長の高校の時の1年後輩らしく。最近良くバイト先に現れるのだ。そのたびにコナを掛けられると思ったら真正のロリコンらしい。


「別に普通に文化祭ですよ。俳優さんたちが特に見て面白いものでも無いと思いますよ。」


「いいのよ。男装姿と女装姿のトモヒロ君を見てインスピレーションを働かそうというだけだから。」


「だからアタチの分も頂戴よ。」


「『中田』くん。オカマの振りは止めてください。アタシとキャラクターが被るでしょ。」


 バラエティー番組ではオカマもこなすマルチタレントというから驚きだ。


「なんで僕だけくん付け?」


「なんなら正式名称のロリコンオヤジと呼ばれたいですか?」


 世間では表立ってロリコン扱いする輩は居ないみたいだが裏ではそう呼ばれているらしい。社長の会社内では『ロリコンオヤジ』で通っている。俺なんか良く他の従業員から気をつけてと助言されたものだ。


「ヒドイ!」


「アタシは別に幼妻を貰ったことを揶揄するつもりはありませんが、社長があなた方にどれだけ投資されているのか解っているんですか? 少しでも返して行こうとは思わないんですか。」


 アイドルグループは1度解散しているのだ。元リーダーだという社長が再結成のためにどれだけ投資しているかは情報として知っている。金額的にもそうだが、あらゆるチャネルを使い彼らを後押ししており、金額には現せないくらい投資しているのだ。


 なのにそれをのうのうと受け取っていることが腹ただしいのだ。


「むう・・・。」


「まあまあ、その辺にしてあげて。」


「お姉さまがそうおっしゃるなら。しかたがないですね。監督さんの他に俳優が4人とお姉さまと井筒さんでの7人ですか。ギリギリですね。友人として申請しておきます。名前と年齢と・・・住所と問い合わせ用の電話番号とか無理ですか? 多分所属事務所の住所と電話番号でも構わないと思います。」


 家族の分は構わないが友人として招待するには事前申請が必要なのだ。そういう意味ではロリコンオヤジは1発で却下だろう。


「無理言って貰うんだから本名や現住所を集めるわよ。でも漏れないようにお願いね。」


     ☆


「女装イベントのゲストですか?」


 『キャラメ・ルージュ』のパインママから相談があると言われて来てみたら、イベントのDJをお願いされた。ラジオのDJみたいな一定時間を受け持つ進行役のようだ。


 女装文化を発信するというと聞こえはいいが、今まで女装ルームで細々とやっていた他の女装さんとのコミュニケーションを大規模化したものらしい。


 参加者は女装さん中心だが、LGBTの方々やその方面に友好的な一般の男女が100名規模で集めるつもりだという。


「ううん。オーガナイザーをお願い。どんな役割でもいいんだけど、組織の核となって欲しいのよ。」


 オーガナイザーというと全体の纏め役だ。そのイベント限りなのだろうが組織のトップとして取り仕切る重要な役目だ。はっきり言ってやってみたい。将来絶対に役に立ちそうだ。


「でもクラブイベントだったら深夜ですよね。アタシじゃあ無理ですよ。」


 過去にもそういった企画があったことは知っている。でもクラブイベントらしく俺には不向きと思ったのだ。開始時間は早い時間でも深夜に渡って行われるのが普通だ。ましてオーガナイザーは全ての時間居る必要がある。放任主義の母親も肯定しないだろう。


「ううん。お茶会イベントにするつもりなの。もちろん未成年でも入れるような時間帯よ。DJは初めと終わりだけ、挨拶だけでもいいし企画があったら何かしてもいいの。残りの時間のDJはこちらで用意するわ。どうかしら。」


 なんか俺のために作り上げた企画のようだ。


「もしかして陽子さんから持ち込まれた企画ですか?」


 俺を喜ばせるだけの企画みたいだ。この手法は陽子さんしか考えられない。全くあの人は。


「あっバレちゃった。嫌かしら。本当ならバレないように進めるべきなんだろうけど、もう2度と騙さないと誓ったからね。」


 前回、陽子さんに言われて盛ったことを気にしているらしい。元々パインママは誠実な人でその誠実な人柄が皆好きで男の娘のバイトやオカマバーのキャストに立候補する人が後を絶たないのだ。


「やらさせていただきます。お飾りじゃなければ、是非やってみたいです。」


 流石にお飾りだけが役目ではやりがいが無さ過ぎである。陽子さんのことだから、俺の日当もそれ相応の額が用意されているのだろうが・・・あんまり考え無しじゃあ本当に見限るぞ。


「うーん。お飾りの面もあるのよ。映画の主演をやるじゃない。今、トモヒロくんは女装界の期待の星なのよ。きっと貴方に会ってみたいというだけの人も来るわ。客寄せパンダも重要な役割なんだけど。」


 パインママは慌てて付け加える。正直者だなあ。


「客寄せパンダならいいです。でも企画から携わらせてもらえると嬉しいです。」


 こちらの希望も言ってみる。まあダメだったら、見限るしかないよな。


「もちろんよ。予算の都合もあるから全部が全部受け入れてあげれないけど何でも言って。」

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