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自称!平凡魔族の英雄ライフ~B級魔族なのにチートダンジョンを作ってしまった結果~  作者: あまうい白一
第二章

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第22話 ご希望の品、発見

 この街には幾つかの家具屋があるらしいのだが、その中でも俺たちが訪れたのは大きな一戸建ての店舗だった。


「おお、凄い品数だな、こりゃ」


 そして、俺が店内に入ってまず驚いたのは、その品数と広さだった。

 外見からは想像できないほど奥行きがあり、奥の奥の方まで品物が並んでいる。

 ここまで広いとは、どうなっているんだろう、と思っていると、


「あ、ここにパンフレットがありますよ。なんでも、ダンジョンの構造を応用して作られた店舗だから。内装がとても拡張されているそうです」


 ソフィアが店の案内板を見ながら説明してくれた。

 

 ……なるほど。魔王の遺産を置いていた倉庫みたいな形になっているのか。

 

 それが街の建造物にも使われているとは、と驚いていたら、ユキノも説明に加わってきた。

 

「ソフィアの言う通り。この構造をしているから、この店はこの街でも最大の店舗で、そこそこの高級店と言える。本来はカタログで見せなきゃいけないものも、実際に展示しているから、とても使いやすい」

「ああ、確かに。実物を見れるのは嬉しいですね」


 カタログで選んで購入する、なんて田舎ではやったことが無い都会っぽい行動もしてみたかったけれども、それでハズレの商品を掴まされては大変だ。

 しっかり見て、触れて選べるならばそれが一番だろうし。

 

「ともあれ、ワタシはワタシで、欲しい物があるから。少しの間、向こうの家具を見て来るね」

「あ、はい、了解です」


 そうして店の奥に歩いていくユキノを見送りながら、俺とソフィアは数々のベッドが置かれた地点に向かう。

 ベッドゾーンは店の最前列、店外からでも見える位置にあったので、広い店舗内を迷うことなくすぐに行けた。

 買い物に来た時くらいダンジョンでさまようのは止めたいところだったし、有り難い位置取りである。ただ、

 

「ベッドもベッドで数が多いな……!」


 数十はくだらない数が隙間少なく並べられていた。

 正直、目移りするレベルの量だ。


「俺、素材とかに詳しくないから、こうやって選ばされると困るな……。ソフィア、何か選び方とかあったりするか?」


 だから即座にソフィアに頼ってみた。すると、彼女はうーん、と少し考えた後で、

 

「クロノさんはどんな感触のマットが好みですか? あと肌触りや、広さ、耐久性が欲しかったりとか、そういう御望みはあります?」


 そんな事を聞いてきた。


「ええっと、広さと耐久性に関しては絶対欲しい所だが、肌触りや感触っていうのは、よくわからないな」

「一例を出しますと、マットレスにも体が沈み込むくらい軟らかい物や、逆に反発して寝ている体を支えてくれるような物があるんですよ。あとは耐久性や広さに関してはフレームの問題ですね。こっちのハンマーのマークがついたブランドなんかはドワーフが手作りしたもので、耐久性が高くなります」


 ソフィアは幾つかのベッドを指さしながら、さらさらっと説明してくる。


「選ぶのを手伝ってくれとは言ったのは俺だけども、ソフィアってこういう知識が豊富なんだな……」


 まるでこの店の店員みたいな解説ぶりに、俺は正直驚いていた。


「え、ええ、まあ。故郷にいた頃は、魔法の他に服飾や室内装飾についてかじっていたもので」


 そういえば、吸血鬼の服についても色々と知識を持っていたっけな。

 友人になって間もない頃に、彼女の服について聞いた時、さらっと答えてくれたのは記憶に新しい。

 もしかしたらファッション関係全般に詳しいのかもしれない。

 

「おし、今回は頼りにさせて貰うよ、ソフィア」

「ほ、程々の知識しかありませんけどね。とりあえず、耐久性や寝心地に関しては、先ほど言ったように、フレームにハンマーマークがついている物であれば、問題ないと思いますよ」

「なるほど、ハンマーのマークね」


 ソフィアの言葉を信じて、俺は並べられたベッドを見比べてみた。

 

 どれも見た目的には良いし、一人で寝るには十分な広さを持っているのだが、

 

 ……俺は、他の二人をどんな姿勢で引き付けるかわかったもんじゃないんだよなあ。

 

 だから出来るだけ、それこそ一番広いベッドを買いたい。

 そう思って商品を見ていくと、ひときわ目立つ品が目に飛び込んできた。


「でっかいベッドが良いんじゃないか?」

「え……!? あ、あれ、ですか」


 俺の視線の先にあるのは、店の最前列にある巨大なショーケースに入ったベッドだ。

 俺とソフィアとユキノが寝ころんでもまだまだ幅があるくらいには広い。

 というかこれ一つで二ケタの数のヒトが眠れそうな大きさがある。


 ……これなら、俺が変な風に引き寄せてしまった時でも大丈夫だろう。


 ショーケースに張り付けられた説明書きには『大型巨人族、または竜人族におすすめ!』と書かれている。

 

「けれどまあ、俺たちが買っても良いだろ」

「いや、それはそうですけど、これ稀代の名工、ダイスキングが作りし一品物とも書かれていますし……。かなりの高級品だと思いますよ?」

「まあ、これだけでかいとかなり値段は張るだろうな――って、値段が書いていないな。……すみませーん。店員さんー」


 とりあえず価格を聞くために、俺は店員を呼んだ。するときっちりした服装に身を包んだ獣人の店員がやってきた。


「はいー、何でしょうかお客様。ご希望の商品は御座いましたか?」

「ああ、このでっかいベッドが欲しいんだ」


 俺がこれを買いたい、と言った瞬間、店員さんの表情が変わった。

 困ったような、それでいて愛想笑いが含まれたようなものに、だ。

 

 その表情をしたのは店員だけではない。

 周りにいたお客も驚いたような顔をしている。


 ……うん? もしかしてこれは売り物じゃなかったとか、そういう事だったりするんだろうか?

 だとしたら困ったな、と思っていたら、店員が


「ええと、お客様? 失礼ながら、このベッドを本当にご購入なさるののですか?」

「もちろん。これが良いんだけど……何か問題があるのか?」

「いえ、それがですね。このベッドは作成者が腕利きのドワーフで、更には巨人や竜人の重量に耐えうるために貴重な硬質素材をふんだんに使っておりまして、とても値が張るのです」

「どのくらい?」

「ざっと、二百万ゴルド、といったところでしょうか……」


 そんな店員の言葉に、俺の周囲にいた客が息をのむ音が聞こえた。そればかりか声も聞こえた。

「マジか……。アレ、そんな値段だったのかよ……」

「稀代の名工、ダイスキングの作った一品物なだけあるな。魔族の平均年収三十年分かよ……」


 ああ、なるほど。

 何となく反応で察した。

 さっきの困ったような笑みは、きっと買えないだろう、という気持ちの表れだったのかもしれない。そんな考えを示すように、店員は頭を下げてきた。

 

「申し訳ございません。先に値札を出しておけば、こうして買う気にさせておきながら、値段を知って取りやめるなどという手間を取らせずに済みましたのに。昨日今日届いたばかりで、対応が遅れまして――」

「――いや、だから、買うってば」

「へ?」

「先走らないでくれ。ちゃんとここに金は持って来るから。……ええと、リトルコアを起動させてドアを作って、と」


 俺は一旦、店のドアを借りて、自分のダンジョンとつなげた。

 そして自分の部屋から、紙幣の入った袋を取り出し、

 

「はい、二百万ゴルド。中身もちゃんと入ってるから、確認してくれ」


 袋の口を緩めた状態で、店員に渡した。


「え……?」


 紙幣の入った袋を手に置かれた店員は、途端に身震いし出した。


「あ、あの、も、申し訳ありませんが、数えさせていただいてもよろしいでしょうか!?」

「おう。構わないよ」

「で、では、少々お待ちを!」


 店員はそう言って、店の出入り口にあるカウンターに駆け寄り、袋の中身を精査し出した。そして一分もたたないうちに、


「た、確かに頂戴いたしました! お買い上げ、ありがとうございます……!」


 冷や汗を浮かべた状態で、しかし嬉しそうに礼をしてきた。

 

「ああ、こちらこそ対応してくれてどうもありがとう。それで、もう持ち帰ってしまっていいのか?」


 持ち帰っていいのであれば、リトルコアを使ってショーケースの中から俺のダンジョンにさっさと移動させてしまおう。そう思っていたのだけれども、

 

「あ、お、お客様。少々お待ちください。この商品は少し厳重に警備魔法が掛けられておりまして。このダンジョン化した空間からこのベッドを持ち出すには、所有権の移譲が必要になってきます。そのためには契約書にサインをしていただく必要が御座います」

「へえ、そんなのがあるのか。どうやるんだ?」

「契約書にサインを頂ければ、すぐに完了いたします! ……ただいま、取ってまいりますので、しばしお待ち頂ければ!」


 そうして店員は、店の奥の方へと走っていった。

 

「……書類一つ取るだけでも走らなきゃいけないとは、店が広すぎるのも考えものだな」

「そうですねえ。……でも、クロノさんのダンジョンはこれ以上に広いので、物をたくさん置いたら何か一つ探すたびに大変になりそうですね」

「ソフィア、あえて考えなかったことを言わないでくれ。……まあ、だからこそ、そんなに物は置かないつもりなんだけどさ」


 もしも探し物があって、四百階層のどこかにあります!なんて言われたら探すだけで数日吹っ飛ぶだろうし。


「リトルコアを使えば、各階の移動を瞬間的に行えるけど、各階ごとに広さが曲者だよなあ」

「あ、あはは……で、でもそのお陰で、こんな大きな物を置く場所に困ることは無いんですから。結果オーライですよ」

「逆に置く場所がありすぎるけどな」


 田舎のこじんまりとした家で過ごしていたから、こんな悩みが出来るなんて思いもしなかったよ。とはいえ、


「まあ、これで寝る場所の確保は出来たんだから、快適なダンジョンに一歩前進して良かったよ。ベッド選び、手伝ってくれてありがとうな、ソフィア」

「いえいえ、このくらい、なんてことないですよ」


 こうして、俺のダンジョンは少しだけ、過ごしやすい空間になっていくのだった。

 

初めての、買い物によるダンジョンの強化(睡眠快適性上昇)という感じで。



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最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら冒険者をやる話です。
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