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自称!平凡魔族の英雄ライフ~B級魔族なのにチートダンジョンを作ってしまった結果~  作者: あまうい白一
第一章

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第25話 支配継続中

 朝。

 いつも通りのマットレスから体を起こすと、


「すう……んむ……」


 黒い鎖が巻き付いたソフィアが隣にいて、俺の腕に抱きついていた。

 それはまあ、ある意味、当然だ。


 まだ支配契約は続行中なのだから、俺が意識を飛ばすと彼女もこちら側に来てしまうのは分かり切っていた事だ。ただ、


「なんで、いつもこの子は半裸なんだ……」


 先日と同じように、ソフィアはめちゃくちゃ薄い寝間着で寝ていた。

 というかもう、半分くらい出ている。


 そのせいで、俺の腕に彼女の体の感触が直に来ている。

 正直朝方にこれは困る。


 彼女はとてもかわいいし、感触も嬉しい。ただ、朝から一気に血圧が上がって、色々と困る。なんて思っていると、


「んあー、だきまくらが、動いてう……」


 半目を開けて、ソフィアが俺を見て来た。


 どうやら、寝起きは物凄く思考能力が鈍るらしい。

 だから俺の腕を抱き枕として抱きついていたようだ。


「えへへ、柔らかいー」


 お前の方が柔らかいよ、と言いたいところだが、この状態では何を話しても無駄だろう。


 ……吸血鬼は夜の方が元気だというし、朝に弱いというのもあるかもしれないなあ。


 なんて思っている内に、


「あ……れ……? これ、また夢じゃなくて……!?」


 ソフィアの目にはっきりと意思が宿っていく。 

 ここまで、目を開けたのであれば、もう大丈夫だろう。


「……おはよう。今日も刺激的な朝をありがとう」

「お、はようございます、クロノさん。というか、あのスミマセン……」

「まあ、うん、良いよ。色々ありすぎて忘れていたのも確かなんだからな」


 ダンジョン探索して、先輩と喋って頭のリソースを使いきっていたのがダメだったんだろうな。


 ……そのせいで昨日もベッドを買い忘れたし。


 流石に忘れすぎだ。

 

 まあ、明日は講義が休みの日なので、その時に今度こそ買い出しに行こうとは思っている。

 

 ……半ばこのマットレスと付き合っていっても良いんじゃないかって思い始めているけどな。

 

 それでも街で何が売ってるか物色はしたいし。

 街に行くだけ行ってみよう。


「まあ、そのためにも今日を頑張らなきゃな。まずはこの支配契約云々をどうにかする手掛かりをつかまないと」

「そうですね! がんばりましょう、クロノさん」


 ソフィアはとてもやる気だ。

 目がきらきらしていて、その意気は素晴らしい。素晴らしいんだけど、


「……ソフィア。君はこのまま行く気か?」

「このままって――はっ!?」


 その言葉で彼女は俺の腕に抱きつきっぱなしの状況に気付いたらしい。


 そして静かに、恥ずかしげに、俺の腕から手を離した。


「あの……本当にすみません。なんというかこう、クロノさんの腕から父性を感じてしまってつい……」


 同い年なのに父性とか言われたよ。


「そんなに俺の顔は老けて見えるか?」

「い、いえ、そうじゃなくて。こう腕のしなやかさといいますか、吸血鬼がぎゅっとしてもビクともしない強力な腕っ節は、中々ないんですよ」

「はあ、そうなのか」


 腕という部位だけを評価されるのは変な気分がするな。


「それに、クロノさんは体温が高いですし、鱗とかもないですから。抱きつくのに支障がなかったりして、ついやってしまうんですよね」


 申し訳なさそうに言ってくるが、個人的には嬉しい事なので問題は無い。


「まあ、ソフィアが気兼ねなく過ごせているなら、俺は気にしないよ」

「ありがとうございます……優しいですね。クロノさんは」

「うん? 普通だろうよ。ともあれ、城に行くか」

「は、はい。私もすぐに着替えて出ます!」


 そうして、俺はソフィアの着替えを見ないようにして待ってから、自宅代わりのダンジョンを出た。

 昨日の帰り際、リザは二代目魔王のダンジョン攻略に気合いを入れていたし、今日で何らかの進展はあるだろう。


 そんな事を思いながら、俺の一日は始まって行った。

4日目始まりのクールタイムという事で少し短めです。


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最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら冒険者をやる話です。
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