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第13話 二日目の休息と三日目の開始

 夜。

 魔王城の風呂でさっぱりした俺は、俺は自分のダンジョンに戻っていた。


 リトルコアによって作り出した黒い光を放つドアを開けて、中に入る。

 俺の体がダンジョンに入りきった瞬間、ドアはかき消えていく。


 それと同時に、ダンジョン内に明かりが灯る。


「……さて、大体半日ぶりに戻ってきたな」


 俺の目の前には殺風景な、四角い空間が広がっていた。

 まっ平らでツルツルとした材質の床が、はるか向こうまで広がっている。


 その中に置かれているのは、いくつかの魔王の遺産と、俺が持ってきた衣服入りのカバンだけだ。


 室温は暑くもなく寒くもない。

 俺にとっての適温が保たれている空間だ。


 これが俺の住まいとなっているのだが、味気が無いと自分でも思う。


「もうちょっと狭ければ、殺風景さも収まるんだろうがな」


 言っていても仕方がない、と俺はマットレスに寝転がり天井を見上げる。

 このダンジョンは天井も高い。数メートルは余裕である。

 こんな四角い部屋が四百層もあるというのだから、自分でも驚きだ。


 リザに聞けば魔王城よりも大きいらしい。

 こんなデカブツを作ってしまって、まだ一日しか経っていないからか、未だに落ち着かない。


 ……作ってしまったものは仕方ないから色々調べて入るんだけどな。


 ダンジョンの基本事項を図書室で調べたり、リザへ質問したりで、多少は理解を深めている。ただ、どこか不思議な技術、という認識が抜けない。


「マザーコアとか、魔王の遺産も不思議技術の固まりだしなあ」


 竜人なら堅い鱗と爪、吸血鬼ならエネルギーの吸収。魔道士系だったら専用魔法と言った、種族ごとの特殊能力があるのは分かる。

 だが、魔王の遺産の力は、どこか異質な感じがする。


「この指輪だって結局、正体不明のままだし……」


 俺は自分のポケットの中に入っている初代魔王の指輪を見る。

 未だに効果は不明で、指に付けて外れなくなっても困るということで、ダンジョンの中に置いているのだけれど、

 

 ……この指輪、いつの間にかポケットの中に入っているんだよな。

 

 昨日の夜からそうだった。

 俺が風呂に入る前にダンジョンの中に置いてきたのに、風呂から上がってきたら俺の服の中に入っていた。


 その事についてリザに聞いたけれど、


『呪いみたいな反応は無いね。魔王の遺産にマイナス効果があるものは基本的に無いけど、心配だったら預けに来てよ』


 と言われるだけだった。

 どんな特殊能力があるのか分からないけれど、とりあえずこれも調べておきたい物の一つだ。


 不思議技術ばかりで疲れるけれど、その不思議技術の力を住まいとして享受出来ているのは有難い話ではある。


 ……俺は一年後、田舎の一軒家に帰るつもりだけど、それまでここにお世話になるわけだしな。


 それに魔王城を出ても、このダンジョンは利用できる。

 ダンジョンの特性などは、出来るだけ知っておいて、卒業後も楽に使えるようにしておきたいと思う。


 魔王のダンジョンについての案内書も貰ったし、暇な時にでも読んでいくことにして、今日は寝よう。そう思った段階で気付いた。


「……また、寝具買い忘れてたか」


 奴隷云々で城下町に行くチャンスを失ってしまった。

 今日も、魔王のマットレスで眠る必要がある。


 ……このマットレスで眠ると元気になるんだが、枕が問題なんだよなあ。


 マットレスが高性能な分、枕が普通だとその差で自分の体が疲れてしまう。

 

「放り込んでいる魔王の遺産の中に枕っぽいものはないしな……」


 衣料品入れとして使っている『無限の空間棚』とか、魔王の遺産は便利なものが多いけれど、枕はできそうなものはない。


「まあ、明日か明後日にでも、ベッドと一緒に買いに行くか」


 明日は午前中から超特進クラスの方に行くことになっている。

 ダンジョンにもぐった後は自由時間になるみたいだし、その時でいい。


 今は明日に備えて寝ておこう、と俺は魔王の道具に包まれながら、二日目の夜を過ごしていった。

この話はクールタイムということで、三日目からはまた色々と動き出します。

そして三日連続週間二位ありがとうございます。

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最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら冒険者をやる話です。
 100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます
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