↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

筋肉への漏電

作者: 尚文産商堂
掲載日:2015/10/31

目をさますと、椅子にくくられていた。

右手だけは使えるようだが、動かそうと思っても動こうとしない。

「やぁ、やっとお目覚めかい」

甲高い声の、おそらく男が話しかけてくる。

目の前にいるようなのだが、目を開けてみてもはっきりと見ることができない。

「ふむ、実験は成功のようだね」

「は、実験?」

「君は運がいい。私のような高尚さを理解することができる科学者の、後世に長く語り継がれるであろう実験の被験者となったのだから」

こいつ、頭がいかれていると、直感で理解した。

「ふぅむ。ではちょっと動かしてみよう」

ひとりでに右腕が上がる。

「やはりだね。実験は成功だよ」

「お前、俺に何をしたんだ」

「なにも。ああ、なにもしていないというのは嘘だよ。君のからだの神経節には、電極が埋め込まれている。無論、すぐに外せるように、針タイプを使っている。感謝しなさいよ、人間だからここまでの高待遇なのだから」

そもそも実験を了承した記憶もない。

高待遇もへったくれもあるものか」

だが、逃げようとしても逃げられない。

他の腕は一向に動く気配がないからだ。

「はっはぁ、やはり君は逃げようとしたね。他の被験者たちも同じ行動をしたよ。やはりそのあたり、人間の恐怖に対する本能なのかもね」

そういう彼は、空間の中から突然現れた。

「どうしたんだい。鳩が鉄砲食らったかのような顔して」

「いや、それ死んでるんじゃないですかね」

「ふむ、そうだな。あとで実験してみよう」

哀れな鳩、いずれ頭がぶっ飛んだとか、胴体に穴が空いたという鳩が見つかればその犯人はこいつだろう。

「それで、君のように私にツッコミを入れる人間は初めてだ。興味深い」

パチンと指を弾くと、左手と両足をつないでいた何かが外れた。

「どうだね、君。助手にならないか」

「は?」

「とりあえず、今は殺さないでおこう。そのことと交換だ。君を助手として受け入れよう」

人体実験をするような科学者は嫌いだ。

だが、死ぬことはもっと嫌いだ。

「……分かりました」

「よろしい、では君の針をすべて抜かないとね。歓迎するよ。初めての助手君」

彼がそう、明らかな作り笑顔で言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。