~航空機開発~
「陛下。航空機製作班班長より、陛下に直接申し上げたいことがあると。」
『実は機体が出来ちゃいました!とかか(笑)』
「わかった。聞こう。」
ゆっくりと扉が開き、一人の男が入ってきた。年は30前後だろうか。細身で眼鏡をかけている。
『どっかで見たことあるような、ないような……』
「君が航空機製作班班長か。」
「はっ。堀越二郎と申します。」
『どうりで見たことあると思ったわ!!』
「陛下。試作機が完成いたしました。便宜上、「七五式試戦」と呼称してお…………」
「よし。早速見に行こう。場所は?」
「「!!!!!!」」
「何固まっている?行くぞ!!」
で、「早速見に行こう。」と言ったものの、様々な準備を終え、やっとこさ出発したのは、翌日の昼過ぎ。8月31日の午後2時だった。
京都府神足郡神足村。神足航空機製作所から東に1kmの地点にある国有地。昔は河川敷だったが、今は航空機試験場になっている。
「陛下。お待ちしていました。」
「ああ。遅くなってすまないね。」
「いえ。陛下が来られるということで、班員も皆張り切っています。」
「そうか。では、早速性能を教えてくれ。」
「はい。
性能は、全幅11m、全長7.71m、全高3.27m、翼面積17.8㎡、自重1073ng、正規全備重量1500kg、発動機は、なか…………失礼しました。新式9気筒エンジン、最高速度450km、航続距離は1200kmです。武装は七.七mm機銃1門です。」
「………………中島の寿か?」
「!!!何故それを!?」
「まぁ、色々あってな。この事は黙っておいてくれ。私も、君のことは黙っておくから。」
「………………分かりました。」
これなら、もしかして……
「零戦は?」
「…………可能です。」
「出来るだけ早く試作機を作っておいてくれ。」
これなら、緊急時に日本が負けることは無くなるだろうな。
「了解致しました。必ずや、早期に完成させて見せます。」
「うむ。頼ん…………」
ちょうど話が終わろうとした時。
「試作機の準備が終了しました!」
「ああ。分かった。すぐに行く。」
班員だろう。試作機の準備が終了したことを伝えにやって来た。
「では、陛下。向かいましょう。」
「ああ。宜しく頼む。」
2人は、試験場へ向け、早足で歩き始めた。
「発動機異常無し!!」
「始動!!」
「始動!!!」
「始動確認!プロペラ回転に異常無し!」
「離陸用意!」
「離陸よーーい!!」
「…………………………離陸用意完了!」
「離陸!!」
「了解!!」
試作機は、プロペラの回転を上げ、急速に速度を上げると、300m程滑走し、離陸した。飛び立った機体は垂直に上昇した後、戦闘機動(堀越氏が戦闘機動の内容を書いた紙を持っていた。何で持ってんだよ…………)等、様々なテストを行った。最後は、事前に立ち入り禁止にしていた川の中程にある標的目掛け、機銃掃射を行った後、試験場に着陸した。
ここに(たぶん…………)世界初の戦闘機が完成した。




