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~第一次対馬海戦(?)~

3月4日 午前5時 小茂田港から北に約8浬

「司令!小茂田港に敵の増援です!!輸送艦が10隻。総兵数は3000以上!!」

「上陸済みか!?」

「いえ、3隻は港の外れで待機中です!まだ兵を下ろしていないかと。」

「10000を切ったら「杉」の前部主砲で揚陸途中の艦を攻撃。その他は8000を切ったら待機艦と陸上の敵を攻撃せよ!!復唱よろし!」

「はっ!直ちに!」





午前5時20分

「主砲。発射用意!」

砲長の号令で前部主砲がゆっくりと旋回。数秒後には砲を敵艦に向けた。

「敵は止まっている!!初弾から命中させよ!


撃てっ!!」




午前5時

清・朝鮮連合軍 小茂田司令部

「揚陸状況。」

「現在、6割の兵の揚陸が完了。1時間程で揚陸を終了します。」

「そうか。それと、アレは使えるか?」

「一応使えることは使えますが…………」

「では、砲撃準備をさせよ。」

「何故です?敵は駆逐したはずですが。」

「お主も総兵の役職に就く者じゃろ。馬鹿者が。海を見よ。」

「はぁ………………(ゴシゴシ)………………あれは!?」

「分かったな?準備を進めよ。」

「はっ!」

「そうだ。それと…………」

「何かありましたか?」

「敵から見えにくい位置で撃ちやすい位置に配置せよ。くれぐれも分かりやすく置かぬように。」

「勿論です。では。」

カツカツカツカツカツ…………………………



総兵直属部隊

「砲を配置する!場所はここだ。分かったな?よし。移動させよ!!」

「「「そーれ!!」」」

「弾薬は?」

「100発が後ろの家に隠してあります。一通り、これで持つかと。」

「分かった。おい!早くしろっ!移動が遅いとお前らが死ぬんだからな!」

「「「へいっ!」」」

「しかし、1門で大丈夫なものか………………?」

敵艦を沈めることが出来る喜びと、少しの不安。副官の胸中は荒れた海のようになっていった。


「大砲の設置。完了しやした!!何時でも発射できやす!!」

「そうか。敵が5000mを切ったら撃て。それまでは見つからないよう隠しておけ。お前らも隠れるんだぞ。人がいるから撃たれたなんぞ、笑えん。」

「はっ!おい、お前ら!!大砲を隠したら俺らも隠れっぞ!!」

「「「「「応!!!」」」」」

「おらっ!押せっ!!」

「あとちょっとだ!!…………良いぞ!よし!そこだ!」

「これで隠れたな。海からは見えんだろう。さぁ、隠れるぞ!!」




数分後

ドガーーン!!ゴゴーン!!

「あれが日本の水軍か!?砲撃で輸送艦が沈められている……これでは中の兵は全滅ではないか!?

おい、距離はどのくらいだ!?」

「だいたい、9000m前後かと。」

「その距離で当たるのか!?」

「総兵!どうしますか!?」

「待機だ!動かずに待機せよ!!敵は反撃が無いと思って接近してくるはずだ。そこを狙い撃ちにせよ!!」





「敵輸送艦。全滅です。」

「敵に反撃の手段は無いはずだ。このまま進め!!」

「距離、まもなく5000!!」

「全艦、右回頭!左砲戦で陸上部隊を攻撃する。準備急げ!」

『ここの敵が全滅すれば、対馬の守備隊が北上できるはず。』

「距離5000切りました!」

「全艦。撃てぇ!!!」

ドンドンドーンドーンドン!!!

敵の司令部があると思われる集落が火に包まれる。

「撃て撃て撃て!!情は要らんぞ!!」

次々と降ってくる砲弾によって、上陸していた連合軍兵は消し炭にされていく。

「まだまだぁ!撃て………………え?」

ドボーーン!

「何だ!今の水柱は!?」

「恐らく、敵の砲撃です!」

『対抗手段があったのか!?』

「発射地点を見つけろ!燃やしてしまえ!!」

「それが……炎上中の集落からの砲撃ではないかと………………」

「あの中から撃ってきてるのか!?そんなバカな!」

「ですが!砲弾の着弾位置から考えると、あの集落以外に地点が………………」

燃え盛る集落をじっと見ていると、一瞬だけ何かが光ったような気がした。その後すぐ、「球磨」の左前方約200m地点に水柱が立ち上った。

「あの辺りに敵の砲がある!!杉の主砲は発砲点を狙え!!」

モーター音と共に砲が少し動き、前後の主砲が交互に撃ち始めた。そして、着弾。轟音が鳴り響き、何かが吹き飛び空を舞う。黒煙が舞い上がると次の弾がやってくる。敵の場所は分からない。だが、その周辺一帯を耕した効果は大きかった。連合軍が有していた砲は、周囲を包み込む黒煙の影響で射撃不可に。それでも、適当に撃ちこみ、着々と耕されていく陣地。そして、とうとう杉の主砲弾が弾薬庫に命中。轟音と共に、一際大きな煙を上げ、砲ごと消し去った。

「……………………あれだけ撃てば大丈夫だろ。陸上攻撃に戻せ!」



3月4日 午前6時

対馬の小茂田に上陸した連合軍は、兵を搭載したままの輸送艦3隻。兵や物資を下ろし、空になった輸送艦7隻を失い、上陸した2200の兵の内、2000以上が死亡。この物資の中には既に上陸した部隊の食糧等も含まれていたため、連合軍の対馬南部からの侵攻は実質停止。北部、豊の連合軍も武器の差と物量の前に破れ、包囲されていた海軍海洋警備隊基地も無事解放。そして、日本陸軍第一次対馬派遣部隊は北部を奪還した後、500の兵を守備として置き、残りを南下させ、上県(あがた)町佐須奈の佐須奈警察署まで移動し、また500の兵を出し、本州側の沿岸地域の偵察に向かわせた。これにより、対馬北部は完全に日本軍が制圧したがその代わり、山田山の主力部隊の攻略は当分先になってしまった。

勿論、京都(こっち)もなにもしてなかった訳ではない。在日清・朝鮮大使館(と言うよりは、使節の館)から使節を呼び出して警告もした。在清日本大使館にも、清国外務省に乗り込んで事情を聞くように命じ、軍事的な力を見せつけるべく、呉から清国最大の軍港がある上海へ艦隊を派遣することも決定した。今は、補給部隊の編成中だ。この調子だと、3日後には準備が終わり、8日の昼には呉を出、2日半程で上海に到着する予定だ。今のところ、派遣艦隊は、

旗艦 駆逐艦「松」

戦列艦 「大和」「山城」

中型戦闘艦 「生駒」「六甲」「金剛」「高野」

補給艦 「岸和田」「姫路」「丸亀」「岡山」「赤穂」「彦根」

の計13隻だ。最も、帝国に4隻しかない戦列艦の半数が派遣されている時点で相当ヤバい気がするが…………

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