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~第一次対馬海戦~

「球磨」「阿蘇」「国見」「雲仙」と合流した「杉」は、半島より襲来するであろう連合軍増援部隊を迎撃するべく、一路朝鮮半島方面へ舵を切った。


午後7時

海軍海洋警備隊基地

「もう限界です、少佐!!」

「増援は!?」

「比田勝に上陸。現在此方へ移動中!!」

「ですがっ!!」

「つべこべ言うな!!誰一人欠けること無く、皆で帰るんだ!!分かったな?なら撃て!!それと、弾が無い奴は下がってろ!接近時まで待機だ!」

「沖合を海軍艦が信号を出しつつ通過してます!!」

「内容は!?」

「我々ハ、敵増援ノ警戒ニアタル。陸軍ハ間モナク到着スル。ソレマデ持チコタエルベシ。

以上!!」

「全く、好き勝手言いやがって………………………………………貴様らぁ!陸軍が着く前に陥落したなんぞ海軍の恥!!大陸の野郎共に大和魂みせたれや!!!」

「「「「「応!!!!!」」」」」



午後8時

連合軍対馬増援部隊

「将軍。後、3時間程で上陸地点です。」

「敵影は?」

「ありません。」

「そうかそうか…………」

「それでは。」

パタン

「…………クッ……ハハハハハ!!フハハハハハハ!!!」

バタンッ!!

「どうした!!」

「敵艦です!!数、5!!内、2隻は哨戒艦と思われます!」

「沈めよ。生かして帰すな。」

「はっ!」

バタン!

「我が国が誇る新鋭艦……東洋の島国相手とは残念だが。試射にはもってこいだ……フハハ!」



「右舷前方20kmに明かりを灯した木造帆船多数視認!!連合軍艦隊と思われます!」

「陣形は?」

「輸送艦らしきものを内側に、その周囲を戦闘艦で囲んだ輪形陣です!!」

「うむ。…………通信機を貸せ。

あ、あ。艦隊司令兼「杉」艦長の野田だ。全艦に命ずる。単縦陣にて敵に接近、杉は10km。その他は8km地点より右砲戦にて敵輸送艦を攻撃せよ。敵は輪形陣。内部に輸送艦がいる。外の戦闘艦は狙わんで構わん。以上だ。」

「機関出力最大!」

「よーそろー!」

「総員、戦闘配置につけ~~!!」

「砲の準備急げ!もうすぐだ!」

「弾が無いぞ弾が!!」

「左舷砲の担当も連れてこい!人手が足りんぞ!」

「そんなこたぁ分かってる!!」

「なら早く連れてこい!!」

「ったく、待ってろ!」

「頼むぞ!!」



午後9時

「敵艦隊との距離、およそ11000。」 

「探照灯点けろ!!」

「探照灯点灯!!」

バッ!!

「ふむ……やはり移動しておいて良かったな。探照灯の位置変更命令には驚いたが……すぐ横で照らされるよりはマシだな。」

「司令?」

「いや、何でもない。杉、主砲発射用意。」

「はっ。」

「距離10000を切りました!!」

「主砲撃てぇ!!」

「てぇ!!」

ドーン!!ドーン!!

「着弾まで24秒!敵は気づいていない様子!」

「次弾装填!!」

「…………………………装填完了!!」

「撃てぇ!!」

「てぇ!!」

「まもなく!!……弾着、今!」

ガガーーン!!ドゴーーン!!

「敵戦闘艦2隻に命中!!炎上!!なお輸送艦には砲を上2!」

「上2よーそろー!」

「第2射!弾着……今!!」

ドバーーン!ドガーン!

「1発は外れるも、もう1発が敵戦闘艦に命中!炎上!」

「続けろ!」





「敵艦発砲!!」

「ふんっ!この距離で当たるものか!!

さぁ、死ぬがいい!!」

ゴワーーン!!

「何事だ!」

「巡防艦 桂林、玉林。炎上!!敵の砲撃です!!」

「この距離でか!?構わん!接近せよ!」

ヒューーーン

「また来ます!」

ドバーーン!!!ドガーーン!!

「朝鮮水軍艦、炎上!」

「朝鮮の船なら構わん。なるだけ早く接近せよ!5000mを切れば、この「戦列艦 北京」で奴等を沈めてくれる………………!!」

ゴワーーン!!ドガーーン!!

「将ぐ…………」


3月3日 午後9時25分

戦列艦 北京

轟沈



「敵艦隊混乱しています!!ですが、なおも接近!」

「距離は!?」

「8500!!」

「後続の艦、砲撃用意完了!!」

「!!敵艦分離!!バラバラになりつつ接近します!」

「まもなく8000!!」

「撃ち方用意!!」

「………………距離8000切りました!!」

「てえっ!!」





「旗艦より通信!砲撃開始!!」

「撃てぇい!!古参の力見せたれや!!」

ドーン!ドーン!


1680年 1月3日就役の「球磨」型哨戒艦1番艦「球磨」

ちょいちょい修理をしつつ、八糎砲6門を搭載した中型哨戒艦である。これまでに、6隻が建造された。また、この「球磨型」以降木造哨戒艦は造られていない。(海軍曰く、それ以前の旧型艦を使いまくろうと思ったらしい…………そして、その旧型艦は全艦廃艦になっている。)


ガガーーン!ガーン!!

「おうおう!当たっとるな!!その調子や!」

「片舷3門やからってナメとったら痛い目あうでぇ!!」

ドーン!ドドーン!

ドガーーン!

いくら砲が小さく少なくても、現在運用している艦の中で、トップクラスの練度を誇る艦の砲撃だ。それを受けた敵の木造艦は次々と炎上し、底の藻屑になっていく。

「オラオラオラ!!」

連合軍は、燃え盛る味方艦に阻まれ進めない、そして減速したところを狙われるなどなど…………気付けば、60隻程あった艦が、20隻程に。反転し、撤退しようとしても、日本海軍をなかなか引き離せない。それでも、あまり弾薬の無駄遣いをしたくない日本海軍は、追撃を中止。清・朝鮮連合水軍は、輸送艦・戦闘艦合わせて67隻の内、45隻を失って撤退。



その頃…………

清国外務省(北京)

「今すぐ!この侵略を止めていただきたい!」

夜の外務省に怒声を響かせるのは、北京大使館全権大使、岡部長敬。本国から、清・朝鮮連合軍の対馬侵略を知り、清国外務省に乗り込んだのだった。

「対馬は古より朝鮮の領土であり、それを不当に占拠している貴様らから奪還するための戦いだ。貴様らが大人しく対馬を引き渡してさえくれれば良いのだよ。」

「何をっ!?対馬は帝国領だ!!朝鮮領であるならば、証拠を見せてみよ!!我が国はこれまで統治してきたという証拠があるっ!!どうなのだ!」

「………………この書物が証拠だ。ここに対馬は朝鮮領と書いておる。」

「このような嘘か本当かも分からない物が証拠だと?ふざけるな!」

「ふざけておるのは貴様だ!!もうよい!おい、この者を送り返せ。」

「まだ話は終わっ「それでは。」おいっ!こら!待たんか!」





日本大使館

「大使。交渉は…………」

「失敗だ。そもそも奴等は交渉なんぞする気が無い。これでは交渉の意味がないだろう?」

「ですが……」

「我々はこのまま、本国からの指示を待つのみだ。なに。帝国がこんな国に負けるはずが無かろう。数日もすれば、向こうから此方に飛んでくるさ。それまで情報収集しつつ、待機する。これが我々の仕事だ。」

「「「はっ。」」」

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