迷宮の出口
繰り返される毎日。
見つからない答え。
出口を探している俺…。
『眠い‥‥‥』 そう思いながらも、俺は目が覚める。
…正確に言うと狸寝入りをやめる。
寝ようと努力するのだが、目をつむるだけで意識は現実にある。 『…つらいな‥‥また昼寝になるな‥‥‥』 この生活習慣を治すのは簡単だろう。ただ、夜寝て昼は起きていればいいんだから…。
…でも、できない。
なぜ? と聞かれても答えられない。
わからないから…。
昼寝は約四時間ぐらい。
よくそれだけの睡眠時間で保っているなと思っている。
今は春休み。
しかし、実感はない。
学校は通信制。
…いい加減でもかまわない。
単位だけとって、あとは休み。
一般的には楽といえるだろう。
だが、俺は疲れる…。
普通の公立高校に通っていたときと違う疲れ。
自分だけが置いていかれる不安、自分だけが進んでいない焦り、自分だけが止まっている感覚…。
疲れる…。 『おはよう…』 そう思い、俺は両親に目線を向ける。両親もあいさつする、声をだして。両親は俺のことをどう思っているだろう?母さんは俺が気付かないと思っているのだろうか‥‥‥、母さんの深いため息を聞いていることを…。父さんは知っているのだろうか‥‥‥、父さんの俺を見る目を…。 俺は出された朝飯を食べ、また自室へ行き、本を読む。物語は夢と同じ。努力しなくても、幸せな気分になれる。最近は、夢はみてないが…。現実から、目を背けるとわかっていて繰り返す行為。本を楽しむためではなく、現実から逃げるために使う。 …眠くなった。 俺はしばらくして、掛け布団をかけて寝た。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
夢など見れない。
ただ、目を開くと夕方。
ぼやける目をこすって、体を起こす。
そして、自問自答。
『俺は何をしている。
何がしたい。
行動をおこせ。
どんな‥‥‥?』 俺は考えるのをやめるしかない。
意味がないのはわかっているから。
答えはいつも出ない。
…少し早い晩飯。
味はうまいのかもしれない。
だが、俺には毎日と、全然変わらない味に思える。
テレビを見ながら、飯を食う。
…おもしろくない。
隣で、母さんが笑っている。
ふっと思った。
『俺は最近笑っているだろうか‥‥‥?』 『‥‥‥‥。
』 ‥‥‥‥俺は決めた。
笑うために…。
自分を喜ばすため、自分を楽しませるため、行動することを…。
その材料を探すことを…。
そして、その場にいる両親に顔を向ける。 「‥‥‥。…俺、大学に行くよ!!」