sleeping baby
「トモ、また寝てたの?
授業ちゃんと聞きなよ。」
ハルカの呆れたような声。
もう耳にタコの何時もの言葉。
「いーんだよ。
少なくとも、ハルカよりは成績イイし。」
「なっ…!」
みるみる内にハルカが赤くなる。
「ば、ばかっ!」
「いてっ。」
丸めた教科書で頭を殴られる。
地味に痛い。
「ごめんって。」
なおも教科書を振り上げるハルカに、慌てて謝る。
「トモってさー、なんで寝んの?」
「さぁ?」
「ビョーキ?」
「かもな。」
ぷぅ、とハルカの片頬が膨らむ。
「寝てるクセに成績は良いし。」
「うん。」
「ムカつくわけよ。
こっちは。」
「うん。」
「私なんか、勉強したって、ダメなのに。」
「教えてやるよ。」
「…うん。」
膨れた頬をつつく。
やっと笑った。
「じゃ、明日は寝ないでよ。」
「…うん。」