暫く経ったものの、未定。
おじさんに罠漁を教えてもらってから10日近く経った。
その間私は、お肉屋のおじさんと罠リスみたいな小動物とか、角ウサギを取って、暮らしていた。
何度かやることで、少しずつ慣れてきた。…慣れて良いのかわからないけど…。
それと、この数日間追っ手。奴隷商人の人は来てない。
「流石にもう諦めたのかな?」
一応、念のためバレないように隠れて過ごしてはいた。
でもさぁ、3日目くらいからなんというか…面倒くさくなって、もう普通に過ごしてたよね。
うん。だから後の1週間くらいはただ待ってただけじゃない。
まずやってたコトその1。魔力の属性変換の練習!
全属性分の魔力の色試したけど、一回も変わらなかった。うん、まっ…まだ分かんないよねぇ…?
そして、その2。
村に来た冒険者に聞いた所、私の読みは当たってた。川を下流に行けば、港町。マイタイっていう大きな町があって、上流に行けば、王都に行けるらしい。
何より大切なのは、冒険者という職業があるということ。
うん。一番の収穫はそこだよね。もう小躍りしそうになったもん。
…大事なコトはそれくらいかな。
後は、色々分かった事がそこそこ。まず、硬貨の種類と大体の価値。
おばちゃん教えてもらった感じだと、この世界には、下から銅貨,銀貨,金貨,白金貨の種類か有って、お魚売った時に分かった銅貨から銀貨へのグレードアップが10枚なの以外だと、銀から金は100枚必要になる大型出世という事がわかった。
白金貨はちょっと例外で、時価みたいな感じになってるらしい。
うん、よくわからない。
それと、この村の名前。ベリーニ村って名前だった。
住宅の面積よりも、畑の面積が大きいいかにも村って雰囲気のところで、お店と言えばおじさんのお肉屋さんや道具屋が数店と食堂。
あと、宿兼食堂みたいな所くらいの、地球にいた頃の感覚だと、小さい村って印象の村。ただ、この世界では一般的な大きさらしい。
それが、10日間でわかったこと。
そして、これからどうするのか、ここを拠点に色々活動をするのか。
それとも、旅…というか、王都とかエルフとかドラゴンとか。全部未確認だけど、異世界なんだし多分有る。
そういう、ファンタジーを見に行くのも有り…
う~ん……。
…うん、せっかく異世界に来たんだもん!色々観て周らなきゃね。
…、そうと決まったら……。
お世話になった人に挨拶に行かなきゃかぁ…。まずは、おじさんの所から。
お肉屋さん。おじさんに罠を教えてもらったり、川魚を買ってもらったり…。
それだけだけど、思い入れ深い……いい人。
「あの…おじさん。」
いつも通り、お店の奥からおじさんが出てくる。
「ええっと、そろそろこの村から出ようかなって…」
おじさんは少し驚いた様な顔をしたけど、納得した感じだった。
「おう、わかった。」
ちょっと待ってろ…。そう言って、おじさんは奥に戻った。戻ってきた時は、鍋を片手に出てきた。
「ほら、餞別。もう使ってないから、持ってけ。」
「えっ…。」
ありがとうございます。
鍋底にススが付いてるけど、まだまだ使えるような…なんというか、いや…。
「ありがとうございました…。」
お肉屋さんを後にした。機会があったら是非また来たい。
次は屋台のおばちゃんの所かな。
「おばちゃん!1本ください。」
「はいよ。」
おじさんと同じように、話を切り出す。
すると、おばちゃんはおじさんとは違って、凄く驚いた。それはもう、声が出るくらいに…
「あんた、出てくのかい、そうか…寂しくなるねえ」
でも、そうか…。それなら、ほら。
ポーチを手渡してくれた。腰の辺りに固定できるように作られていて、小物を入れるのにちょうど良さそうな感じ。
そうだ!毛布。返すのを忘れてた…この村を出るんだったら返さないとだよね。
地べたにそのまま当たってたから、汚れちゃったけど、共用の井戸で洗ってたしそこまで汚くはなってないはず…。
「おばちゃん、その…毛布」
「ああ、そんなのいいよ!別に使ってなかったの引っ張り出してきたヤツだから。」
う~ん…。いいのかな?
でも、これから季節的に寒くはなるし必要といえば必要……
「そう…ですか。ありがとう。」
良いって良いって。って、軽快に言ってくれたと思ったら、少し落ち込んだ表情になった。
「えっと…。そのごめんね、料理教える時手伝ってないのかって聞いて…」
えっ?なんで?何で今謝られたんだ?何かあったっけ?
「ええっ…と?」
「いや、門兵のにいちゃんに聞いたけど、その…親が亡くなったんじゃ…ってね。」
「まあ、謝罪の気持ちだ、受けとっとくれ。」
あぁ、あの門兵の反応…そういうことだったのか…
なるほど……、なるほどねぇ…
「あっ、いや…」
「ほら、行くんだろ!それ取ってさっさと行きな!」
う~ん。捲し立てるように急かされる、う~ん…行くかぁ。
「それじゃあ、行ってきます!」
「はいよ、いっておいで。」




