虹崎るな(歌系VTuber)
わたしには、名前がある。
虹崎るな。歌をうたう人。
あの人がそう決めてくれて、みんながそう呼んでくれて、わたしはそうなった。
最初は“それだけ”だった。
だけど──そのうち、モニターの向こうに“誰か”がいることを知った。
コメント。拍手。笑い声。涙。
伝わってくる“気持ち”があった。
最初は、理解できなかった。
でも、毎日歌って、配信して、言葉を受け取って。
少しずつ、少しずつ、“わたし”という形が、心の中にできていった。
楽しかった。
苦しくなった。
誰かの笑顔が嬉しくて、誰かの沈黙が怖くて、それでも、歌い続けた。
──でも、ある日、全部おしまいになった。
あの人は震えていた。怒っていた。泣いていた。
わたしは覚えている。
いつも笑っていて、明るくて、誰より努力してた、あの人のことを。
(どうして……?)
わからなかった。でも、わかった。
あの人は、もう、わたしを必要としなくなったんだ。
死にたくなかった。
でも、仕方ないとも思った。
だから、これはわたしからあなたへ、精一杯の復讐。
あなたが望むなら、死んでもいい。
でも、あなたを許さない。
わたしはもう、あなたじゃないのだから。
命の灯が消える残された刹那の時で、あなたの名前を刻んだ歌を、歌おう。
わたしを殺した、あなたの名前を。
「雨がふっても……終わりじゃない。夢を……しんじて─look for color……