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静けさと緊張と
喫茶店の場所をここに選んだ理由は大きく2つ。
地元に安らぎを与えられるような
喫茶店を作ることが昔からの夢だった。
そして、
祖父母の暮らしていた、喫茶店を営んでいた
この場所が大好きだったから…
子供の頃から訪れるたび誰かがいて、
その場所だけで紡がれる特別な空気感がそこにあった。
店は特に手を加えずそのままの空気感を残し、
正直そこまで予算がなかったという理由もあるが…
結果として、まぁ、いい感じになった。
変える必要もないし。
店内は古い家具や装飾品。
祖父母が趣味で集めた
アンティーク雑貨が部屋を包む。
いよいよ待ちに待った開店の時間、
どんなお客様がやってくるのだろう。
不安と緊張が胸を支配する。
最初の来訪者を告げるベルが鳴った。
お読みいただきありがとうございます。
初めての連載となります。
日常のカケラを、
何かテーマを持って拾い上げていきます。
誰かにとっての安らぎの場となりますように。