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また次

苦しいな


 対抗戦前日


「この短期間で弱体化(アンダーマイン)以外を全て完璧に習得するなんて、流石だな」

「久しぶりに、魔術で出来ない事に直面して楽しくなった

 ……けど弱体化(アンダーマイン)だけはどうしてか分からないんだが一向に出来る気配がしないんだよね」


 俺は正直な悩みを打ち明ける。

 グランもそれには少し変な顔をして、不思議に思う。


「この通りにやればお前ほどの人間ならすぐに出来るはずなんだが、試しに俺に使ってみてくれ」

「分かった」


 そう言って、少し離れて手を前に出し、グランに向けて詠唱を始める。


「強大な闇を統べる者よ、我が身に宿し求める所に漆黒の怨念を振り与えたまえ!弱体化(アンダーマイン)


 やはり成功している感覚はするのだが、いまいち実感が湧かない。

 すると、


「ん?いや、出来てる弱体化(アンダーマイン)を使えてるじゃねえかよ」


 そう言われると俺は驚く。

 何でこのタイミングで初めて弱体化(アンダーマイン)が成功出来たのかが分からない。

 俺は本番には弱い方なはず。


「次は詠唱せずにやってみてくれ」


 俺は言われるがままにもう一度グランに喰らわす。

 すると、また俺の魔術は成功していた。


 どうしてか分からない俺に淡々とグランは説明をした。


「まあ、恐らく弱体化が発生しないのは実体じゃない物に当てていたからだろうな」

「いやいや、俺一回だけ自分にも使ったけど?」

「はぁ、お前……これ以上何を下げるんだよ」


 グランが呆れたように言ってるのを見て俺は恥ずかしくなった。

 自分は強いと錯覚をしていた。

 

「まあそれは良いとしてだな対抗戦は明日だ、俺は特待生に上がるつもりもないしな」

「そんな事があるんだ」


 聞くところによれば、対抗戦は毎年行われており、下の生徒から実績を上げるためにチャンスの多い特待生に上げるらしい。


「俺にはこの学院の卒業ってのが欲しいだけだからな、特待生にでもなって卒業出来なくなったら話にならん」

「逆に俺は落とされないように頑張ればいいってことか、」

「別に特待生が落とされる事は無いみたいだけどな、自分から下に志願する奴は多いみたいだとよ」


 一通り、概要を話した所で2人は立ち上がって、訓練場に入る。

 今日は軽くとの事で一本先取。


 開始と同時に俺はグランに弱体化(アンダーマイン)を当てる。

 グランはそれを読み切って、バックステップと同時に自分の嫌いな短い魔剣を攻撃を喰らう前に上に向かって全力で投げる。

 

 俺はそのまま動きの鈍くなったグランに追い打ちをかけるように見えない攻撃を使う。


(これで崩れた所に近接攻撃だ!)


「……使えるだけじゃ話にならないな

 呪毒(スペルトキシン)次に接近で殺すってとこか」

「………!!」


 完全に読まれていた。

 しかし俺の攻撃は完全に当たっていた状態異常を2つも当てたんだ体もそう自由には動かせないはずだ。

 魔力だって相当弱くなってるはず、


 俺はグランの読み通りに動いた。

 読まれていてもそれを上回れると確信していたからだ。

 俺の思い通りに事が運んで一気に距離を詰める。


「終わりだ!」

 

 剣を鞘から抜き、素早い横一閃をお見舞いしようとしたが、華麗にバク宙をして攻撃を躱すと、上空に投げた短剣を手に取り飛び上がり、俺に抱きつきながら心臓を的確に刺した。


「何……だと、」


 グランが剣を抜くと俺の心臓は固定魔法陣により蘇生される。


「俺の使う技が分かってたからだな、」


 俺は負け惜しみを恥ずかしげも無く口に出す。

 それほど悔しかった。

 自分の中では頭の中のイメージの100%を出せていても勝てなかったからだ。


「当たり前だろ?だから手の内ってのは明かさないんだ、使えるもんは全部使って勝って生き残って見せる……貧民育ち舐めんなよ」


 グランが少し嬉しそうな顔で俺の方を見る。

 短剣を回しながら余裕そうにする姿はまるで殺しの達人の様だった。


「……とはいえ、ここまで頑張ったお前に少しばかり良い物をやるよ」

 

 と言って俺に渡して来たのは一枚の小さな紙と薄い本。


「何これ?」

「自室に戻ってから確認しろ、バレたらタダじゃすまねえ物だからな」


 グランは帰ってしまったが、俺はその後も数時間は訓練場を予約していたので、俺は勝つイメージを持って練習に励んだ。


 今日はもう飯を作る気力も無かったので、食堂で食べることに決めた。

 すると、イリムが俺が1人で食べているのを見かねてこちらに来た。


「1人ぼっちなのね」

「お前も同じだろ?てか、イリムが来てくれたから1人じゃないしな」

「……そ、そうね」


 イリムのからかいを俺は美しく回避していく。


「最近、ルイスって人と上手くやれてるの?プレゼントは渡した?」

「うん、まあそこそこ、プレゼントは……いらなかったみたいだ」

「プレゼントは気持ちなんじゃなかったの?」

「うん、違ったみたいだ」


 イリムが話を使ってくれているのに俺がことごとく話を切らしてしまう。

 困ったイリムは何とか話を作る。


「最近、誰かとずっと訓練してるの見たけどどう?」

「どうって?」

「順調なのかっ……てね」

「俺の事よく知ってるんだな」

「え、いや、授業の移動で通ったから」

「まあまあ順調だよ、それに成功さえすれば俺はもっと強くなれるはずだ」


「心配して損した気分、でも、元気そうで何よりだわ、明日は対抗戦だから教室には時間守って来るようにだって!」


 そう言ってパンを食べ、食器を片付けに行った。



 翌日──


「あ、やべ寝坊した」


 最近は生活習慣がバグっていたから仕方ない。

 俺は急いで準備をする。

読んでいただきありがとうございます。

評価等していただけるとモチベーションに繋がり嬉しいです。


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