罠
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転移石で西地区の洞窟近くまで来た。
周りには同じ目的のハンター以外に人はおらず、市街地からも離れているみたいだ。
「さっきの2人、いなくなっちゃったな」
とはいえ、俺は元々1人でこの依頼をこなすつもりでここに来ている訳で、決して誰かに協力してもらおうなんて考えても、それは嘘だ。
考えている。
俺は弱い。
最弱だ。
そして、1人では何も出来ない。
それは分かってる、分かってるけど俺にはそんな状況を打破できる手段が思い浮かばない。
どうすれば良いかって考えているうちに俺の人生は終わってしまうだろう。
「まあいいか、俺は俺の出来る事すればいいから無理な事は無理だ、いつか出来るようになれば……」
そんな事を言っていると少しずつ虚しい気持ちになる。
俺はこの世界で12歳、8度の人生足したら100年になると言うのに100年間俺はずっと子供のままでいると恥ずかしいと言うよりは悔しい。
俺は努力して来たけど報われた事の方が少ない。
じゃあ努力が足りなかったって事なのか、それともやっぱ俺はハンターに向いていないのか、この世界での俺の偉大な父に俺の姿を見せる事はできないのか、俺は本当にここにいて良いのか。
まただ、こうやって考えていると心だけでなく身体も落ち込んでくる。
現に転移してから数歩しか歩いていない。
何やってんだ、俺。
拳を強く握り締め、洞窟に向かう。
洞窟に着いたが、俺の他にはもう誰もいない。
俺があんな事を考えているからもう他の人は洞窟に入っている。
もしかしたら魔石だって取り尽くされているかもしれない。
流石にそんな事はないはず。
「ここの洞窟は魔法の罠が仕掛けられているのか」
この洞窟は発見されてから半年も開放されていなかった要因はこの罠のせいだ。
引っかかって、行方不明になった人や亡くなった人もいるとの事。
しかし、数多くの派遣により9割以上の罠の位置を把握する事が出来たみたいだ。
罠の数が多いだけでよく警戒すれば、基本的には問題のない罠が多めと言われた。
それはその通りで、一応、進んで良い所と罠の魔法陣の記載されたマップは配布されている。
こういう罠の張り巡らされているかもしれない洞窟に事前準備無しで行こうとしていた俺がどれだけ無知で危ない事をしていたのかがよく分かり、本当に止めてくれたシグマさんには感謝しかない。
「全部で5階層、基本的には3階層以降に魔石や魔石を持つモンスターが現れるのか」
これはマインクラフトみたいにレア鉱石は高度が低いほど出やすいのと同じ理論って訳か。
そんな想像が出来るくらいにはさっきよりテンションが上がったというよりは、あんな事を想像する余裕は洞窟にいるうちには無いという事だ。
こうやって前の知識を想像していた方がまだ自分を保てる。
(別に攻撃も防御もHPも1の奴だって、あんなに戦えてたんだからな俺だって)
洞窟に入って数十分も経ったが、現れたのは魔石を持たない弱いモンスターばかり、魔石が出る3階層にいるのだが、未だ一向に見える気配すらない。
ここにいると時間感覚も少しずつ失っていく。
周りの人とは出会うが目が合うと互いに振り向いて反対方向に進む。
それほどこの場においては戦争という訳か。
「火球」
目の前にいるオークの軍勢を大量の魔力を使って一掃する。
この広間からまっすぐ進んで二つ目を右に行くと4階層目に行く事が出来るのか。
俺はとことこゆっくりと歩いている。
慎重に、
そして、二つ目の右に曲がる道のところまで行くと正解の魔法陣が見えた。
「前に人、」
俺の前に人がいるのが見えた。
数分後ぶりの人で少し安堵する。
前の3人は俺の足跡に気付いたのか後ろを向いて、何かニヤついている。
何かあったのかと思っていると……
リーダーみたいな大柄の男が隣にいる杖を持った魔術師らしき男に指を指して指示をしているようだ。
その瞬間
「爆発」
杖を持った男が上に杖を掲げ、魔法を放った。
バカじゃ無いのか、そんなの上に放ったら倒壊するだろ。
違う。少し考えたら分かる事だ。
「まずい、正解の道が塞がる!」
俺は焦って、全速力で走る。
足場が岩石ででこぼこしており、走りにくい。
少しこけそうになるが、何とか走りを止めない。
しかし、無情にも正解の魔法陣に辿り着く道は塞がれてしまった。
「まずいな、これじゃあ通れない」
魔術使うか、いや俺にはそんな力はない。
もし壊す程の魔法を使うとなると、俺には加減は難しい。
もしかしたら魔法陣が壊れかねない威力になってしまうかもしれない。
「どうしようか、3階層は地図を見る限り断トツで広いからな……ここでもう少し探すとするか」
最悪だ。
俺の行動範囲が狭まってしまった。
読んでいただきありがとうございます。




