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猛き者達

^^



「……いないわね」

「後ろの方だったし、倒されたんじゃない?」


 流石にモンスターが想像以上に現れない事にモヤモヤしている。

 イリムは余裕そうに自分の短剣を弄ぶ。


 すると、少し先の方にリヒトの班がちょうど戦っているところを見つけた。


「……見つけた」


 イリムは戦ってるのをお構いなしに突撃しようとするが、俺とワノンで何とか抑え込む。


「駄目だって、先生達が見てる争ったら減点対象だ」

「違う、モンスターを倒しに行こうとしただけ」

「明らかに敵対心むき出しだったぞ」


 そうこう喋っているうちにリヒトが火の魔法でモンスターを倒していた。

 それをイリムは苦虫を噛み潰すかの様に見ている。

 それを見てワノンは慌てる。

 俺は呆れた顔をする。


「……何焦ってんだよ、そんなに死にたいのか」

「私がこんなモンスターにやられる訳が無い」

「違う、落ち着け!

 お前が推薦組が憎いのはよく分かった

 生まれた時から良い環境で育って魔法も当たり前の様に使える奴が、でもそれを見返す為にこの学院に入って来たなら、実力じゃ無くて結果で見せれば良いじゃないか」

「推薦のあんたに言われたくないんだけど……さっきから自分は違いますみたいな感じだけど同じだから、なんなら裕福に生まれて弱い奴の方が余計にムカつくんだけど」


 そう言われると少し落ち込む。

 まあ、俺も裕福な家庭に育ったのは間違いない。

 色々な事をやらせてもらって適所を探させてもらったりした。

 それでも見つからなかったのだから、、


「分かった、俺も結果で弱く無い事を証明する

 だから言いたい事は終わってから言う事にしよう

 ワノンが困ってるだろ」

「……言われなくても分かってる

 これじゃ追いつけないから……」


 その後、3人の口数はかなり減った。

 と言うか無駄口が完全に無くなり、業務的関係になっていた。


「右10m、接近中」

「……了解」


 ワノンの声に反応して飛びかかって来たゴブリンに右手に持った剣で1刺しで仕留めてすぐに抜いて、もう一体も仕留める。

 

 複数体を相手にする時はワノンが活躍出来ない。

 いくら弓の扱いが巧くても誤射を一度でもしてしまったら取り返しがつかない。

 一応剣は持っているがが信用程度で逆に危ないと言う事がわかった。


 俺は勿論、援護に回る。

 岩の壁で逃げ道を視覚的に減らしたり、見えない攻撃を操作して、ダメージを与えたりと陰でかすかに貢献している。


「これで3体目?」

「うん!ノルマはもう行ったけど時間はもう少しあるからこのまま行っても良いんじゃ無い」

「討伐数増やすって事か?別に報酬貰える訳じゃ無いのに?」


 2人に反して俺は難色を示す。

 やっぱりこの中だとダントツで俺が無能だ。

 頑張ってはいるけど、2人の才能には到底届かない。

 流石は正統合格組と言った所だ、その若さで文句のつけようの無いセンスと才能を持ち合わせている。


「そう言えば、2人って何歳なんだ?」


 そう言えば聞いていなかった。

 この学院は日本の高校とは違い年齢に入学制限があるわけでは無い。

 大学に近い感じだ。


「……14」

「俺も14歳」


 まさかの2人は同い年で俺が最年少。

 ワノンは170近くあって歳上の好青年みたいな風貌で歳上なのは頷ける。

 が、イリムは俺より身長が低く、155くらいなのに俺より年上なのか、さっきはかなり高圧的な態度をとってしまったものだと、反省をする。


「へ、へぇ」


 急に探検隊の隊長の様に歩き始める。

 その歩きはさっきより一段と早い。

 しかし、隊長についてくる人はいない。

 

「あんたは何歳なのよ」


 俺はイリムに年齢を聞かれて少しまずいとピクってなり、立ち止まる。

 ロボットの様にカクカク振り向いて、「12歳」と小声で言った。


「歳下なんだ」


 それだけ言って、2人は俺の所に向かって来た。


「ご、ごめん歳上なのにあんな事言って」


 俺は叩かれる前にシュバっと頭を下げる。

 しかし、叩かれる事は無かった。


「……そこまで気にしてない学院では同い年なんだし、」

「むしろ、その年齢で入れるなんて凄いよ!」


 2人は俺を良い様に言ってくれた。

 俺が勘違いしていただけなのかもしれない。

 

「敬語なんて絶対に使わないでよ!変に気にしちゃうから」

「歳下なんだから私達について来なさい」


 え?

 イリムはもしかして歳下が好きなのかもしれない。

 急に好感度が上がったと思ったらすぐそう考えてしまう。

 本当に良くない。絶対にこれは直さなければいけないとそう思った。


 取り敢えず良い感じになったところで、俺はイリムに疑問を投げかける。


「どうして、短い双剣を使うんだ?

 防御をしたく無いならそんな攻撃型の武器じゃ無くて、バランスの良い普通の剣を2本とかにすれば良いのに」

「私は速度が武器だから、出来るだけ軽い剣をって選んだの」


 ちなみにアーノルドは万能な普通の剣をメインとし、一応予備みたいなもんで、短剣を一本忍ばせている。


「よっしゃあ!楽しく元気にやっていこう、元気が1番だよ」

「張り切らないで、私が前に出る」


 その2人を見て俺は黒子に徹しようと思った。

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