最終試験②
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遂に最終日。
今日で全てが決まる。
とは言っても、アーノルドと戦って勝つだけ、今までの試験に比べれば何十倍も楽な試験だ。
学院に着いてからは雰囲気は静まり返っており、仲良くしていたチームメイトとも喋る人は全くいなかった。
「……お、いたいた、おはよう
今日は一段と早いね、緊張してるの?
それともチームメイトに申し訳無いとでも思ってる?」
「………うるせえよ」
俺は静かな所に急に来たグランにそっけない態度をとる。
こいつは明らかに余裕そうな表情、相手の気持ちなんて考える様な奴じゃないからそれもそうだ。
「何も気にする事はないと思うけどな……
どうせ、弱い奴は学院に入っても何も成せない、憧れてる間の方が余程幸せだった事に気付くんだからさ」
俺はカッとなって胸ぐらを勢いよく掴むが、グランは微動だにしない、むしろやってみろよと言わんばかりだ。
俺は自分のやっている事を冷静に考え、手を離して壁に寄りかかりしっかり話し始める。
「あいつは弱くねえよ、憧れをモノにする力も十分にあるはずだ」
「別に雑魚って言ってる訳じゃねんだよな
あいつは憧れてる相手が悪い、ありゃいくら努力しても届かない一握りの才能を持った人にしか許されてないんだよ近づくなんてさ」
「憧れるのは何が悪いんだ?」
「別に?憧れるのを全否定はしてないだろ……
俺は対象が良くないって言ってんだ不相応なんだよあいつが伝説の男になるには」
その言葉に俺は言葉が出ない。
そりゃ憧れて、目指す事のどこが悪いんだ。
でも、憧れを押し付けて、俺がわざわざ引いてやる必要は無いと言う事も分かった。
「……そうだな、俺はあいつをちゃんと潰すよ」
そう言うと、グランは不敵な笑みをこぼし、
「俺はそこまでは言ってないけど、やっぱ面白いねお前」
いよいよ最終試験が始まる。
第一、二試合が終わり、勝者は進み敗者は去っていく。
第三試合は俺だ。
アーノルドも準備にかかる。
「それでは、始め!」
開始の合図とともに、俺は動き出した。
魔法では無く、苦手な方の剣術で圧倒して、完膚なきまでに叩き潰そうとする。
「……ぐっ」
アーノルドは俺の重い一撃を何とか受けるが、体制を崩される。
俺はそこは見逃し、体制が整うまで待つ。
「……あいつ、本当いい性格してやがるな」
その後も全体的に俺がアーノルドを圧倒しているが、流石は憧れているだけある。
剣だけで攻撃を致命傷は避け受け流している。
それでも、力の差は誰の目から見ても明らか、最初の一撃が無ければ分からなかったが、あの一撃は大きかった。
何とか防げている様に見える。
「そろそろ、本気、出しますよ」
「かかって来いよ」
そう言うと、アーノルドは動かずに、剣を構えただけだ。
それでもその構えには隙が無い。
考え抜かれ、洗礼された構え。しかし、それを実現するには相手の技量を知って無いといけない。
そして、自分の力を過信しすぎだ。
俺は臆する事なく、突進。
アーノルドは待ってましたかの様に迎え討つ。
寸前で俺は緩急をつけ、ペースを下げる。
しかし、アーノルドはそこでも体制を崩さないと思いきや、踏み込みで前に突き出す。
それに俺は驚き、咄嗟に防御魔法を使い、攻撃を防いだ。
(……危ねえ、普通に負けるとこだった)
俺にはまだ余裕がありすぎたのかもしれない。
「今のを防ぎますか……凄いですね
ですが、今回遂に俺が優秀側負ける訳にはいかないんです」
「ごめん、俺も勝たなきゃいけないんだ…勝たせる訳にはいかない」
「……違います、勝つのは俺です!」
そう言って、さっきとは打って変わり、攻撃的スタイルに変更してくる。
この攻撃的な動きはさっきと違い動きに若干の綻びが見える。これは、伝説のアーノルドを目指す為の動きだ。
本来なら守りを主体にする動きが得意なのだろうが、伝説の方は常に押せ押せで守りは全然しない人らしいから、それを見せつけるために、ここで戦い方を切り替えたのか、
しかし俺はそう来られた方がありがたい。
一撃で終わらせる魔法を使いやすいからだ。
「うおおおおおっ!」
「……」
俺もさっきとは違い、静かに、冷酷に魔法を打つ。
互いがぶつかり合う事なく勝負は決した。
俺の勝利で。
「今の、どうやって、」
「………」
俺はアーノルドにかける言葉は何も無かった。
本当に、冷たく、まるで自分では無いかの様に、勝者側に進んで行く。アーノルドの事を見ずに、、
「君、次の試合があるからその場を離れて!」
「…………はい」
アーノルドは地面を強く握りしめ、涙を流していた。
立ち上がったが、俺を方を振り返る事なく、下を向いて涙をこぼさない様、服で拭っていた。
遅くて来週、早くて明後日にはでます




