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プロローグ
西暦ニ〇ニ〇年代、国内外のゲーム市場では、いわゆるソシャゲと呼ばれるゲームが過渡期を迎えていた。
基本料無料、アイテム課金式のゲームが多数制作されて、群雄跋扈と言っていい。
それと同様に腕時計型デバイス「Gリスト」の普及により、装着者のバイオリズムを反映するシステムを組み込んだゲームが登場し始めた。
第二の理想郷───セカンド・ユートピアと名付けられたゲームもそのうちの一つ。
クエストに挑むもよし、安全地帯でミニゲームを興じるもよし、ゲーム仲間とのコミュニケーションツールにしてもよし。
このゲームは少し古臭いとは評判だが、世界全体で約五〇〇万人の利用者が居るそうだ。
プレイヤーは成長上限の高い「人間」、基礎ステータスが高く固有スキルが多い「魔族」、器用さが高く頑丈な「機械人形」から種族を選択し、各々の好みに合わせてゲームを楽しんでいた。
そう───ニ〇ニ九年一月七日、転生の日を迎えたことで世界が変わるあの瞬間までは。