表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導のファンタジスタ  作者: ルジリオ
二章 大会への道筋
99/130

特攻を封じる盾

 ようやく同点に追いついた。

 四対四の乱打戦に、なんとか振り出しに戻すことができた。

 あとはこの勢いのまま攻め続ければ逆転できる。

「イクオスさん! どうしましょう⁉ 同点にされてしまいました!」

「あいつら後半になって動きよすぎじゃね⁉」

 ダーディススクラプの選手たちも慌てている。

 こちらの攻めが封じられて、逆にどんどん攻められて点を奪われていった。

 不安になるのも無理はない。

「これがあいつらの本気ってわけか。お前ら、同点になってもビビるんじゃねえ。俺にボールを渡せ。点取ってきてやるからよ」

「わ、わかりました!」

「あと、俺の合図で『炎陣悪競(エンジンアクセル)』で相手チームの守備陣を切り崩す。遅れないように気張ってけ」

「「「はい‼」」」

 チームを奮い立だせるイクオス。

 暗い雰囲気のままでは勝負には勝てない。

「彼らもまだ勢いが落ちていないな」

「ヴィルカーナの言ってた通り、イクオスが中心のチーム。イクオスがチームの皆のやる気をみなぎらせているんだ」

「ならばイクオスを何度も封じ込めればいい。そしてシュンたち前線にいる仲間にボールを渡し続けることが私たちのするべきことだ」

「だな」

 マギドラグも同点になったからといって浮かれたりはしない。

 相手チームの怒涛の攻めは前半に痛いほど味わっている。

 点は奪わせない、そして一点取って逆転してみせる。

(頑張って、皆。ようやく同点に持ち込めた。今のダーディススクラプは動揺しているはずよ。速攻で点を奪って)

 レイカも心の中で勝つことを祈りながら応援する。

『見事同点までこぎつけたマギドラグ魔導学院! しかしまだ試合は終わらない! どちらかさきに一点を取るか! 取った方が勝利にぐんと近づくでしょう!』

 ――ピピィィィッ!

『さあ、笛がなる! ダーディススクラプ! キャプテンのイクオス選手がボールを受け取って攻めに行く! 再び単独突破を仕掛けに行くぞ!』

(俺は負けねえ! 『喧嘩サッカー』で全てをなぎ倒す!)

 イクオスもさすがに焦りの表情を浮かべる。

 後半戦はマギドラグの一方的な流れ。ボールを常に支配されている。

 これでは自分たちダーディススクラプよりもマギドラグの方が攻めが上手だと突きつけられている気分だ。

 そんなこと、認めるわけにはいかない。

 イクオスが掲げた『喧嘩サッカー』は点を取るだけ取る猛攻のサッカー。

 点取り合戦で負けてはいられない。

「来やがれ! ゴールを奪いに行く!」

「イクオス!」

「シュン! ぶっ飛ばしてやる!」

『試合再開初っ端からエース対決! シュン選手とイクオス選手がぶつかり合う!』

 真正面に現れたシュンに全力のシュートボールを放つイクオス。

 腹にボールをぶつけてシュンを吹き飛ばすつもりだ。受け止められても、強引な喧嘩ドリブル、『ジャンピングニー』で強引に吹き飛ばす。二重の攻めのドリブル。

「シッ!」

 だがそれを予測していたシュン。すぐさまバク転して腹部に襲ってくるボールを避けつつ、ボールの背面を足で捕まえてそのまま自分の足元に収める。

 これで『ジャンピングニー』を封じてボールをカットした。

「一度見た技なんて!」

「野郎!」

 ボールを奪うも、イクオスは止まらず高速のスライディングタックル。シュンに奪われるかもしれない、その可能性を思い浮かべていたのか動揺せずにすぐさまディフェンスに移った。

 それに対してシュンはボールを受け止めて体勢が崩れている。

 避けるのは不可能に近い。

「だが!」

 シュンも不安定の体勢のまま体を傾け、その状態でスライディングタックルの構え。

 これはイクオスの強引なディフェンスへの守りの体勢。

 シュンとイクオスの脚がボール越しにぶつかった。

「ぐっ⁉」

 右足に強烈な衝撃。思わず顔を歪ませる。

「パワーで俺に勝つつもりかよ!」

 喧嘩無敗のイクオスの蹴りがボール越しからでも脅威の威力を誇っていることが右足から伝わってくる。ボール越しでも痺れてしまうほどのパワー、力比べでは絶対に勝てない。

「勝てるなんて思ってないさ!」

 だがそんなことは百も承知。

 シュン、すぐさまもう片方の足でボールの側面を蹴り、自身は吹き飛ばされながらもボールを取られることなくこぼれ球にした。

「なっ⁉ ボールが!」

「よし、貰った!」

 そのこぼれ球にトノスが追いつき拾って前に進んでいく。

 イクオスのドリブルを止めた。

 初っ端から相手チームの攻撃を防いだ。さすがにこれはダーディススクラプの選手たちにも動揺が走る。

『止めた! シュン選手! イクオス選手の攻撃的ドリブルを見事止め切った!』

「い、イクオスさんがこんな簡単に止められた……!」

「止まってねえでさっさと動けっス!」

 喝を入れながらトノスを追いかけるパイプ。

そのまま相手にボールをキープさせたままでいられたら点を取られてしまう。ボールを奪われたのならすぐに奪い返して反撃してやればいい。

「止まりな! 『ウォータータックル』

「うぉ⁉」

 真横から水をまとったスライディングタックルで突撃する。いきなりの魔法のディフェンスに対応できず直撃するトノス。そのまま力を込めて肩を突き上げて上空に吹き飛ばした。

「ぎゃあ⁉」

「イクオスさん! 頼むっスよ」

「ああ!」

 再びイクオスにボールが渡る。

 今度こそは点と取ってみせる、そう意気込んでゴールへ向かって走り出す。

「取らせませんよ!」

「どきな!」

「ぎぇ⁉」

 攻めてくるイクオスを止めようとミンホイがカットしに行くも、肩を突き出して力を込めたパワフルなドリブルで軽々と吹き飛ばされてしまった。ゴールを遮るものは全て吹き飛ばす。その気持ちでゴールへと走っている!

「通させるか! 皆、イクオスにプレス! 私は他の選手の警戒する」

「ああ、わかったぜ!」

 マデュランの指示と共に守備陣が動く。イクオスの攻撃を封じ込めればダーディススクラプの攻撃は止まるようなもの。

「飛ばすぞ、『疾駆韋駄天』!」

 風をまとい、嵐と共にゴールへ飛んでいく。己を邪魔しようとしてくる選手を強引に吹き飛ばしてでもゴールを決めに来た。

「くっ⁉」

「わあ⁉」

 嵐の暴風が相手選手を吹き飛ばして、そのまま豪快に走りゆく。

「――丸見えだ! 『ストライクタックル』!」

 ――ガシンッ!

「なにぃ⁉」

 地面スレスレの人影がイクオスの足元へとやってくる。

 リンナイトがお得意の高速スライディンタックルをお見舞い。イクオスの足元にあるボールを奪い去って攻撃を封じ込める。

 何度も突破されてたまるか、そんな意地を感じるリンナイトの『ストライクタックル』。見事にボールを奪ってみせた。

「へっ、パワーがあろうとまっすぐ来てくれるならボールだけでも取れるのよ!」

『ま、また止める! リンナイト選手の鋭いスライディングタックルが炸裂! イクオス選手、思うようにプレイができない! ダーディススクラプ、攻撃が潰されていく一方だ!』

「ま、また⁉ イクオスさんが封じ込まれている⁉」

「シュン、頼むぜ!」

「はい!」

 ダーディススクラブの選手が絶望の表情を浮かべている中、スライディングの体勢のままパスを出すリンナイト。そのボールを受け取ってすぐさま走り出すシュン。

「お前ら! シュンを止めろ!」

 すぐに指示を出すイクオス。

 シュンにボールが渡ってしまった。

 彼にシュートを打たせてはならない。シュンのマジックシュートはシガー単独では止められない。だからこそシュンを止めなければ。

「とまれ!」

「シッ!」

 ホーラが止めにかかるも、足のギアを上げて目にも止まらぬ速さで走り込み、ホーラの横を通り抜けていくシュン。『ギアチェンジ』だ。

 いとも簡単に抜き去った。

「……あれ、いない?」

「おい、ホーラ! なに突っ立ってんだ!」

「ぱ、パイプ~! き、消えたの! シュン消えた⁉ どこにいるの⁉」

「背後っスよ!」

 首を左右に振るホーラは放っておくパイプ。シュンを止めようと追いかけていく。

 シュンは得意のドリブルで敵陣をどんどん突き進んでいく。そのシュンの姿を見てダーディススクラプの選手たちの顔がだんだんと焦りの表情へと変化していった。

「と、止めないと!」

「わかってるよ!」

「オラッ! いい加減、俺のタックルにぶつかりやがれ!」

「それは勘弁だな!」

 ダーディススクラプの三人の選手が、シュンを止めに行こうとする。前二人が火と風のショルダーチャージをかまして、後ろにいる選手が魔法陣を展開してシュンの動きを注目する。シュンを絶対に止めるため、魔法を組み合わせた連続ディフェンス。

 これなら止められる。

 そう思って突撃すると、

「モーグリンさん!」

 シュンは迷わずパスを出そうと横を見る。

 それを見てダーディススクラプの選手、思わず体を強張らせた。

 ――ボールがない状態の相手にタックルを仕掛けたらどうなる?

「ま、まず⁉」

「なんてな! 『ゲイルステップ』!」

 動きが鈍くなったその瞬間をシュンは見逃さない。

 魔方陣を展開。そして豪風と共に大地をかける。コンビのショルダーチャージディフェンスを旋風の如き速さですり抜け、背後にいたもう一人の選手は空中で軌道を変えて飛び越えて突破する。

 三人のマジックディフェンスなんて脅威すら感じない、軽々と通り抜けてしまった。

「「「なっ⁉」」」

『鮮やかなドリブル! 空中で進む軌道を変えて突破した! ドリブルの申し子は地上だけでなく空でも止められない!』 

「無茶なドリブル……っ!」

「今度こそ止めるぞ!」

「おう!」

 だがダーディススクラプの守りはまだ止まらない。たった二人のDFであるコヒバとスヌースが魔方陣を展開してシュンを止める構え。シュンだけにはシュートを打たせない。必死の守りだ。

 それを見たシュンは顔を横に振って周囲を見渡して、

「よっと!」

 味方へパスを出そうと足を振って、

「ぱ、パス⁉」

 パスキックが見えた瞬間、魔方陣を消してすぐさま周囲の選手を警戒しつつシュンにつめよる。

「迷いが見えるぜ!」

 だがそんな中途半端な守りではシュンを止めることはできない。

 動きの迷いを見て、シュンはパスキックを中断。そして素早く足を踏み出して、ディフェンダーの二人組の間をすり抜けて突破した。

「そ、そんな⁉」

「い、今のはイクオスさんの『キックフェイク』⁉」

『フェイント⁉ イクオス選手のお株を奪うようなパスキックに見せかけてからのドリブルだ! これには相手守備陣も騙されてしまう!』

(ち、違う! これは!)

 そして味方の動きを見てイクオスは苦い虫を嚙むような表情を浮かべていた。

 今のチームの状態がどれだけヤバいのか気づいてしまったのだ。

(マズイ! さっきのファールが原因か⁉ 動きが鈍い!)

 見ただけでわかってしまうほど拙いディフェンス。ただボールだけを取ろうとして足を動かしている。タックルもチャージも勢いがなくただぶつかろうとしているだけ。

 ビビっている。

 もしシュンにマジックディフェンスを仕掛けたら、さっきのようにファールを喰らってしまうかもしれない、そのことに怯えて守りの動きが鈍くなっている。

 確かにファールを貰ってイエローカードでも貰ったマズイ。何よりシュン相手にファールを仕掛けてしまったら、フリーキック、もしくはペナルティーキックを相手チームに渡してしまう。

 そうなればあのシュンが蹴るだろう。

 自由な状態でシュンにボールを打たせるなんてこと、そんな事させたらすぐさま点を取られてしまう。

 だから強引なディフェンスに躊躇が入る。

 自分のプレイが敗北につながってしまうかもしれない、そのことに怯えているのだ。

(皆、シュンに怯えているってことかよ……誰よりも魔法を使うことができない選手に)

 魔力を収める器が小さいシュン相手にビビっている。

「そしてそれをシュンはすぐさま見抜きやがった!」

 だからこそ味方を見るような動作を入れたり、パスキックを仕掛けてみせたりして自分たちを惑わせに来ている。ただでさえファールにビビっているのに、さらにシュンが揺さぶりをかける。そうなればディフェンスの動きはガタガタ。シュンにとっては突っ立っている棒の横を気楽に走っていくようなもの。

 今のダーディススクラプの状態ではシュンを止める者はイクオスしかいない。

 それほど心理的にマズイ状況へとなっていたのだ。

「――ええい! 他の奴らビビんじゃねーっスよ!」

 そんな状況でもパイプはイラつきながらシュンを追いかけていた。

(俺たちの『ケンカサッカー』は攻めは強引に、守りは攻撃的に止めてこそだろうが! ファール取られようが点取られたら負けだ! レッドカード貰ったら、その状況を作り出した相手チームを素直に褒めるやるだけだぜ)

 FWのパイプだが、危機的な状況においてはさすがに自身も守りに入らなければならないとことは理解している。

 それにシュンがここまで攻め込んだのなら、今ここで止めればあの技でカウンターを狙える。だからこそ自陣に戻ってシュンを止めに来たのだ。

「テメーだけにはシュート打たせるかよ……!」

 もう点は奪わせない。

 点を取るのは俺たちチームの特権だ。

 そう思ってシュンに突撃した。

「止まれ!」

「あぶな⁉」

 背後からの回し蹴りスライディング。

 しかし周囲を警戒していたのか、シュンはボールと共にジャンプして回避。ボールを奪われることを阻止した。

 なんという危機察知能力。

「あめえ! 『瀑砕昇』!」

「――ぐぅ⁉」

 だがパイプ、そう簡単には止まらない。空に逃げたシュンを見逃さない。

 本気のディフェンスでもシュンになら避けられると思っていたパイプ、ここで魔法を発動。ボールの真下から水がジェットのように噴出して、シュンの胴体に直撃。そして吹き飛ばしてボールを強引に奪い去った。

「シュン⁉」

「イクオスさん! 受け取れ!」

(ここだ!)

 パイプからのパスを受け取り、今こそが攻め時だと直感が告げる。

「お前ら集まれ! 中央突破の『炎陣悪競』だ!」

「「「おう!」」」

 イクオスを護るように選手たちが周囲に立つ。そして全員同時に前に走り出してバリアを展開。大きな槍となってゴールへ特攻し始める!

『出た! ダーディススクラプ! 攻撃陣が集まって突撃の構え! マギドラグの守備陣を蹴散らしに行くぞ!』

「また来た!」

「強行突破ってことかよ!」

 再びの『炎陣悪競』に険しい表情を浮かべるマギドラグ守備陣。

 生半可な守りでは防ぎきれない。

(無理に止めように行くと弾き飛ばされるし、あの技が解除された隙を狙おうにも、イクオスを囲っているほかの選手が妨害するだろう)

 全員で特攻してきて邪魔するものを蹴散らしながらゴールへと進む。

 シンプルかつ大胆なダーディススクラプらしい戦法。

 マデュランはゴールに突撃してくるダーディススクラプの集団を見て、

「真正面から突撃してくるのなら……スラ、トイズ」

「ん、なんだ?」

「なによ?」

 リンナイトとトイズに何かを話すマデュラン。その間にダーディススクラブの選手たちが突っ込んできている。

「ぐっ⁉」

「きゃ⁉」

 彼らの全員特攻には中盤にいたアイメラ兄姉やモーグリンたちも突き飛ばされて地面を転がる。

 どれだけ邪魔をしてこようが全員吹き飛ばしてゴールに突き進んでいく。

 これこそはダーディススクラプが編み出した超攻撃的なタクティクス、『炎陣悪競』なのだ。

「オラオラ! 邪魔だ邪魔だ! どけどけ!」

「イクオスさんのお通りだぜ!」

「おとおりだ!」

 フィールドの中央を我が物顔のように突き進んでいくイクオスたち。自分たちは誰にも止められない。そう思ってゴールへと全力暴走だ。

「ん⁉」

 だが進んでいくと、マデュランがイクオスたちの進む道の真ん前に立ちふさがってきた。

 周りを見るとほかのディフェンダーたちはゴールの前に集まっている。

「この『炎陣悪競』が終わった後に止めに来るか? だがほかの仲間がそれをさせねえぜ、邪魔してきた瞬間に壁になって妨害してくるからさ!」

「へっ! そんなとこに突っ立ってよ! 吹き飛ばされてえ見てえだな!」

 ダーディススクラプの不良たちがマデュランを吹き飛ばそうと速度を上昇、全速力で大地をかける。

 マデュランを吹っ飛ばせば、あとはイクオスがシュートを打ってくれればいい、『臥龍空牙』はマデュラン以外に誰も止めることができないのだから。

「邪魔邪魔! どきやがれよ!」

「……ふぅぅう」

(いや、違う!)

 喧嘩野郎の感が告げる。

「『タワーシールド』!」

(コイツ! 一人で止めるつもりか‼)

 マデュランの魔法が発動するのを確認して、イクオスはマデュランがしようとしていることを察知した。

 強固なる壁、『タワーシールド』で『炎陣悪競』を止めようと。

 マデュランの前方に塔の盾が現れる。

 全力の魔力を込めて『タワーシールド』をイクオスたちにぶつけた。

『す、すごい衝撃! 塔の盾と巨大の槍が激突! ま、マデュラン選手! 一人でダーディススクラプの『炎陣悪競』の動きを止めている!』

「ま、マジかよ⁉」

「お前ら! 動揺するな! マデュランを突破すれば俺がシュートを打つ! 最後の壁を乗り越えな!」

「は、ハイ!」

 自分たちの攻撃が止められたことに戸惑うも、イクオスすぐさま激を飛ばす。その言葉を聞いて、足に力を込め、バリアの強度を高めてマデュランの盾に突撃をかました。

「ぐぐぐ……っ」

 冷や汗が零れる。

 盾にヒビが入って広がっている。

 いくら防壁の如く鉄壁な盾であっても集団で突撃を止めるのは険しい。

 それでも全身に力を込めてダーディススクラプの『炎陣悪競』を必死になって止め続ける。

「壊れろ!」

 マデュランの盾壁を崩壊させるために、ダーディススクラプが力込めて全員突撃を仕掛けに行った。『タワーシールド』に大きくヒビが入っていく。このままでは壊されてしまう。

 

「――止まっちゃえ!」


 どこからともなく声が聞こえる。

 するとイクオスを中心に大きな火柱が立った。

「なっ⁉」

 突然の異常事態にイクオス驚愕。ほかの選手も驚いて固まった。

 そしてその直後、熱風が炎と共にイクオスたちに襲い掛かるのであった。

【エルドラドサッカー日誌】

 スラ・リンナイト

 身長169センチ 魔力属性 水 

 マギドラグ魔導学院に在籍しているの男子生徒。学年は三年生。ポジションはディフェンダー。

 他人に厳しいが自分にも厳しい荒々しい気性なお人。割と短気な性格であることは本人も認識しており、特にアイメラ兄姉たちのいたずら行為にはよく怒鳴っている。

 マデュランとモーグリンとは幼いころからの友人であり、サッカーを始めたきっかけもマデュランがサッカーをしようと持ち掛けたことがきっかけ。魔法の名門学院であるマギドラグ魔導学院に入ったのも、二人がこの学院に入学するという理由。

 学院の授業である危険区域の冒険で鍛え上げられた持ち前のスピードを生かしたディフェンスが彼の持ち味であり、ボールを持っていないときの走る速度はサッカー部で一番のスピードでフィールドを駆けまわる。そしてそのスピードによるタックルやチャージで相手選手を吹き飛ばしていくのだ。『ストライクタックル』はそんな彼の十八番の技である。

 実はクラスの学級委員長。といってもこの学院は基本真面目な生徒ばかりなので、クラスを簡単にまとめることができるので苦労はあんましていないと本人の談。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ