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魔導のファンタジスタ  作者: ルジリオ
序章
7/130

魔法のサッカー

(オドロン村には仕事で来たけど、やっぱ故郷ってのはいいものだな)

 魔導士になり、オドロン村に久しぶりに帰ってきたリーザンはそう思った。

 友人からは久しぶりに出会い他愛もない話をし、両親は嬉しそうな顔をしながら今日の晩御飯を作ってくれる。

 そんな日常が久しぶりにやってくる。村に帰ってきてよかったと思える。

 しかも今回はそれだけではない。

「じゃあ、リーザン。サッカーを教えるよ。しっかりついてくるんだよ」

「おう」

(そして面白い遊びもある。サッカーってゲーム、どんなもんだろうな)

 そして村では自分の知らない遊びが生まれていた。

 リーザンはサッカーという存在をシュンから教えてもらうことになった。

 そしてシュンのほうもサッカーのルール、サッカー専門用語、ドリブルやパスやシュートなどの技術など様々な情報を惜しげなく教えていくことにした。

 最初に教えたのは簡単なルール。ボールにてに触れてはいけない、そんな基本的ルール。

「このサッカー、お前が作ったのか、シュン」

「うん、最初は球蹴りだったけど、面白い遊びにしたくてね。いろんなルールを足していって今のサッカーが生まれたんだ」

「なるほどな」

(……子供が作った遊びにしては、ルールは結構きっちりしてんな)

 子供たちのサッカーを見ながらそう思った。ただボールを転がしているところもよく観察すればボールへのタッチの仕方、パスだって相手にとられないように考えながらしているのもわかる。シュートだってきちんとコースを狙ったり曲がる起動を描くように蹴っているのを見て、ただ足を振っているだけじゃないのはわかった。

(ゴールにボールをいれれば点が入る、そして点が多ければ勝ち、勝負の決着の仕方がわかりやすく、なおかつ様々なサッカー技術や頭脳プレイも必要。奥が深い)

 観戦者としてサッカーを見ていたリーザンはそう思った。

 だからこそサッカーに興味を持ち、自分でプレイしてみたいと思ったのだ。

「じゃあ、最初はシュートを打つか。シュートはサッカーの醍醐味だからさ」

「ボールを蹴るなら俺にもできるぜ。うまく蹴るコツとかあるのか」

「シュートにも色々あるんだ。例えば――」

 シュンは足を振り上げて、ボールを蹴る。

 ボールはゴールのそとに向かって飛んでいく。的はずれなコースだ。

(失敗したのか? まあ、そんなこともあるか)

 そう思ったリーザン。するとボールをは大きな円を描くような軌道を描き、ゴールの枠内にボールが入っていった。

 カーブシュートである。

「おおっ! 曲がった! さっき見ていたカーブボール! いや、でも曲がりすぎだろ! どうやったんだよ、シュン!」

 興奮ぎみに聞いてきたリーザンに、シュンはきちんと説明した。

「ボールを擦るように蹴って回転をかけて飛ばすんだ。そうするとあんな軌道を描くんだよ。ボールを蹴る、それだけでも様々な撃ち方がある」

「なるほどな、回転か。確かに魔法でも回転をかけて威力をあげたり起動を曲げたりする技術があったな……そういえばさっきシュンは空中でシュートを打ってたな。なあ、他にとっておきのシュートとかないか? あったら見せてほしいんだがよ」

(この展開、子供達にカッコいいシュート見せて、ってせがまれた時に似ているような)

 必殺シュートを求められることはよくある。シュンのダイナミックなシュートは子供達にとっては真似したい憧れなのだ。

 だがまさか大人の魔導士にそれを求められるときがやってくるとは。

(サッカー漫画のシュート、練習しておいてよかったな。じゃあ、今回はこれを見せるか)

 シュンはボールを地面においてチップキックで真上に浮かばせる。そしてそのまま前方向に体を回転させた。

 するとかかとがボールにぶつかり、その勢いでまっすぐボールが飛んでいく。

「かかと打ちだと!」

「これ、結構便利なんだ。頭上のボールを素早く打てるからさ」

 前転しながらのシュート。

 かかとをぶつけるシュートならスコーピオンシュートと呼ばれるものがあるが、シュンはそのシュートに前転を加えることによって素早く打てるようにしたのだ。

 そのシュートを見てリーザンは面白いものを発見したかのような表情をした。

「よし、そのシュート。早速真似してみるか!」

 リーザンはボールを握りしめて上空に投げる。そしてボールが落ちて地面に向かっていく瞬間、

「オラッ!」

 シュンと同じように、前方向に体を回転させて、かかとをボールにぶつけようとした。

(すごい身体能力! 魔導士は魔法だけでなく身体能力も普通の大人より高いんだな!)

 そう感心して、シュンは彼のシュートが成功することを祈った。

 ――スカッ。

「「あっ」」

 二人とも気の抜けた声が重なった。

 かかとはボールをかすることもなかった。

 そしてボールを空ぶった足は地面さえもからぶって、そして回転の勢いのまま地面に顔面がダイブ。

「ウゲッ!?」

「うわ……痛い。絶対痛い」

 石につまずいて手を地面につき出さないで、そのまま顔面が大事に激突したようなもの。運が悪かったらはがおれてもおかしくない大惨事が、いま目の前にある。

 場が静まり返った。風の音もしない。

 しばらくするとリーザンが立ち上がる。顔を赤くなっていたが、怪我はしていないようだ。

「リーザン、大丈夫か?」

「…………シュン。地上で打つタイプのシュートから教えてくれ」

「わ、わかった」

 もう心配しないでくれ、そんな思いがリーザンの声から伝わってくる。とりあえず、無事みたいだ。魔導士は身体能力も普通の大人より高いから、あんな事故が起こっても大丈夫だったのだろう、たぶん。

 リーザンが立ち上がるまで待ったあと、シュートの練習を再開した。

「魔法でも基礎が一番大事だからな。やっぱ、最初は地味目なシュートで練習だな」

「でも、リーザンの身体能力はすごかった。俺の動きをすぐにコピーできていたし」

「こう見えて魔導士名乗ってないからな。今の魔導士は健康な体も大事なもんで。同期のなかじゃあ、誰よりも速く走れるし、高くジャンプできる」

「なら、あとはボールの扱いに慣れさえすれば大丈夫だ。すぐにサッカープレイヤーとして活躍できるぜ」

 シュンはボールを地面において、

「最初はボールを見てシュートを打つんだ。慣れればボールだけじゃなくて周囲の状況や相手のゴールなどを見ながら打つけど、初心者がやるとボールをからぶってしまうからさ」

 お手本のように地上でのシュートモーションをみせる。

 無駄のない鮮やかな蹴りのモーションは十分にボールに力をのせてシュートを打つことができ、真っ直ぐゴールのど真ん中めがけて進んで入っていった。

 地味な動きながら無駄のない動きで繰り出されるシュートにリーザンはほう、と感心した。

「よし、リーザン。ボールを蹴りまくろう! 好きなように蹴っていいよ」

 動きをみせたシュンはリーザンにフリーシュートの練習をさせる。

 ボールを蹴るのは楽しいものだ。だからシュートをたくさん打たせたい。

 リーザンは足元におかれたボールを踏みながら、

「なあ、シュン。好きなように蹴っていいのか?」

「う、うん」

 なんか意味深な聞き方にシュンは戸惑いながらもうなずく。

 するとリーザンはボールを足元に近づけて、

「なあ、シュン。面白いもんみせてやるよ」

 そういうと、リーザンは足を大きく振り上げる。

 ――そしてリーザンの足元に赤色の魔方陣が姿を表した。

「えっ!?」

 突然の行動にシュンは驚愕。

 なぜ今この状況で魔法を使う。

 戸惑いながらそう考えていると、リーザンは口の端をつり上げて、

「面白くなってきただろ? 『ファイア』!!」

 シンプルに、そう呪文を唱える。そしてそのままボールを蹴った。

 すると飛んでいったボールが赤く染まる。炎に包まれたのだ。

 そして燃え盛るボールはゴールの枠にぶつかり、木の棒をへし折りながら燃やして灰にした。それだけでこのシュートの破壊力が伝わってくる。

「どうだ。最高にイカしたシュートだろ? 俺考えてみたんだよ。魔法を混ぜた蹴りなら、お前のアクロバットな蹴りに匹敵するぐらいかっこよくなれると思ったんだよ。思った通りだったな」

 してやったり、な顔を浮かべて今のシュートの出来に惚れ惚れするリーザン。いたずらをした少年のような表情をしていた。

 そしてしばらくたったあと、

「……やば、ボールもゴールも壊しちまった」

 自分のしたことがやり過ぎたことだと言うことに気づいた。

 子供達が作ったものを壊してしまった。その事に顔を真っ青に染めるリーザン。

「……リーザン」

 シュンの声に肝を冷やすリーザン。額に伝わる汗が妙に冷たい。

 怒っているだろう、すぐさま謝罪しなければ。

「す、すまん! ちゃんと修理するからよ! 許してくれ!」

「――今のシュート! 最高だったぜ!」

「えっ?」

 怒られると思って謝っていたリーザンだが、シュンの言葉に呆気をとられる。

 起こられるどころか誉められたからだ。

「なんで今まで考えてなかったんだ! 魔法だ! 魔法を組み合わせたシュート! カッコいいに決まっている! スゴいもん作ったな、リーザン!」

「そ、そこまで誉めてくれるとはよ、照れるぜ」

「シュン! 今のシュートなに! 燃えるシュートカッコよすぎない!」

「あっ、村の皆。今のシュートは俺じゃなくてリーザンが打ったんだ」

「マジか! だから火の玉シュートがゴールに向かって飛んでいったのか!」

「魔導士さんはシュートも上手くて、魔法も上手い! 憧れるな~」

「そんなに誉めんなって! 調子にのっちまうぜ!」

 いつの間にかシュンとリーザンの回りに子供達が集まっていた。あれだけはでなシュートを打てば興味をもってリーザンに危機に来るのは当然。シュンだけでなく村の子供達もリーザンのマジックシュートに夢中になったのだ。

 村の子供達に誉められて気分をよくするリーザン。さっきまでの慌てっぷりが嘘のようだ。

(魔法か……!燃えるシュート、風のように速いドリブル、大地を揺るがすようなディフェンス! そんなサッカーができるかもしれないのか!)

 先程のシュートを見てそう感じたシュン。

 この異世界だからこそできるプレイング。

 魔法が存在しているからこそ、今のシュートを産み出すことができたのだろう。

「魔法を組み込んだサッカー! 普通のサッカーも楽しいけど! 魔法サッカー、そう、『マジックサッカー』も絶対に楽しいぜ!」

 シュンは興奮ぎみにそう叫んだ。

 そう、今のシュートを見てシュンは心を奪われた。

 前世の世界では絶対にお目にかかれないようなシュート。それが目の前に現れた。

 サッカー好きのシュンにとっては魔法のシュートを見て興奮しないわけがない。

 だからこそこうも思った。

 ――魔法を使ったサッカーは楽しいものになると。

 魔法を組み合わせたサッカーなら、より凄まじいプレイングができるだろう。

 普通のサッカーも面白いんだ、異世界の『マジックサッカー』だって楽しいに違いない。

 シュンはサッカーの新しい世界を見た気がして、興奮を押さえられないでいた。

「リーザン! 『マジックサッカー』をもっと見せて! そして俺に教えてくれ」

「おい、リーザンさんにサッカー教えるんじゃなかったのかシュン!」

「……ドーロン、いいじゃねえか。面白く楽しんでプレイしてこそサッカーだぜ!」

「シュン。『マジックサッカー』を見せてやりたいが、俺はサッカーを知りたいんだ。シュート以外にも教えてくれると嬉しいんだが」

「……あとでマジックシュート見せてくれるか?」

「もちろんさ」

「よっしゃ! じゃあ速く教える! そして皆と一緒にサッカーをしたあと、マジックサッカーをみせてね!」

「ああ、見せてやるよ」

 そこからシュンはやる気に満ち溢れた顔でリーザンにサッカーの技術を教えていく。 

「ドリブルは最初はゆっくりでいいよ。ボールを常に足元にキープする。それができたらスピードをあげよう」

「わかった……転がしづらいな」

「手作りの毛玉ボールじゃあね。もっとちゃんとしたボールがあれば……まあ高望みなんだけどさ」

「ちゃんとしたボールか……あっ、ボールが飛んでいった!?」

「強く蹴るんじゃなくて優しく足でタッチするようにしてみて。足でボールを押す、そんな感じでもいいよ」

 ドリブルを教えたあとは、パス、ディフェンスと技術をどんどん教えていった。サッカー強い興味を持つリーザンは持ち前の身体能力でどんどん覚えていく。

 自分が教えたことをすぐに覚えていくリーザンを見て、シュンは教えがいがあるな、そう思った。

 サッカーの技術を教えたあとはサッカーの基本ルールを教えていった。ゲームをするなら当たり前のルールを覚えなければ。

「ボールに手で触れてはいけない、のはさっき教わったが、ゴールの前のヤツは触れていいのか?」

「ゴールキーパーは特別でボールに手で触れていいんだ。ゴールを防ぐには足だけじゃあね」

「なるほどな。なあライン越えたらボール投げるやつあるだろ」

「スローインのこと?」

「それだ、そのスローインってルール細かくないか? 投げ方しかり、ラインを片足でも越えちゃあいけなかったり」

「確かに。でも頑張って覚えよう、スローインは攻撃のチャンスだから、うまかったから一気に点をとれるからさ」

 そして、サッカーの基礎をリーザンに教えたあと、二人は子供達が遊んでいるフィールドに入って、子供達と混ざってサッカーをすることになった。

「皆、リーザンと俺が入る!」

「お、戻ってきたぞ」

「どんなに上手くなっているか楽しみ! 魔導士って魔法が上手なだけでなくて体も強いんでしょ! スゴいプレーが見られるかも!」

「はっは、期待に答えないとな」

「あっ、さすがに魔法は使わないでね。俺たちまだ魔法があまり使えないんだ」

「わかってる」

「じゃあ、パス渡すから自由にプレイして。俺はサポートに徹するから」

「オーケー」

 試合が再開。

 シュンはリーザンにパスして、リーザンがドリブルを仕掛けた。

「おお、もうあんなにドリブル上手くなっている!」

「最初はボールを強く蹴りすぎてどっか遠くに飛んでいったのに」

「おい、聞こえてんぞ少年少女!」

 相手チームの驚く声に怒鳴る。ちょっと大人げない。

 リーザンが初めてドリブルをしたとき、ボールタッチの力加減がわからず遠くに蹴飛ばしてしまったのだ。

 だが今のリーザンはシュンと一緒に練習したおかげで、ドリブルをできるようになった。 

 そして相手を目の前にして、低い体勢の状態でダッシュを仕掛けて一瞬で抜き去った。ボールもちゃんと足元に残っている。

「うわ! 速い!」

「一応俺は魔導士だぜ。サッカーは始めたてとはいえ、子供相手には負けられんよ」

「隙あり!」

「うおっ!?」

 ドリブルで抜かして気を抜いた瞬間、スライディングタックルでボールをとられてしまうリーザン。子供達もほぼ毎日シュンと一緒にサッカーをしているため、実力はかなり上がっているのだ。

「まったく、普通に取られるならともかく!」

 相手を抜いて嬉しいって気持ちはわかる。

 シュンはボールをとった子供にすぐさま近づいて、

「ほらよ!」

「あっ!?」

 ハイスピードで突っ込み、ボールをカットしてすぐさまダッシュで抜き去る。シュンはディフェンスだって上手いのだ。

「リーザン、ゴールをいれるまで油断しないで」

「すまんすまん! ちょっと調子に乗っちまった!」

「リーザン、パス!」

 シュンはリーザンにパスを渡す。

 そして瞬時に辺りを見渡した。

(味方はシュンだけじゃない。同じチームの子供達もいる)

「ドリブルだけじゃねえ。パスだって練習したんだぜ。見せてやるぜ!」

 そこからはパスの連携で相手を抜いていくことに決めたリーザン。

 シュンや見方チームにボールを渡していって、パスで確実に前進。少しづつだがゴールに近づく。

「ぱ、パスも上手い!」

 素早いパス連携に相手チームは険しい表情を浮かべた。

「シュン、受け取って!」

「おう!」

 仲間からのパスを受け取ってサイドラインからドリブルで走っていくシュン。

 途中、シュンからボールをとってこようとする相手を抜き去りながら、ゴール付近を瞬時にみる。

 ゴールの前にリーザンがいる。

 絶好のラストパスチャンスだ。ここから相手のゴール付近に高いパスをあげてやれば、リーザンはシュートを打ってくれる。

「ラストパス! 決めてくれ、リーザン!」

「おう!」

 リーザンにセンタリングをあげた。

 絶好のパスボールにリーザンは決めてやると真剣な表情になる。

 向かってくるパスを、リーザンは背中を向けながら上空に飛ぶ。そしてそのまま後ろ方向に回転して、

「飛べ! 『オーバーヘッドキック』!」

 強烈な蹴りが炸裂。

 シュンから教えてもらって練習して身に付けた、オーバーヘッドキックだ。始めて打ったとき空振って空中でうつ伏せのまま地面に落ちたのはリーザンとシュンだけの秘密である。

 強烈なパワーで放たれたボールは目に求まらぬ速さで飛んでいき、ゴールキーパーが動くこともなく、ゴールへと入っていった。

「入ったか、ヨシっ!」

「ゴール! スゴい、一日でオーバーヘッドキックを習得するなんて!」

「シュンもリーザンも、二人うま過ぎるよ。シュ~ン、どっちかこちらのチームに頂戴」

「いやーすまん。一応、リーザンは今日始めたばっかの初心者じゃん。だから同じチームの方がよかったかなって」

「まあ、ならしょうがないけどさ。こんなに上手になったんだから、でも次は勘弁」

「私は魔導士さんと一緒のチームで戦いたいわ!」

「おいおい、俺たちもリーザンと一緒に戦いたいぜ。魔導士さんと一緒にサッカーできるの郷しかないんだよ!」

「待て待て、日が沈むまでまだ時間はあるんだ。どっちにも俺が入ってやるから、喧嘩するなって」

 リーザンを欲しがる子供達の口論を止めようとする。魔導士であり、ダイナミックなプレイングをするリーザンは子供達も夢中だ。

「リーザン、どう。サッカーは」

 シュンはそう聞くと、

「ああ、楽しいな。ボールを蹴る、それだけでこんなにも楽しいなんてな」

 自分の知らないゲームを体験してみて、リーザンは満足していた。

 ボールを蹴るだけでここまで楽しくなれる遊びが存在するとは思ってなかったのだ。

 シュンはリーザンのその言葉を聞いて笑顔を浮かべて、

「それを聞けてよかった! どんどんやろう! 俺がリーザンを抜き去ってやるからな」 

「いくらサッカーがうまかろうがよ、子供相手にそう簡単に負けられるかよ。魔導士としての意地、見せてやるぜ」

 二人は闘争心をむき出しにして、楽しそうにしながらチーム決めで争っている子供達のところに向かっていった。

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