領域魔法【マジックフォースサークル】
「あの魔法は……上級魔法の『エクスプロージョン』」
観客席にいるレイカはフェネクスの放たれたマジックシュートを見て冷や汗をかく。この場所から見てもわかるほどの威力の高さ。
正直な話、シュートの打ち方はそれほどでもない。足の振りは早いが、シュートに蹴りのパワーをのせきれてない。でもそれ以上にあの上級魔法によってシュートの威力が格段に上がっている。
魔法サッカーを掲げているAクラスのキャプテンらしいシュートであるとレイカはそう思った。
「あのシュートは誰も止められない……一度放たれたら終わりよ」
ストライカーであり、幼少期のころから魔導の天才児といわれたレイカだからこそ、フェネクスの『エクスプロージョン』がどれだけ恐ろしいものかを理解しているのだ。
あれを止められるのはエルドラド魔導祭に出れるほどの実力を持ったチームのゴールキーパーぐらいだろう。
「でもシュン……あなたなら大丈夫……よね」
先ほどまでの勝ちのムードが消えたことにレイカは思わず強く手のひらを握りしめる。
――もしこの対決に負けてしまったらシュンはこの学院からいなくなる。
そのことを知っているレイカの心は不安が広がっていった。
フィールドにいる両チームは各チームに集まってエスバーが戻ってくるまで待っている。
エスバーは今ヒーリングタイムで治療中だ。フェネクスの渾身のマジックシュートを食らってしまったときに立ち上がるのも辛そうだったので、クアトルがヒーリングタイムを審判に頼んで、治療魔法を受けている。
「遅いな……やはりあのシュートのダメージが大きいのか?」
「ねえねえ、ス~ラ~」
「なんだ、チコ?」
「…………あの……その……」
「エスバー君なら~後ろにいるよ」
「うおっ! いつの間に! って声上げろよ!」
「……ひぃ!」
突然現れたエスバーに数人のサッカー部メンバーがビクッと驚く。驚かされたリンナイトが声を荒げてエスバーも悲鳴を上げてガタガタしている。
リンナイトの背後にいつの間にかいたらそれは驚く。
それはさておき、シュンはエスバーの体の状態について聞いてみた。
「エスバー、あんなシュート受け止めていたけど体のほうは大丈夫だったか?」
「……うん、異常はないって言われました。体のしびれもないですよ」
「そうか、それはよかったぜ」
どうやらプレイに支障が出るようなダメージはないらしい。
治療魔術士の回復魔法がよく効いたのか、それとも肉体のダメージは思ったよりひどくなかったのか。
だとしても、フィールドに戻ってきてくれてよかったとシュン含めサッカー部メンバーは安堵の息をもらす。
「戻ってきたか。気弱に見えて肝の据わった男のようだな、あのゴールキーパーは」
フィールドに戻ってきたエスバーを見てほほ笑むフェネクス。
その笑みは獰猛な獣が獲物を目の前にしたような、そんな見たものを震え上がらせるような笑い。
そして振り向いて自分のチームたちに声をかけた。
「みんな、集まれ!」
「は、はい! フェネクス様!」
「フェネクスさん、なんでしょうか」
Aクラスチームのほとんどの生徒がピンと背筋を伸ばして話を聞こうとしている。先ほど点を取った時の苛烈なプレイングを見て少しビビっているようだ。
いつも通りの態度なのは中東部から彼女を知っていたケットシーと冷静なフロストンの二人組だけである。
「ここからはあの作戦をやるぞ」
「あ、あの作戦って……まさか、あの魔法を?」
フロストンがフェネクスの作戦の内容に感づく。そして魔法をという単語で他のメンバーももしかして、と頭によぎる。
「え、あの魔法を使うのですか!」
「ああ、点は取ったが同点になっただけだ。だから試合が開始されたらあの魔法を使う」
「いや、でも……」
「なんだ?」
「さすがにやりすぎでは? あの魔法は効果が高すぎるため、他のクラスに向けて使うのはまずいかと……」
Aクラスチームのメンバーが心配そうな表情でそう聞いた。
「勘違いしてないか?」
「え?」
フェネクスの言葉に戸惑ったような声を上げた。
「挑戦者は私たちのほうだ。サッカーの実力ではサッカー部のほうが上。実際に先ほどまで私たちは負けていた。私たちが全力を出さなければならない立場なんだ。でなければ勝てない」
今までAクラスの方が得点で負けており、しかも試合の内容もよくない。魔法で有利に進めてはいたが、サッカーの技術では圧倒的にサッカー部の方が上。
サッカーの戦いでは相手のサッカー部の方が挑戦を受け入れるものだとフェネクスは試合の前半戦でそう思ったのだ。
もっともサッカー部の方もAクラスのことを乗り越えるべき壁だと思っているが。
「とくに……あのシュンという少年には手を抜くなんてことができない。彼は魔法の実力を無視してサッカーの実力だけでこのマギドラグ魔導学院にやってきたのだ。ここで手を抜くということは、勝利を放棄することになるぞ」
これはフェネクスの勝負師としての感。
先ほどの点は相手に大きな揺さぶりを与えるような一点であったであろう。だがしかしlまだ流れはこちらではない。
その原因はあのシュンという少年の存在。
サッカー部のメンバーは皆シュンに期待を寄せている。
どんな状況でも彼にボールを渡せば試合の流れが変わる。そう信じている。
そう思ってしまうほどの技術がシュンにある。
油断していたらシュンに一気に勝機を持っていかれてしまう可能性があるのだ。
「確実に勝つ。それがこの学院の生徒の代表であるAクラスの務めだろ」
「「「……」」」
フェネクスの言葉を聞いたAクラスチームのメンバーはしばらく考えるようなそぶりを見せて、
「わかりました、やりましょう」
「ええ。フェネクスさんの言葉通りです。全力で立ち向かいましょう」
フェネクスの作戦に賛成するのであった。
自分たちはこの学院で他の生徒の模範となるべきクラス。
ならばここは自分たちの出せる全力を披露する。
手を抜いて無様をさらすなんてことあってはならないのだ。
「よし、みんな! 逆転するぞ!」
「「「はい!」」」
勝利の号令に答えるAクラスチーム。
やる気は十分、気合も十分だ。
それを見ていたシュンは彼らの士気が高まっていることを感じ取り、やはり後半戦は厳しい勝負になると予感していた。
「エスバーも戻ってきたことですし。試合に戻りましょう」
「ああ、そうだな」
「同点にされましたが、まだ勝負は決していません。必ず俺が点を入れてみせます。ですから俺にボールを渡してください」
「ああ、わかっている」
「みんな、いい? 確かに一点取られたし、フェネクスちゃんのシュートは脅威だわ。でもみんなはここまでAクラス相手に戦えているのよ。だから後半も頑張れば勝てるわ。みんな、勝利を目指して頑張って」
「「「おう!」」」「「「はい!」」」
監督のクアトルの言葉に大声で返すサッカー部メンバー。
こちらも負けるつもりは毛頭ない。
自分たちだってエルドラド魔導祭のサッカー大会に出場したいのだ。
(……俺も、まだこの学院を離れたくないしな)
シュンだけは二つの理由を頭の中で思い浮かんでいた。
『おっと、エスバー選手、戻ってきました。どうやら体に異常はないようです。よかった』
エスバーが戻ってきたため試合が再開できる。フィールドに集まっていた各チームの選手たちは自分たちのポジションに戻っていく。
そして笛の音が鳴って試合再開。
シュンのキックオフ。
『さあ、試合再開! シュン選手がモーグリン選手にボールを渡して前に進みます――おっと?』
メロエウタが疑問の声を上げた。
それはAクラスの行動を見て思ったこと。
サイドライン付近にいるAクラスの選手が目を閉じて何かを唱えている。
そして足元に魔法陣を展開。どの魔方陣にも強力な魔力が秘められていた。
準備は整った。フェネクスは右手を突き出して、
「いくぞ! 『マジックフォースサークル』だ!」
「「「はい!」」」
フェネクスの号令とともに魔法発動。
各魔方陣の輝きが強くなっていく。すると魔方陣と魔方陣に魔力の線がつながっていき、複数の魔方陣が一つの巨大な魔方陣へと変貌していった。
「な、なんだあれは!」
『ま、まさか! この魔法は! 領域魔法、『マジックフォースサークル』だ!』
実況、Aクラスの魔法に驚愕。そして驚いたのは実況だけではない。観客席にいる生徒や先生たち、そしてサッカー部のメンバーもびっくりとした表情をしている。
「よし! 『フレイムタックル』よ!」
そしてその魔方陣の真上に立っているケットシーがボールを所持しているシュン相手にマジックディデンスである『フレイムタックル』を繰り出そうとしてきた。
スライディングタックルをしながら炎に包まれる。
「な! なんだこの大きさ⁉」
だが前にみた『フレイムタックル』とは違う。
彼女の足から炎を広がっていき、シュンの進む道を封じるかのような壁が作られた。その壁がシュンに向かってくる。
『あー! なんという火力! まるで炎の壁がシュン選手の前に迫りくるぞ!』
「くおッ⁉」
炎の壁にはいくらドリブルが得意なシュンでも熱波に巻き込まれて吹き飛ばされてしまう。
そしてケットシーはボールを取ろうとしたが、
「ああ! 威力が強すぎて……」
『フレイムタックル』の炎の威力によって、ボールを取る前に吹き飛ばしてしまい、ラインを越えてしまった。
そのことに嘆くケットシー、一方シュンは先ほどぶつけられた魔法の威力に戦慄していた。
「な、なんだ? この魔法のパワーは一体……?」
「まさか……『マジックフォースサークル』を使ってくるとはね」
隣に来ていたトイズがそうつぶやく。
今言った『マジックフォースサークル』とは一体なんだ。そう思ったシュンはトイズにこの魔方陣のことを聞こうとしたら、
「ほかのみんなは知っているけどあなたは田舎から来たからこの魔方陣がどんなものわからないわよね」
「まあ、そうですけど……」
どうやらシュンが聞く前に疑問を答えてくれるみたいだ。
「時間がないからわかりやすく簡単に教えるけど、あの魔方陣の上にいると魔法が強くなるわ」
「え⁉」
シンプルな答えにシュンは思わず魔方陣を見た。
「『マジックフォースサークル』……領域魔法の一つ。あれを使ってくるなんてAクラスチーム、本気なのね……!」
観客席にいるレイカが冷や汗をかいている。
レイカは知っているのだ、あの魔法がどのようなものかを。
「この魔法は元々籠城戦、すなわち魔法での戦争で使われることを想定した魔法。魔方陣の上にいる者に魔法に関する能力を上昇させる効果がある」
あの魔方陣は魔力を大量に集めて、そして魔方陣そのものに
その効果、魔法の威力、魔法の詠唱速度、魔力の消費を抑える、ほかにも効果はあるが、この魔法陣に立っていれば、魔法の能力を上昇させることができるのである。
「すなわち、あの魔方陣にいるAクラスのメンバーは元々魔法も優れているのに、さらにその実力が上がる」
ただでさえ魔法の腕ではAクラスの方が圧倒的であった。
それをさらに差をつけるための魔方陣、それが『マジックフォースサークル』なのである。
「まずいわ……それは聞いてないわよ」
サッカー部監督のクアトルも焦っていた。
この学院の教師だからこそ、Aクラスがしてきた魔法の効果をよく知っている。
(あの魔方陣の上ならば、魔法ありの一騎打ちでは絶対に勝てない! どうすればいい?)
そんな暗いことを考えてしまうぐらい、この魔法とAクラスのサッカースタイルはかみ合いすぎているのだ。
「……なるほど、魔法のサッカーにはこういう戦略があるのか」
確かに恐ろしい作戦だ、シュンは素直にそう思う。
だがだからといって何もしないわけにはいかない。この魔方陣を越えなければ得点を奪えない。すなわちこの魔方陣に立ち向かわないのは勝利を放棄することと同じだ。
「やるしかねえな」
正直どうやって攻略すればいいか、シュンにはまだ頭の中には思いついていない。
でも自分はストライカー。
点を取ることを諦めていない。
勝負を諦めることはこれっぽっちも考えていない。
そしてすぐに試合は再開される。
ボールを投げるのはモココである。
『さあ、ボールを持ったモココ選手! 思いっきりボールを投げた!』
ボールをスローイン。すぐさまシュンは動き出し、ボールをトラップして前に行く。
『ボールはシュン選手に渡る!』
「すぐに奪えば!」
Aクラスメンバーがシュンからボールを奪おうと近づこうとした、それをすぐに察知したシュンはボールを相手の左横に素早く蹴りだしつつ、自身は右側から抜き去る。
シュンを見ていたタルチュラは突然横に蹴りだされたボールに視線を追っていたら、反対側に突然いるシュンに驚き、簡単に抜かされてしまった。
そしてシュンはさらに目の前にいたAクラスの選手をスピードのギアを上げて素早く抜き去る。
そして集団から外れて一人で相手陣地に攻めていった。
「そう簡単に奪わされてたまるかよ!」
『シュン選手、この混戦の中、二人抜きで切り抜けた! さすがのドリブル!』
「やはりシュン相手では魔法を使わなければならないか!」
フェネクスは油断しない。
先ほどの一騎打ちでは勝てたが、それはシュンが守りに入っていたためだ。
シュンのドリブルを止めるのはそう簡単のことではない。
ならば魔法で確実に仕留める。
そしてシュンもフェネクスが魔法を使ってくると察した。
「そっちがその気なら!」
相手が魔法を使ってくるならこちらも魔法を使うのみ。
「吹き飛ばす! 『フレイムチャージ』!」
「『ゲイルステップ』だ!」
炎の巨大な盾とともに繰り出されるショルダーチャージ。風をまとって無理やり突破はフェネクス相手には無理だ。
ならばシュンは突風のドリブルで飛び越えて抜かすと考えて大地を蹴り飛ばすようにジャンプした。
「ぐっ!」
だが飛んだ瞬間、予想外のことが起きた。
風の勢いが強すぎてうまく制御できない。
ボールが風に巻きこまれて足元からこぼれてしまう。
「え⁉」
「うそ⁉」
あのシュンがドリブルをミスった。サッカー部のメンバー全員が驚いていた。
ボールをこぼしてしまったシュンはなぜドリブルをミスったのか、それはすでに分かっていた。
魔法が強化されたことが原因だ。
(魔方陣の上なら俺の魔法の威力が上がるのは考えていたが……予想以上だった!)
『マジックフォースサークル』は魔方陣の上なら誰にでもその効果を受けることができる。
すなわちサッカー部のメンバーも『マジックフォースサークル』の効果を活用することができる。
しかし、その効果を受けた魔法は予想以上の威力。
その魔法を使ったドリブルを制御しきれなかったのだ。
(当然だな。この魔方陣は威力を上げる。だがしかし、魔法の操作性そのものは上がらない。なぜならそれは本人の技量であるから。すなわちこの魔方陣をうまく活用するには魔法を扱う技量が必要だ)
『マジックフォースサークル』の効果はすさまじい。
ゆえに魔法を扱う技量がなければうまく活用できない。
実際この魔法をサッカーの戦略として活用しようとして練習をしてみたが、最初のうちはどんなプレイでも魔法に振り回されてすべてがうまくいかなかったのだ。
(そうだ、サッカーの技術がない私たちにはこの魔方陣の上でドリブルをしようものならボールはどこかに行ってしまう。だがしかし)
「ディフェンスなら何の問題ないな!」
守りならその魔法の物量を相手選手にぶつければいいだけの話。
こぼれたボールは魔法を解除したフェネクスがすぐさま拾って、
「この魔方陣の本当の作戦を見せてやろう!」
足を振り上げて魔方陣を展開。
この魔方陣は先ほどゴールを奪った『エクスプロージョン』の魔方陣。
ハーフラインより前からシュートを打とうとしている。
「まさか!」
フェネクスがしようとしていることが理解した。
「この場所からシュートを!」
ハーフラインを越えた距離からの超ロングシュートを放とうとしているのだ。
ただでさえ効果力の『エクスプロージョン』をこの『マジックフォースサークル』の魔法威力上昇の恩恵を得たのなら、どんな守りでも打ち抜く強力な無敵のシュートとなるであろう。
そんな『エクスプロージョン』、たとえサッカー部全員がシュートブロックしにいっても軽々とぶち抜いてゴールにボールをぶち込んでしまう。
「やらせるかよ!」
それに気づいたシュン、すぐさまボールに足を突き出してシュートを防ごうとした。
「これが、私たちが考えた作戦! 超ロングの『エクスプロージョン』だ!」
「オラッ!」
シュンの足とフェネクスの足が同時にボールにぶつかる。
「んぎぃ⁉」
足に来るこのぶっ飛んだ衝撃!
これがフェネクスの強化されたマジックシュートのパワー。
だが、それでも止めようとするシュンは足に力を入れようとするが、
「シュン、たとえどんな蹴りであろうとも!」
止めに来るシュン相手に、フェネクスはより魔力を足に込めて、
「お前と私では魔法のパラメーターが違うのだよ!」
そんな蹴りなど、まったく意味がないといわんばかりの足の一閃。
「うわああっ⁉」
シュンはフェネクスのパワーを押されて、吹き飛ばされてしまった。
そしてボールも赤い流星となってゴールに向かって突き進んでいった。
「やった! これで三点目だ!」
シュートを打ったことにAクラスのメンバー、シュートが決まったことを確信する。
灼熱のボールはゴールに向かって進んでいく。
「まずい! 止めなければ……」
「いや、待って!」
止めに行こうとしたマデュランをトイズが止めた。
するとシュートボールはまっすぐ飛んではいるものの左に少しずつずれていき、ペナルティーエリアに差し掛かったら大きく横に外れており、ゴールから大きく離れてどこかに飛んで行った。
「え⁉」
Aクラスのメンバー、驚きの一声。
ゴールが決まったかに思われたフェネクスのシュートは不発に終わった。
『お、おっと! これは大外れ! フェネクス選手の『エクスプロージョン』は決まらず! しかしこの外れよう……フェネクス選手のミスとは考えられません!』
「あぶなかったな……力比べじゃあ負けちまったが」
立ち上がったシュンは、額に流れている汗を指でふき取って安堵の息を吐く。
あの時、吹き飛ばされようとしたその瞬間に、もう片方の足をボールにぶつけてボールのシュートをわずかながら横にずらすように力を加えたのだ。
至近距離のシュートならゴールに入っていたかもしれないが、ハーフラインを越えた距離でのシュートならわずかに力を加えるだけでゴールにたどり着くころには大きく軌道がずれてしまう。
シュンのとっさの蹴りによってゴールを防いだのだ。
「フェネクス様のシュートが外れた理由、シュンさんの妨害が原因ですか」
「よく見ればフェネクスさんのマジックシュートを足で止めに行ったのにピンピンしている。完全にシュートの軌道をそらすことを考えて防御している!」
(……力押しで勝ってもシュートが決まらなかったのならシュンの守り勝ちだ。魔力を込める前のシュートなら軌道を変えられてしまう……か。だが)
ただゴールを見つめながら、
「一回でダメなら何回も『エクスプロージョン』を打ち込めばいいだけだ」
【エルドラドサッカー日誌】
マジックフォースサークル
地形や空間に魔方陣を展開して、その魔方陣の付近にいる人物に特殊な力を授けることができる魔法、それが領域魔法。マジックフォースサークルはその領域魔法の一つであり、この魔方陣の近くにいればその人物の魔法の効果を上昇させることができる。
かつては魔王がこの大陸にいた時、魔王軍の侵略を止めるために活用された魔法であり、籠城戦でこの魔方陣を展開して見事追い返したという。
この魔方陣の効果は生物なら誰にでも適用させるため、敵に利用されないように注意が必要である。