表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
第7話・新たな出会いと深まる交流
65/110

新たな出会いと深まる交流(16)

「まったくせつなったら、アホなんだから」


 集会を終え、生徒たちはそれぞれ自身の教室(クラス)へと戻っていた。


 せつなは教室へ入って早々、茉莉(まつり)にさきほどの集会中に叫んでしまったことに対して、小言を言われる羽目になったのだった。


「普通に考えたら、会長があの子を異能部にいれるわけないじゃない」

「だ、だって〜……。ヨヨちゃん、異能つかえるんだよ? そう思っちゃうよ〜」

「そうは言っても、此乃(この)先輩の例があるじゃない」

「むむむむむ……」


「まあまあ。二人ともそのへんにしましょう」と、くるるは言い合うせつなと茉莉の間に入り、そう言って止めた。


 そのときだった。教室の扉が開き、ヨヨときんぎょが現れた。


「せつなー!!」


 ヨヨはせつなを見かけるや笑顔で駆け寄り、せつなに抱きついた。


「せつな! ヨヨ、あいさつ、できました!」

「うん、見てたよ! すっごく上手にできてたね!」


 せつなに褒めてもらったヨヨは、頬を緩ませうれしそうだ。


 一方、くるると茉莉は既に席を立っており、きんぎょへと向かい合っていた。


「わわ……お、お疲れ様です」

「お疲れ様です、副会長」


 きんぎょは「おつおつ〜。つか、二人とも堅っ苦しいみたいな〜? 別に、きんぎょに対してはそんなかしこまらなくてもいいのに」と返事しながら、せつなたちの輪の中へと入っていく。


「やあ、せっつー。さっきは残念だったね〜、ヨヨっちが異能部じゃなくって」


 きんぎょに言われて、せつなは顔を赤くした。


「うぅ……副会長にまで言われると、改めて恥ずかしさが……。あ! でもよく思い出してみれば、副会長がヨヨちゃんが異能部になるかもって言ってくれたんじゃないですか!」


 せつなはきんぎょに詰め寄ると、きんぎょは、「ああ、確かに」と言いつつも、


「いや〜予想ハズレちゃった、みたいな? まあドンマイドンマイ〜。きんぎょだって、はなのんのこと、100パーわかるわけじゃないからさ〜、とりまメンゴメンゴ〜」


 と、大して気持ちのこもってない謝罪を返した。


 茉莉はそのやり取りに終止符を打つように、間へと入る。


「……で、副会長。なぜここへ? わざわざ一年のクラスに来るということは、何か用があるのでしょう?」


 茉莉は事務的にきんぎょへと質問した。きんぎょは「相変わらず、まつりんは冷めてるなぁ」と文句を呟きながらも、本題を話しはじめる。


「ヨヨっち、生徒会には任命されたけど、教室はせっつーたちと同じ一年のクラスに配属だから、案内がてら連れてきたの〜。ま、いきなり中学の勉強をさせるのはさすがに鬼畜ゲーだから、ヨヨっちだけは個別ドリルで対応だけどね。優しく見守ってあげてね的な?」


 せつなたちはヨヨを見た。ヨヨは「そ、そんなわけなので、よろしくお願い、します」と、深く頭を下げた。


 たちまちせつなの顔に笑みが浮かび、


「もちろんだよ! よろしくね、ヨヨちゃん!」


 と、ヨヨの手を取った。


「部活はバラバラになっちゃいましたが、同じ教室にいられるなんて、うれしいです! こちらこそ、よろしくお願いします!」


 せつなとくるるの温かい言葉に、ヨヨは笑んだ。


 ――しかし、まだ返答しないクラスメイトが一人。


「ほら、まつりんも」


 きんぎょに促され、茉莉は渋々といった様子で、耳を赤くさせながらヨヨと向き合った。

 不安そうに茉莉を見上げるヨヨ。

 茉莉は目を逸らしながらも、ゆっくりと話しはじめる。


「……えっと、アタシは生徒会だから……まあ、部もいっしょになるわけだけれど、アタシはこの二人みたいに甘くないから。必要最低限の世話だけはしてやるわよ」


 茉莉が言い終えると、すぐさまくるるとせつなは、ヨヨにこう言葉を添える。


「――つまり、茉莉さんは『こちらこそよろしくお願いします』と言いたいだけですから、細かい言葉は気にしないでくださいね」

「そうそう! 茉莉ちゃん、素直じゃないから! たくさんわたしたちに頼っていいからね!」

「なんなのよ二人揃って! 違うわよ! ってか、いちいちそんなこと言わんでよろしい!」


 茉莉は、自身の言葉を再翻訳する二人に対し、顔を赤くしながら反論した。


 ヨヨはすっかり安心した様子で、そんな三人の様子を笑ってみていた。


 きんぎょもそんなみなを、一歩引いた位置から静かに見守っていたのだが、不意に窓の外に視線をやり、窓に近づき外を見やった。


 遠くで一瞬光が見えた、次の瞬間だった。


「――みんな! 伏せて!」


 きんぎょは叫び、四人を守るように押し倒す。

 ほとんど同時に、教室内は白い光に包まれたのだった。




 ◇




 光は数秒続き、やがて収まりつつあるとき、せつなはゆっくりと目を開けた。


「一体、何が……」


 せつなは呟き、ふらつきながらも立ち上がる。視線の先には、ベランダへと出て外を睨みつけている、きんぎょがいた。


「せっつー。これ、ピンチかも」


 せつなが起きたのを察したか、きんぎょは教室内へと戻りながらそう言った。


「――ゲハイムニス、今度は学園(ウチ)に乗り込んできたっぽい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ