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【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
第7話・新たな出会いと深まる交流
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新たな出会いと深まる交流(12)

 きんぎょはヨヨを学生寮へと案内していた。


 一階のメインロビーについて軽く説明してから、階段を使い二階へと進んでいく。

 階段から一番離れた奥の部屋の前へ到着すると、きんぎょはスカートのポケットから鍵を取り出し、鍵穴へと差した。

 ガチャリ、と鍵の開く音が響く。きんぎょは扉を開け、ヨヨに言う。


「ん。着いたよ。ここが今日からヨヨっちの部屋」


 きんぎょはそう伝えたが、部屋の奥へと入ろうとしないヨヨ。きんぎょは、「いいよ、入りな〜」と声をかけると、ようやくヨヨはゆっくりと足を進め、部屋の中へと踏み入る。


 部屋全体を見渡したヨヨは、みるみるうちに笑顔を浮かべ、「わぁ〜……!」と感嘆の声を洩らした。


「きょ、今日から、ここ、ヨヨの部屋、ですか!」

「いえ〜す。部屋にあるものは好きに使っていい系だから。じゃ、これ鍵ね〜」


 きんぎょはそう言って、持っていた鍵をヨヨへ投げ渡した。一瞬慌てるヨヨだったが、なんとか鍵をキャッチし、うれしそうに握りしめた。


「失くしたら、はなのんのお説教と反省文あるから、ちゅーいね」

「……! 気をつけ、ます」


 ヨヨはしっかりと確認しながら、鍵を服のポケットへとしまい込んだ。


「……ってかさ、ヨヨっちって目隠ししてるけど、どうやって見てんの? いちお、その感じだと見えてんだよね」


 きんぎょの質問に、ヨヨは恥ずかしそうに答える。


「……ヨヨ、自分でもよくわかってない、です。目隠ししてても、なんとなくわかるです」

「ふーん。じゃあさ、そもそもなんで目隠ししてんの?」

「…………」


 ヨヨは一瞬口を噤んだが、それでも話しはじめてくれた。


「ヨヨの目、ほかの人と違うから。ヨヨ、そのまんま誰かを見ちゃうと、ヨヨに見られた人、動かなくなっちゃう……の」

「あー……メデューサ的な? 見ると石になっちゃうやつ」

「……めでーさ、ヨヨ、知らないです。でも、ヨヨのは石に、なりません。ヨヨのは、動かなくなって……冷たくなります。氷みたいに、なっちゃいます」

「……へぇ」

「せ、先生は、三秒相手を見ればいい、言われました。三秒見れば、その人は……」


 ヨヨはそこまで話すと、涙を堪えるかのように、一度強く唇と噛み締めた。


「……ヨヨ、だから見ちゃいけないんです。ヨヨのせいで、何人も冷たくなりました。もう誰も、この目で見たく、ありません……誰も……」


 きんぎょはヨヨをベッドに座らせ、自身も隣に座り、ヨヨを落ち着かせるように優しく背を撫でながら、神妙な面持ちで口を開く。


「……『あすのとも園』」

「……!」


 きんぎょの言葉に、ヨヨは目を見開いた。


「……ヨヨっちが逃げてきた、孤児院の名前っしょ」

「……し、知って――」

「もち。だって、きんぎょも昔、そこにいたから」

「……き、きんぎょ、も?」

「うん」


 きんぎょは、振り返りたくもない遠い記憶を掘り返しつつ、視線を下に落とした。


「――きんぎょはそこで、異能使いにさせられたから」

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