任務帰りの日常光景!(1)
「せつなさ〜ん!!」
東京から帰ってきた次の日。せつなは朝食を食べに学園給養部へ赴くと、突然、真正面からくるるに抱きつかれた。
「く、くるるちゃん!? どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないですよ〜! 心配したんですからね! せつなさん、東京の病院で入院するって聞いてたから……!」
「あ〜、なるほど。でも、もう大丈夫だよっ! このとおり、もう元気いっぱいだもん!」
「ふえぇ〜……本当によかったです〜……」
せつなは自分の帰還にこんなに喜んでくれる友人を見て、微笑んでいた。
「……あ! そうだ、くるるちゃん。ちゃんとお土産も買ってきたから、あとで渡すね!」
「お土産ですか!?」
「うん! くるるちゃんと茉莉ちゃんには、ちょっと特別なのを買ってきたんだよ!」
くるるは「わぁ、楽しみです〜!」と手を合わせながら言った。
そのとき、二人は突然、横から異様な雰囲気を察知し、ゆっくりと視線をそちらへ向けた。見るとそこには、朝からどんよりとした表情の歩煎がいた。
「いいなぁ……せつなさんは東京へ行けて……。ボクなんて、365日ここに縛りつけられてご飯を作る毎日なのに……。ああ、ボクも異能使いだったら、観光休暇をもらえたんだろうなぁ……。クソっ、どうしてボクには異能がない――」
「コラっ、歩煎! せつなたちは命張って遠征しとるんや!! 上辺だけ見て嫉妬してるんやない!!」
歩煎のネガティブ発言に、米来は背後から現れ、ピシャリと叱責した。
「でもタコ部長……ボクだって休みがほしいんですよ!」
「そんなに休みの日ぃほしいなら、生徒会に申請すればええやんけ。ま、どーせ休みだろうとスイーツ作りしてるのは目に見えてるんやけどな」
「ぐっ……部活動での料理と、プライベートの料理では違うんですよ、タコ!」
「タコとはなんや! タコ部長なら許せるけどな! タコ単体は許せへんっ!」
目の前で突如巻き起こる喧嘩に、「な、なんだかよくわからない口喧嘩が始まってしまいました……」と、くるるはオロオロし出したが、しかし、喧嘩もすぐに収まり、米来と歩煎は同時に、「あ」と何か失念していたかのような声を上げ、せつなを見つめた。それから、また口を揃えて言うのだ。
「おかえり! せつな!」
「おかえりなさい、せつなさん」
せつなは改めて、本当に自分はこの学園の一員なんだと感じつつ、「尾張せつな、ただいま帰還しました!」と答えた。
「あ、先輩方にもお土産あるので、放課後、またお持ちしますね!」
せつなはそう言うと、米来と歩煎は二人揃って笑顔で、「やったー!」と喜んでいた。
せつなはその様子を見て、なんだかんだ仲良しなんだな、と二人の絆を再確認していた。