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【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
第3話・初任務とハプニング
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初任務とハプニング(8)

「はなのん〜、マジヤバイんですけど〜」


 生徒会室へ現れて早々、華乃(かの)へと話しかけたのは、きんぎょだった。


「なんかぁ、ソラビトが二体同時に出現したらしくって〜、そのうちの一体が銃? 的なのを使うらしいんだってさ」


「銃」、という言葉を聞いて、華乃と――同じく生徒会室にいた茉莉(まつり)は、即座に反応を見せた。


「……その銃使いのソラビトは、どこへいるのかしら」

「えっと〜……あ、せんそーじって、乃木羽(のぎは)っちが言ってた。今、せっつーがひとりで対応してるっぽいけど、大丈夫かなぁ? カメラ壊されちゃってるらしくてさ、音声しか拾えなくて、映像は見れないっぽい」

「……わかりました。きんぎょ、白咲(しろさき)さん、今すぐわたくしとともに、ソラビト対策兼司令部へと来なさい」


 きんぎょは「……なんで〜?」と言いつつも、華乃のあとをついていく。茉莉はまだその場に留まっていたが、すぐに華乃にその態度に目をつけられ、


「聞こえませんでしたか? あなたもいっしょに来なさい」


 と再度命令され、渋々茉莉も華乃についていくこととなった。


 ソラビト対策兼司令部へ向かう中、華乃はいつもよりも早いペースで歩きながら、


「そういえば、きんぎょには『ゲハイムニス』の話をしていませんでしたっけ」


 と、問うた。同時に、横目で茉莉を見る。


「……白咲さんは、もちろん知っていますわよね?」


 茉莉は答えず、華乃を睨み返した。

 華乃はまるで小さな子供を相手しているかのように、華麗に茉莉の視線を交わしつつ、きんぎょへと目を向ける。


「あ、なんかそのゲハムハム? 的な話は、こめっちから聞いたことあるかも〜」

「『ゲハムハム』じゃありませんわ、『ゲハイムニス』です」


 華乃は訂正を入れてから、「その……『こめっち』とは、誰のことですの?」と質問した。きんぎょは、「米来(まいらい)のことだよー。給養部の」と、なぜわからないのかと言いたげな表情で答えていた。


「……凧坂(たこさか)さんのことでしたか。あなたは生徒たちのことをあだ名で呼ぶので、ピンときませんでしたわ……」


 華乃は苦笑し、また真剣な表情を取り繕うと、ゲハイムニスについて語りはじめた。


「ゲハイムニス――人類が初めて作り上げた自律自動操縦型兵器。ソラビトが死に際に遺す、フラウドストーンを元に生み出した、兵器開発の結晶」

「へぇ〜」

「みなさまは都市伝説とばかりに思っているようですけれど、事実、それは存在しているのです。もし、完成がもう少し早ければ――」


 華乃はそう言って、悔しげに下唇を噛んだ。


「……あの『肥えた兵器』に、対抗できたかもしれない」


 きんぎょは「……コエタヘイキ?」と首を傾げていたが、すぐに聞き流していた。


「とにかく、あの兵器を逃してはならない。四年前、せっかく作り上げた研究の集大成をみすみす逃がしてしまった――国家の失態。それがやっと今、姿を現したのです。回収し、然るべき場所へ戻さねばなりません」


 それを聞いた茉莉は「回収って……まさか、アンタせつなに――」と、そこまで口にしたが、華乃は凄みを利かせて茉莉を黙らせた。


 そんな会話が交わされるうちに、目的の場所へと到着した。

 華乃はノックもせずに扉を開け、部室の中へと入っていく。

 物音に気づいたソラビト対策兼司令部員は、一斉に華乃へ注目した。


「業務ご苦労様。話は聞いています。御宅(みやけ)さん、今すぐそのマイクを渡して」

「生徒会長、一体どうしてここへ……」


 乃木羽はそう言いつつも、マイクを華乃へと渡した。


「あ! お姉ちゃん……! あの、此乃(この)……」


 此乃がそんな華乃の横へ近づきながら話しかけにいくが、華乃は柔らかい笑みを浮かべ、「ちょっと待っていてね。今は時間がないの」と言い、また真剣な表情へ戻すと、そのマイクへ向けて、こう言い放つ。


「こちら生徒会会長、王樹華乃(おうじゅ かの)です。せつなさんへ命令します――そのソラビトを、生け捕りにしなさい」

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