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【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
第3話・初任務とハプニング
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初任務とハプニング(2)

「……というわけで、課題が山積みというわけです……」


 せつなは大量のプリントに囲まれながら、そう言った。


 現在は放課後。せつなは山盛りの課題を持って、異能部の部室で課題の片づけをしていた。

 ただ、元々勉強が苦手なせつな。集中力も続かず、今はテーブルに突っ伏していた。


「あはは〜。まあドンマイドンマイ〜。遅刻は、異能部誰しもが一度は通る道だからねぇ」

「うむ。遅刻はまさに、異能部の伝統ともいえる」

「そんなのを伝統化するな」


 亜仁(あに)奈子(なこ)の頷きに、林檎(りんご)はすかさずツッコミをいれた。

 林檎はひとつため息をついたあと、少し厳しい顔つきになり、せつなを見た。


「……遅刻はともかく。ダメじゃない、異能を勝手に使うなんて。もし、それで事故でも起きてしまったらどうするの? あなたの異能なんて、特に事故が起きそうなものなのよ。誰かと思わぬ衝突事故でも起こしてしまったら、どうするつもりだったの?」

「ご、ごめんなさい……」


 そこまで考えていなかったせつなは、深く反省した様子で俯いていた。


「わかればよろしい。今後は、異能使用許可範囲と、非常時以外では使わないこと」


「はい……」と返事するせつな。亜仁はその隣に座り、せつなの肩を抱いた。


「まあまあ、そんなに落ち込むことないよぉ、せつなちゃん。林檎ちゃんもあんなこと言ってるけど、一年の時に異能を勝手に使って、謹慎処分受けてるからねぇ」

「き、謹慎!?」

「亜仁! それはもう忘れてって言ってるでしょ!」


 林檎は席から立ち上がって言った。


「謹慎処分って、林檎先輩何やらかしたんですか……」


 せつなが聞くと、林檎はバツが悪そうに目を逸らした。そんな林檎に代わり、奈子が、


「去年浜辺でさ、異能部でスイカ割りをしていたんだけど、林檎がスイカ割る番が回ってきたときに外しちゃってさー。負けず嫌いの林檎はそれに腹を立てたのか、スイカを爆発させたんだよね」


 と、答えた。


「林檎ちゃんにスイカを持たせてしまったのがいけなかった……」


 と、亜仁も腕を組みながら話した。


 せつなは、そんな林檎の短気で暴力的な面を知ってしまい、白い目で林檎を見ていた。


「そ、そんな大規模な爆発なんて起こしてないし! それに、今はもうそんなことしないから、わたしをそんな目で見ないでっ!」


 三人はわかったわかったと、林檎を宥め、再びせつなは、課題の山と向かい合う。

 そんなせつなを見かねてか、奈子はこう提案する。


「……ここ最近は戦闘訓練ばっかりだったし、今日の訓練はお休みにして、せつなの課題に付き合うことにしようか」


 その提案を受け、せつなにひとすじの光が差し込んだ。早速わからない箇所をピックアップし、奈子へ質問を始めるせつなだったが、そのあまりの多さに、奈子はもちろん、ほかの二人も呆れ果てるばかりだった。


「せつなちゃん……戦闘センスはだいぶよくなってきたけど、勉強センスはイマイチかもねぇ……」


 亜仁の言葉に、せつなはただただ項垂れた。

 部室のソファでくつろいでいた猫は、ニャーとひと声鳴いたのだった。

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