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【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
第2話・学園探険
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学園探険(7)

 大鎌を渡されたせつなは、だだっ広い訓練室の中央で鎌を持って立たされた。


 大鎌を持って驚いたのはその軽さだった。このS字に曲がった鋭い刃は、実はプラスチックでできているのではないかと疑ってしまうほど、軽々と持ち上げられた。


 鉄子(てつこ)曰く、「いくら異能持ちだからって、筋肉量が平均的な十代女子のものを上回るわけじゃない。中学生の少女に合わせた腕力で扱いきれる武器を作るのが、オレの仕事さ」だそうだ。


「さて、じゃあ早速……と、そういや聞いてなかったが、せつなの異能ってなんだ?」


 鉄子の声が、スピーカー越しに聞こえた。

 鉄子と奈子(なこ)は、武器の出来を確認するために、また、新しくできた後輩の戦闘スキルを見るために、というそれぞれの希望(おもい)から、ガラス越しに部室から訓練室を覗いている。


 せつなは、「しゅ……瞬間移動です!」と答えた。その声は部室側にも設置されたスピーカーを通して、鉄子たちに伝わった。


 鉄子は神妙な面持ちで頷きながら、マイクに向かって「わかった」と返事をし、様々なスイッチが並べられた内のひとつを押した。すると、訓練室側の床が一部開き、床下から押し上げられるようにして、せつなよりも一回り大きい巨大犬が姿を現した。


「……なっ」と、思わず後退りするせつな。


「――今から、武器のテストをする」


 そんなせつなにお構いなしに、鉄子はそう告げた。


「試しに、目の前のソラビトと戦ってみてくれ」

「……そ、ソラビト!?」

「ああ、ソラビトって言っても、ソラビトを模した『対ソラビト戦闘訓練用ロボット』だ。んー、まあ長いから、『ソラロボ』と略そう。すごいだろー? 実際にいたのをモデルに、オレが作ったんだ」

「す、すごいですけど、わたし……」


 せつなは途端に尻込み、武器を持つ手が震え出す。ソラビトとの戦闘なんて、浜辺での一件しか経験がない。否、あれは実際に戦ったとは言えないわけで、せつなの戦闘経験はゼロに等しい。それなのにいきなりこんなことになってしまっては、怖気づいてしまうのも当然だろう。


「せつな。何事も初めの一歩を踏み出すのが肝心だ。あのとき亜仁(あに)を助けられたせつななら大丈夫さ」


 奈子はせつなのそんな心を感じ取ったのか、そう声をかけた。


「わたしに見せてくれ、せつなの戦いを」


 奈子に言われ、せつなの中で覚悟が決まった。武器を再び握りしめ、そびえ立つソラロボを見据え、不器用ながらに構えを取る。


「じゃあ、始めようか」


 鉄子は言って、機材とともに置かれてあったコントローラーを、おもむろに手に取った。


「ふふふ。どちらが勝つか、腕が鳴るぜ」


 鉄子はコントローラーのスティックを大きく倒した。それと連動するように、ソラロボは素早く前進をはじめる。


 せつなの戦闘訓練が今、開始された。


「……そこまで作れるわけだし、せっかくなら、ロボットも自律式にすればいいのに」

「簡単に言ってくれるな。そーゆーのは結構大変なんだよ。……それに、こっちのほうが面白いだろ?」


 奈子の発言に鉄子はそう返しつつ、ふと何か思い当たったのか、奈子に向けてこう問う。


「ところで、その瞬間移動ってのは、いっしょに武器(もの)も移動するんだよな?」

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