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【完結済】異能部へようこそっ!  作者: みおゆ
最終話・異能部へようこそっ!
109/110

異能部へようこそっ! (3)

「え!? 茉莉(まつり)さん、生徒会に入るんですか!?」


 放課後の教室で声を上げたのはくるるだ。


「そんなに驚くこと? なぁんかもうひとり書記がほしいとかで、会長から頼まれちゃったのよね」

「す、すごすぎます……! バリバリ出世していきますね!」


「出世って何よ。それより、くるるはなんか部活でも入るの?」

「部活は決まらなかったんですけど……とりあえず、今は保健委員の仕事に集中しようかなって」

「ああ、なんかアンタ、怪我してる先輩を助けてスカウトされたんだっけ?」


「はい。処置の動きが無駄なくてすごいとかって……まさか、手当した人が保健の委員長だとは思いませんでした」

「アンタも出世してるじゃない」


 二人が会話していると、「くるる〜、料理部でご飯ごちそうしてもらえるって! いっしょに食べない?」と、教室の外から誘いの声が。


輪香(りんか)先輩! それに、癒月(ゆづき)先輩も!」


 輪香と癒月と呼ばれた二人は教室の中に入り、茉莉も一瞥した。


「あらぁ、クラスのお友達ね? かわいいわぁ♡」

「あなたもいっしょにどう? アイツらの作る料理、絶品なのよ」


 茉莉にも誘いがかかったが、茉莉は「いえ、アタシは遠慮します。このあと生徒会に行かなきゃなので」と断った。


「くるる、先輩たちと楽しんできなさい」

「はい、ではいってきます!」


 茉莉は手を振り、先輩たちと教室をあとにするくるるを見送ると、一度窓の外を見た。


「……なんか、ひとり足りない気がする」


 呟いてから背筋を伸ばす茉莉。よし、と言って、教室を出て生徒会室へと向かっていると、「まつりん」と声を掛けられた。


「……きんぎょ先輩」


 振り向き、茉莉はその名前を読んだ。


 制服を気崩し、背中にテディベアのぬいぐるみを背負う少女は、学園の中でも特に目立つ格好をしている。


「まつりん、なんか元気なさげ?」


 茉莉は一瞬黙ったが、すぐに「別になんにもありませんよ」と答え、こう続ける。


「それよりも、相変わらず副会長はその格好どうにかしたらどうですか? 生徒会がこんな格好って……風紀を一番に乱しちゃいけない立場の人が、よくないんじゃないんですか?」

「この学園は個性を大事にしてるから問題なし、みたいな? そーゆー細かいとこ、気にしすぎてたら、ストレスでハゲるよ〜」

「ハゲませんし、頭撫でないでください!」


 茉莉はきんぎょの手を振り払い、スタスタと先を歩きはじめた。きんぎょは構わず、「あのさぁ」と呼び止めた。


「きんぎょも、なんかたまに思うんだよねぇ。意外と近くにいる気がするのに、それがわからないの」


 きんぎょの不意の発言に、茉莉は目を丸くして振り返った。


「でも、きんぎょはそれでいい気がする。このままが一番幸せな気がする……みたいな」


 きんぎょは不器用にも微笑み、こう話す。


「いずれ答えはわかるよ。なんかかはわかんないけど」


 なんの答えにもなってない言葉に、茉莉は妙に安心した。


「わかんないって、きんぎょ先輩相変わらずですねー」

「えー? まつりん、きんぎょのことバカにしてるー?」


 二人は他愛ない話をし笑いながら、生徒会室に向かって再び歩き出した。

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