第四話 そうだ、都に行こう!
退職の手続きとかしてたら全然執筆時間取れなくて死ぬかと思った……。
目が覚めると日が昇っており、何となく頭がスッキリした気がした。分からない事は多いし相変わらずカボチャは外れないが、多少は気持ちも落ち着いた。
明るくなって改めて何か役に立ちそうな物が無いか集落を見て回ると銅貨や銀貨、後は名前の彫られた銅板が落ちている事に気付いた。恐らくは殺された者たちの所持品だろう。
それらをポケットにしまい込み、改めて周囲の惨状を見る。カボチャのせいなのか心が麻痺してきてるのか死体にもそして異臭にも多少の不快感以上には特に何も感じなくなっている。
試しに死体に分析機能を使ってみたら、案の定襲って来たやつらはゴブリンだったようだ。
そして、ゴブリンの胸に埋め込まれている小さな宝石は魔石というらしい。
分析機能では名前くらいしか表示されないので特に使い道もわからないが、路銀代わりになるかもしれないととりあえず集められるだけ魔石を集めた。
「んー、魔石42個、銅貨56枚、銀貨4枚、名前の彫られた銅板16枚か。これだけあればとりあえず一晩くらいは街で過ごせるよな?」
この世界がどのような文化レベルなのか分からないので希望的観測でしかないが、このままゴブリンの集落を乗っ取って生活する気もない俺は街を目指す事にする。
「1番近い街まで案内しろ!ナビトーチ!」
ダメ元で叫んで見るとフワフワとした火の玉が導くように飛んでいく。
どこに誘われるのか不安で仕方ないが火の玉を頼るしかない俺はひたすら徒歩で火の玉を追い続け、街の門が見える頃にはすっかり日が落ちていた。
「街だ……!街ダァッ!!!フフフ……フハハハハ!!!」
全身で歓喜を表現していると、衛兵らしき人間が近付いて来た。
「おい、そこの怪しいカボチャ頭。何をしている。詰め所まで来て貰うぞ。」
「良かろう。どこへとなり連れて行け!ハーッハッハッハッハッ!」
「き、聞き分けは良いみたいだな……。」
変なテンションの俺はそのまま詰め所へ連行され、事情聴取を受けていた。
「まず、この街に来た目的、名前、そして仕事は?」
「あー、目的はとりあえず人間らしい生活をする為と落とし物を届けに?名前はジャック……ウィリア……ん?あれ?いや、うん、ジャック・ウィリアムだ。仕事は無職!絶賛仕事探し中だ!」
衛兵は胡乱げな目で俺を見て、水晶を取り出す。
「どこまでも怪しいが、とりあえずこの水晶に手を置け。それとそのカボチャは外せないのか?」
俺は言われた通りソッと水晶に手を載せると水晶はぼんやり青く光った。
「カボチャは事情があって外せない。これで良いか?」
「めちゃくちゃ怪しいが犯罪歴は無いようだし街に入る事は朝まで待ってくれれば問題ない。ところで落とし物ってなんだ?」
「あぁ、この銅板だよ。」
そう言って懐から銅板を取り出しジャラジャラと机に出した。
衛兵はひとつひとつ確認した後、俺にこの場で待つように言い銅板を持ってどこかへ向かってしまった。
なんだかんだ歩き詰めで疲れ切っていた俺は詰め所の床に横になり少しの間眠る事にした。




