第十五話 転生者
オリアナと共にスイートルームに入り、ウェルカムドリンクを飲み交わしながらこれまでの事を話した。
オリアナは以前から俺の周りで怪しい動きをしている人間が居る事に気付き、相手の話に乗るフリをして逆撃を食わせようとしたらしい。
「まぁ、思った以上の大物でまんまとしてやられちゃったけど。」
と本人は苦虫を潰したような顔をしていたが、当事者の俺はまったく気付きもしなかった事を考えるとさすがと言うべきだろう。
その後、オリアナは予め用意していた偽造端末を持って素早く姿を消したらしい。
「とりあえず、これまでの話はこんなところね。」
話のキリも良いので空になった2つのグラスをシンクに運び、俺は2人分のコーヒーを淹れる為にお湯を沸かした。
「コーヒーにミルクは?」
俺がそう聞くとオリアナは少し悩み答えた。
「角砂糖は二つ、ミルクは多め。」
「甘党に転向したのか?」
俺はそう言いながらオーダーされた通りのコーヒーと自分用のブラックをテーブルに運んだ。
「ありがとう。少し疲れてるだけよ。」
オリアナはそう言いながらカップを受け取る。
俺も席に着きコーヒーに口をつけた。
普段俺の飲む物と違い、深みのある独特な香りが鼻腔をくすぐり、苦味の中に僅かな甘味と酸味を感じる。
「それで今後の事なんだけど。」
俺がお高いコーヒーを楽しんでいるとオリアナが懐から端末を取り出してテーブルに置いた。
すると端末から3Dホログラムのようにピエロマスクの男性のバストアップ映像が投射された。
「あなたを狙っているのは彼。Mr.Xと名乗りピエロマスクを被っていたけど、振る舞いからして恐らく街の上層部の人間に違いないわ。もしかするとミスリードの可能性もあるけどね。それより問題は彼の持っていた武器よ。」
そう言って端末を操作するとホログラムがピエロマスクの男性からハンドガンに切り替わった。
銃の名前までは詳しくないので思い出せないが、ゾンビゲームに出てくる中国人女性のキャラが使っていたものに似ている気がする。
「弾丸に何を使っているかまでは潜入用のデコイが壊されちゃったから判別出来なかったけど、グロッグ17をモデルにした銃を使ってるからには多分彼も転生か転移して来た人間なんだと思う。」
「彼もって、他にも居るのか?」
俺が思わず訊ねるとオリアナはキョトンとした表情をした後に口を開いた。
「そういえば言ってなかったわね。私が転生者なの。日本、って言っても分からないか。こことは違う世界で暮らした記憶を持ったままこの世界に生まれて来たのよ。」
メンタルが死んでるけど何とか物語は書いていきたい




