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手違いだらけの異世界転移  作者: ザッコン
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第十三話  転じて

やったー!金曜日に更新できたー!

 装備出来る喜びから俺は様々なものを買い込んだ。

幼い頃にスポーツ中継を見て影響を受けたミーハーな両親にフェンシング教室に入れられていた事があったことを思い出し、まだ馴染みがあるという理由でメイン武器にレイピアを選び、FIT BOXINGに一時期どハマりしてたという理由でサブ武器はナックルというかメリケンサックにした。


防具は身体の動きを阻害しないようなボディアーマーや革製品を選び、バイクに乗る為のティアドロップ型のサングラス、先端に鉤爪の付いたミスリル製のワイヤーを射出出来る腕輪や踵を叩くと爪先からナイフが飛び出すブーツ、手元に持った物を瞬時に袖口に隠せる装置やピッキングツールが隠されているベルトのバックル、解毒薬が仕込まれた指輪、二重底になっているボディバッグなどを買い、俺はとうとうブラックマーケットを出た。


「大半が不要な物な気がするけど、返品出来ないしな……。」


俺は懐からサングラスを取り出し着用した後バイクに跨り、ヤクザ街を目指した。



 ハイウェイをしばらく進んでいくと数台のバイクが俺を囲むように並走し出した。

どう切り抜けようかとしばらく悩んでいると俺の左側を走行していた鉄パイプを片手に持った女が声を上げた。


「ライムグリーンの珍しいバイクに乗ったクソ野郎を見つけたぜぇっ!ヒャッハー!オレたちハイウェイスターズがジャックの首をいただきダァッ!」


「悪いがオレはジャックじゃない。このバイクは譲って貰ったんだよ。」


あくまで冷静を装い声を掛ける。


「うるせぇっ!テメェがジャックかどうかなんて殺してから考えれば良いんだよぉっ!バァーカッ!」


そして、徐々にハイウェイスターズと名乗る集団はオレとの距離を詰め始めた。


俺とハイウェイスターズたちの距離が1mを切ったかどうかくらいで奴らは持っていた鉄パイプで俺を狙って殴り掛かってきた。


「チキショウ、最初の数発はまだ避ける余地があったがコイツら同士討ちも辞さねぇ覚悟で距離を詰めて来やがる……!」


今の俺は無敵スキルが無いので一撃でも貰えばほぼ終わりだ。絶対絶命を感じている中、女が高笑いをしながら鉄パイプを振りかぶる。



「逃げ場は無ぇぞ、クソ野郎!コイツで終わりダァッ!!!」


終わりを確信したその時、


ーガキンッ


甲高い金属の音が響く。

カボチャ頭のジャックが何故か俺と女の間に浮かび鉄パイプを止めていた。


「じゃ、ジャック!?」


驚いている俺に構わず女はジャックなど居ないかのように俺に向けて何度も鉄パイプで殴り掛かり、そしてその全てをジャックに止められていた。


「テメェ、何しやがったぁ!!!」


痺れを切らした女がキレるが状況が分からない俺にも答えようが無い。


「こうなりゃ味方に多少被害が出ても構わねぇ、お前ら全員で合わせるぞ!」


女の声に合わせ周囲の野郎どもも鉄パイプを振りかぶったその時、ジャックが腕を軽く振るい俺の周囲に炎が展開された。


今にも殴り掛かろうとしていた者たちは炎に巻かれてバイクが爆発四散し運転手もほとんどがハイウェイの下に落とされた。多少ハイウェイに残った幸運な者もこの先事故車アリの看板やハイウェイの側壁に打ち付けられているので窮地は脱したと言って良いだろう。


「まさか、これが具現くんの能力ってやつか!?」


朧げながらも今回の襲撃でジャックの能力やジャックが他の人間に認識されない事などが分かり、更に追手も始末出来たのでトータルでは得したと見るべきだろう。


「災い転じて福となすってやつかな?」


そんな風に油断していると背後から異音を立てながら追って来る女の声が聞こえてきた。


「コロスコロスコロスコロスコロス!!!」


「まだ追って来るのかよ!しつこいぞ!」


「このまま、一人では終わらねぇッ!フルスロットルでテメェに突っ込んで心中してやらぁっ!!!」


女はそう叫ぶと宣言通りフルスロットルで俺を追い始めた。このままだと追い付かれる。

そう焦り始めた俺の前方に大型の貨物輸送車が道を塞ぐように横向きに止まっていた。



「ヒャッハー!俺は付いてるゼェッ!テメェはこれで終わりだよ、ジャック!!!」


「やるしかねぇ、やってやるぜ!ジャック、背後に炎を展開!!!」


俺が叫ぶとジャックは俺と女を隔てるように炎の壁を立てた。


「ムダムダムダァッ!このくらいの炎は大した事ねぇんだよぉっ!!」


「進入速度は充分。やれる!やれるぞ!」


俺は後輪を進行方向へ押し出すようにバイクを横倒しにさせ、そのまま滑らせていく。


接地面からバイクが僅かに火花を上げながら俺は停車しているトラックの下を潜り抜け、トラックから少し離れた場所でなんとか態勢を立て直し横向きに停車出来た。


その直後、背後のトラックから爆発音が響き黒煙が立ち上り、爆風が俺の髪を揺らした。



「二度とこんな曲芸はゴメンだな。」



そう呟き、俺は再びヤクザ街を目指してハイウェイを走り始めた。


バイクでハイウェイを走る時は必ずスライディングしなきゃならないんだ。

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