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夢と物語と泥棒と不幸  作者: こころも りょうち
3.続く物語と夢
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7.壇上に立つ夢

 2023年4月だった。

 私は気が付くと大きな市民会館の壇上にいた。全席満員とはいかないが、それでも会場には500人近い人間が集まっていた。

 その人間たちに向けて、私は演説を始める。

「戦いは、始まったばかりだ。俺たちはまだ世界を変えることができていない。

 世の中の金持ちは俺らの力なんて金の力で踏み潰せると考えている。貧乏人はまだどこかの誰かが金をばら撒いているとしか思っていない。

 俺らはまだここに存在を知られただけにしか過ぎない。俺らがやる事はそんな奴らの思う、ちっぱけな活動じゃない。世界の金持ちと貧乏人を逆転させるくらいの革命だ。

 それができなければ俺らに価値はない。俺の考えに賛同しない奴はここから今すぐ立ち去れ!それくらいの覚悟が無い奴は必要ない!」

 私は大声で舞台下の500人に叫んだ。

「おおおおおお~!」

 彼らは大きな声を上げて私に賛同した。

「よし、おまえら。覚悟はあるようだな。だったら恐れることは無い。知恵を絞り、持てる力を存分に発揮して、奪い続けろ!そして世にばら撒け!いつか世界は変わる。世界は俺らの物になる!」

 彼らは再び歓声を上げる。もうこれ以上言う事はない。だから手を振り、最後に拳を握って振り上げ、私は壇上を後にした。


 何だかはわからないが、私は英雄になっている。左の男が(そで)で待っていた。

「いかがなものだ?多くの人が集まった感じは?」

「さあね。よくわからない。俺はただここにいるだけだ」

「でもこれがボスの力だ。きっとこの力はまだまだ増幅するだろう」

「そうか。俺にはよくわからない」

 本当によくわからなくなっていた。この先、何がどうなるのか。

 爆発し出した世界のエネルギーが私を包み込んでゆく。そこには溢れてくるエネルギーもあるが、奪われてゆくエネルギーもある。私はまだ、生まれては奪われてゆくエネルギーをうまくコントロールできない。

 全てはニシキ君の結婚詐欺に始まった。その恩恵を借りて、マッサージを受け、柔術を学び、強盗となり、ボスとなり、ここまでやってきた。

 41歳の時、ボロボロだった夢は、44歳になって、かつてないエネルギーに溢れている。私においての絶頂期が訪れている。

 このままどうなってしまうのだろう。私は自身の力を少し恐れている。

 見えなくなった舞台下では才能のある様々な人間が私の力を信じて騒いでいる。そんな力が本当はあるわけがないのだが、それでも確かに力は溢れてくる。

「ボスがわからなくても、俺らはあなたの力を十分に感じている。俺はあなたのその力を信じる。彼らも感じていて、あなたの力を信じているさ」

 左の男は私を誉め称えた。私はにやりと微笑んだ。

 よくわからないが、確かに自分自身も自分の力の凄さを感じている。それに微笑むしかなかった。

 どうなるかわからない夢の未来が続いている。

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