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東の女王

越の国の王リャオは息も絶え絶えに病に伏せっていた。

リャオのそばには娘のリョウカ、息子のリュウガ、副官のヤシ、コウ、ヒロ、オサム、そして戦士のカナデ、カエデが控えている。


「弟はまだか」


リャオは苦しそうにつぶやいた。

王弟のリャギは越南に本拠地を構えているが、越国から半ば独立しておりここ数年は顔も見ていない。


「叔父上がくる気配はありません。使者を送ったのですが…」


リョウカが答えた。


「そうか…」


リャオはうめくように言った後、最後の力を振り絞るように起き上がった。


「お前たちに最後の命令を下す。私の後はリョウカが越の国の王となる。みなで支えてくれ。」


「はっ」


全員がひれ伏して答えた。


「リョウカよ。お前はもう今年で20になり皆を統率する立場になった。弟のリュウガは武勇は越国で一番であるが、為政者としての政治力や策を練る知力はお前に遠く及ばない。姉であるお前が越国を治めてくれ」


「承知しました。」


リョウカは父親の最期の言葉に対しても冷静に答えた。


「リュウガよ。お前は姉であるリョウカに従ってこの国を守れ。お前は武勇に優れているが感情で動

くことが多いのが心配だ。軽々しい行動は慎み、姉を助けるのだ。」


「わかりました父上…」


リュウガは今にも泣きそうになりながらひれ伏した。


「ヤシ、コウ、ヒロ、オサムは」


「「「「はっ!ここにおります」」」」


「そなたらは私の副官として、また越国の四天王としてわたしを支えてくれたことに感謝する。いずれも武勇に優れ、兵をよく統率し、人望も高い。私の死後、他の将と兵をまとめ上げてくれ。」


「「「「はっ!心得ました!!」」」」


四将はリャオとリョウカの前にひれ伏して忠誠を誓った。


「カナデとカエデはおるか」


「「はい!」」


「そなたらはリョウカと歳が近い。いままで、遊軍として好きに暴れてもらっていたが、これからはリョウカの親衛隊として守ってほしい。こんなに心強い女はあの大和国にもいないだろう。リョウカを、娘を頼んだぞ」


「「命に替えましても」」


二人とも心強く答えた。


「リョウカよ。知っていると思うが、西の大和国が拡大を続けている。私が死んだと聞くとすぐに侵攻してくるだろう。侵攻してきた場合、越前を捨て越中で迎い討て。もし、弟のリャギが越国を裏切り大和に味方したら挟み撃ちにされる。越中も捨てて越後で討つのだ。」


「かしこまりました」


「リャギは計略も高く武勇に優れる。リャギを味方にしたら大和を食い止めることができよう。しかし、彼は王座を狙っているかもしれない。用心せよ。」


「心に刻みます」


リョウカの返事を聞くとリャオは安心したように微笑み目を閉じた。


こうして、大和国の進行を何度もはねのけ、東への拡大を防いでいた越国の王リャオは42歳で死去した。越王リャオの死は周辺国に動揺を与え、新たな戦いの幕開けとなるのだった。




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