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砂上の娘
【砂上の娘】
ねぇMutti私は
貴女の娘に生まれて幸せだったよ
ねぇMutti覚えてる?
一緒に見た青い空、赤い花
抱き締めてくれた腕のぬくもり
私は覚えてる
私は知ってる
Muttiの暖かさ、優しさ
―なのに
どうして?どうしてなの?私は一人
砂上で冷たい風に吹かれ続けてる
(影の記憶
海に流された赤子
たむけの赤い花、青く澄み渡る空)
在りし日の夢
暖かなぬくもり
砂上に堕ちる
幻想の結晶〈カケラ〉
手を伸ばしても
すり抜ける憧れ
もう二度と訪れぬ
暖かな日々
せめて最期に
願いが叶うなら
ただ貴女だけに
『愛されたかった』
(砂上に残るは赤子の骸。満たされなかった愛の幻想を今日も見ている)
(※初稿:2011/12/05 )