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ゲームで育てた不人気作物パースニップでみんなを元気にしてあげる  作者: 春無夏無


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底上げとトラブル対応

「どうしてなんですか。私の薬だって、沢山の人の役に立つはずなのに」


「どうしてもこうしても、最初から専属契約なんて結ぶつもりないですし」


 前回フランと名乗っていた上級錬金術師の人に現在睨まれている。

 簀巻きの状態で睨まれても怖くないけれど。


 なお赤い魔女の人には既に退場いただいている。

 今日も前回同様とてもよく転がっていったよ。


「役に立つ薬を作るだけなら、普通に買える今の状況で問題ないでしょう? あの赤い人と同じように独占しようなんて考えてないのであれば」


「それは有象無象が買うより私が買ったほうが……」


 白い人は多少まともかなあと思ったけれど、やはり赤い人の同類みたいだ。

 戦えないプレイヤーのことを下に見ているんでしょうね。


「うちのマンドラゴラたちはありきたりなことにしか使えない有象無象の錬金術師さんや魔女さんには無用ですね。農家の人のほうがよっぽど有用に使いますよ」


 そういう訳で、錬金術師の人も転がっていってね。

 そしてそのままさようなら。



 どうやら農家さんたちは大変好奇心旺盛だったようで、愉快な品種改良結果報告が連日上がっている。


 真珠米にルビーのイチゴ、アムブロシアと化した桃に知恵の実と化したバナナですって。

 後は爆裂種ならぬ爆発種になったトウモロコシも興味深い。敷地にあった邪魔な大岩をトウモロコシ1本で爆破できたらしいよ。


 殆どの購入者がパースニップ・マンドラゴラ購入金額を余裕でペイして、まだ種マシンを持っていない農家の人へマンドラゴラとセットでの購入を勧めている。


 木を隠すなら森の中。

 農業従事者全体を底上げすれば、私は埋もれて隠れやすくなる。

 ついでに農業従事者の需要も上がってよい感じ。


 きっと最初に育てるパースニップがマンドラゴラになるのは、こうやって他の作物にブーストをかけるためだったんだな。

 パースニップは役に立ってとてもえらいね。


 マンドラゴラ需要自体は続くだろうけれど、品種改良で儲けた他の農家さんが今後は派手に動いてくれるだろうし、しばらくはのんびり畑仕事できるかしら。



――クエスト「ポルカの街の産業革命2」発生条件を満たしたプレイヤーがいます――


――このクエストは協力推奨です――


 なにこの見計らったようなタイミング。

 ちょっと忘れかけていた産業革命クエストの続き?


 でも私向けではなさそうだった。

 誰かが条件満たして、協力可能なプレイヤーにもアナウンスが流れた感じかな。


 クエスト内容はわからないけれど、協力可能ってわざわざ言うくらいだし、短時間のクエストではなさそう。

 街に行ったときにクエストの状況がわかって協力できそうなら参加するか。



 マンドラゴラを触媒にしてもらって同業者の底上げに成功したので、フレンドにもこういうことがあったよ、と知らせておく。

 料理人界隈でもマンドラゴラを使ったらなにかブースト効果があるかもしれないし。


『興味深い話ではあるんですが、アカリちゃんと同じ姿のマンドラゴラを調理するのはちょっと……』


『パースニップは使えるのに』


『それはそれ、これはこれです』


 うちだとそこまで気にしてないけれど、1体と深く付き合っているとそういう気持ちになるのかもしれない。


『多分料理人にもあると思うんですよ。一番最初に触れて、使い方によっては業界全体を底上げするようななにかが。だから困ったら相談しますけど、今は自分で探してみます』


 うん、あの赤い人と白い人と違って大変好感が持てるストイックさだ。

 アカリちゃんはいい料理人の世話になれてよかったなあ。

 全くこちらに帰ってこないということは現地の土にも問題ないのだろうし。


 このまま帰らずにずっとコンビを組んでもらっても構わないのだけど、向こうはどう思っているんだろう?

 それはおいおい確認でいいけれども。




「石岡ちゃん、戻って早々で悪いけどヘルプ入れる?」


 店舗直行からの帰社後に三浦先輩が寄ってきた。


「はい、午後は空いてます」


「これから工場に行ってメサルティムの交換パーツを受け取って店舗に届けて欲しいんだ」


「機材トラブルですか」


 メサルティム結構丈夫なのに。

 不特定多数が連続で使うと内部機構が疲労するんだろうか?


「持ち込み厳禁の飲料を持ち込んでこぼした人がいてね。内部機構は防水だし大丈夫だと思うけれど、念の為」


 あら原始的なおばかさん。


 時計を確認して、移動時間を計算する。

 午後からなんて言ってるとちょっと時間がかかりすぎるか。


「それならもうこのまま向かいますので、先方に連絡お願いします。先輩は店舗のほうに?」


「うちの予備としてもらってるやつを代替で置いてくる。あれはちょっと使用感あるから早めに交換したいけどね」



 工場で受け取った交換パーツを抱え、店舗に着くと、別の交換パーツを持った男性と従業員入口で鉢合わせた。

 脳波測定周りの医療機器メーカーの人かな?


 件のメサルティムは防水だったけどこぼした飲料の糖分で結構内部が駄目になったみたい。

 持ってきたパーツが無駄になったほうが良かったけれど、こればかりは仕方ない。


 勿論こぼした人は弁償だね。

 自前の飲料は持ち込み禁止されていたのだから自業自得だと思うけれど。



 ふと、さっき居合わせた医療機器メーカーっぽい人から幽霊でも見るような妙な視線を感じた。

 なんだろう?


 最近こんな視線を感じたことがあったかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 知恵の実の元がバナナwww
[良い点] 毎話、更新楽しみにしてます [一言] アムブロシアってなんぞやと調べたら、ふむギリシア神話の不死の実か。 ゲーム的には一定時間内一度のみ自動復活とかかな? 永続だと強すぎるだろうし フレ…
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