少女と家へ帰るだけ
今回も一応グロ注意です。
タイトルだけ見るとただの変態ともとれr…この話はやめにしましょう。
現実的におかしくない?って思っても知らないふりしてください。お願いします。
結局、少女を振り切れぬまま家に着いてしまった。
不幸中の幸いと言うべきか、家は荒らされず無事だった。
まあ、こんな治安のところであれだけ働いて、窓ガラスから何まで強化しまくったんだ。
簡単に荒らされちゃあ困る。
で、この少女はどうしようか。
と言うよりなぜついてきているんだ?
もしかして懐かれた?
いや、子供とか嫌いじゃないから懐かれることに関しては悪い気はしないんだけど、
さすがに相手が相手だ。
…一回理由を聞いてみるか。
「…ねえ、なんでついてくるの?」
少女は、こちらをじっと見ると、先程渡したパンをこちらに見せる。
「…もしかして、開け方が分からないの?」
少女はこくりと頷く。
パンは市役所でもらった時のまま、袋に入っているため、開け方が分からなかったそうだ。
「なるほどね、分かった。ちょっと待ってね」
少し抵抗があるが少女を家に入れることにした。
もちろん、パンの袋を開けるだけならそんなことはしない。
問題は先程から後ろをつけてきている連中だ。
これは完全な私の過失だった。
そりゃあ、子供が食料もって歩いてたら誰だって狙うだろう。
…たとえ血だらけだとしても、危機感のない人間は軽く寄ってくる。
はあ、と本日何度目ともつかないため息をつき、
鋼鉄にカーボンで改造された玄関の扉についた、特別製のごつい南京錠を外す。
ガチャンと豪快な音を立てて外れる。
3つ全部外すと、体重をかけ、思いっきり押して、扉を開く。
ぎぃぃぃと、一般家庭の扉では明らかに立てないような音を立てて扉が開く。
これだけでだいぶ疲れる。少しやり過ぎただろうか?
「はい、入って」
ある程度開いた後、少女に入室を促す。
少女は少し警戒しつつも、家に入っていく。
いったん扉を閉め、困って突っ立ている少女に声をかける。
「もうちょっと待っててね。ちょっと用事があるから」
そう言い、飴を取り出して、少女に食べさせる。
「ほら、口開けて」
控えめに開けられた口に飴を入れる。
少女は、驚いたような顔をした後、気に入ったようではにかむように笑った。
…渡してる私が言うのもなんだが、よく人からの食い物を口に出来るな。
いや、そんなこと気にしたこともないのか。
そんなこと考えつつ、もう一度扉を開ける。
「いい、絶対出て来ちゃダメだよ?ちゃんとここで待っててね?」
少女は、本当に理解してるかしてないか分からないが、こくりと頷いた。
ここに帰ってくる前に回収しておいた包丁を取り出す。
どうやら刃こぼれはなさそうだ。
もう一度重い扉を押し、外に出る。
さすがに玄関前での出待ちはなかったが、家の前の道にぞろぞろと集まっていた。
…なるほど、たとえ敵であっても利害の一致で一時的に協力することにしたのか。
さすが、やり方が狡いな。
人数は五、六人ほどで、全員男。あまり集団戦は得意じゃないのだけど。
いや、そもそもあの少女をかくまう必要も無いのでは?
あれだけ強いんだ。この程度直ぐに何とかしてしまうだろう。
…だがまあ、今回は私の過失も大いにあったし、ほっとくのもなんだかなあ。
こういうとこがこの街で生きてくにはまだ甘いんだろうな。
ああ、そう言えば昼間の大量の死体、あれ、あの子の仕業かもな。
そんなことを考えつつ、警戒は怠らずに集団に近づいていく。
彼らは私が近づいて来るのを見ると、それぞれ武器を取り出した。
さて、集団戦となると先程の男の時のように隙だらけの動きは出来ない。
攻撃を避けつつ、一人一人確実に減らしていく。
まずは…
ダンッと強く足を踏み出し、加速する。
ほとんど飛んでいるのと変わらない勢いで、先頭の男の後ろに立つ。
一人!
包丁を相手の横腹辺りから抉るように振り上げる。
「ぐああ!」
男のうなり声が響く。その男はそのまま倒れ込む。
後ろの男達は反応が追いつかず、私が先頭の男を斬り付けた後、武器を振るう。
それを見越して、私は先程斬り付けた男の服を引っ張り、男を盾にする。
勢いを止めきれず全員の攻撃が男に当たる。
残りの男達は明らかに動揺した。
その隙を逃さず、また一人の体を斬り付ける。
直後に来た攻撃を前転で避け、起きた先にいた男を斬る。
「うおおおおお!」
一人が大声で叫びながら後ろから鉄パイプのようなものを振り下ろしてくる。
避け、いや、間に合わない。なら、
瞬間的に判断し、左の手のひらを上に向け、頭を守るように腕をかざす。
そして、腕で鉄パイプを受ける。
いってぇ! 激痛が走りわずかに体制が崩れる。
さすが成人男性の力。めちゃくちゃ痛い。
だが、痛みにかまっている暇も無いので、直ぐに体勢を立て直す。
そして、攻撃を仕掛けてきた男の体を刺す。そのまま包丁を横に薙ぎ払う。
「ぐっ、がぁぁぁぁ、ぁ…」
あと何人?残り三人!
攻撃が浅かった数人は立ち上り、怒りをあらわにしている。
私を挟むように二人が攻撃してくる。
相っ変わらず卑怯な手を使うなあ!
片方は上から、片方は横に私を斬り付けようとしている。
当たるギリギリ、私は勢いよくしゃがむ。
「「!!」」
からぶった攻撃はお互いに深い傷を与える。
下に居た私に大量の血が降り注ぐ。
生暖かい鮮血の、不快な感触と匂いが私を包む。
さて、最後の一人。
後ろから狙ってるの、ばれてるんですよ?
攻撃が当たる前に相手の手を切りつけ、武器を落とさせる。
男は痛みや、恐怖でなどで動揺し、隙が出来た。相手の顔は引きつっている。
始め、子供一人だから勝てると高をくぐっていたのだろう。
見事その予想は粉砕され、子供に殺されるという自尊心の高い彼らにとっては最悪な死に方をしているのだ。
「さようなら。来世は幸せになれると良いね。」
私は最後の一人を斬り捨てた。
次回からはめっきり日常回です。
何か書いてるうちに日常になっちゃうんですよね。
お家がえぐい事になってるのはまた後日お話ししましょう。