鮮血淋漓の少女
ちょっと殺人要素があります。
そこまでグロく書いてないつもりですが、作者の感覚はずれてるところがあるので、苦手な方は閲覧を避けて下さい。
もし、この先Rー15指定した方が良いとなれば教えていただけると幸いです。
それから一時間ちょっとは適当に時間をつぶし、日が傾き始めたので家に帰ることにした。
この時間帯から大通りにやっかいな人間が増えるので小道を通って帰ることにする。
「やめてっっっ!!」
突然路地裏から女性の大声が聞こえる。
思わずそちらを見れば、男がさっきの声の主と思わしき女性の腕をつかんでいる。
男は5,60代くらいだろう。
かなり太ってるおり、呼吸が荒い。
「へっ、もう逃げられないぜ」
「やめてっ!本当に…やめて」
男が、女性の服を破らんばかりにひっつかんだ。
ああ、これ多分強姦だ。
この町に住めば、嫌でも一度は事件現場に立ち会うことになる。
強盗から殺人、暴力沙汰など様々だ。
だが個人的に一番立ち会いたくないのが、今目の前で起きそうになっていることだ。
事後ならまだしも、その最中に立ち会ってしまったりなんかすると、見たくもないもんまで見えたりするからだ。
まあ、正直助けたってメリットないし、たぶん彼女はこの街では生き残れないだろう。
ほっといても良いんだけど、立ち会って無視はさすがに目覚め悪いよね。
…こんな考えするようになったらとうとう外道よな。
「はあ…」
ため息をつくと驚いたように男はこちらを振り向いた。
「だれだおめえ!」
男が大声で叫ぶ。
「うるさいなぁ」もう一度ため息をつく。
なんだろう、我ながら地味にかっこつけた台詞だ。
内心でそう思ったのは秘密にしておく。
「んだとてめえ!なめてんのかごらぁ!」
「弱い犬ほどよく吠えるって聞いたこと無い?」
「てめえ!」
しびれを切らしたように、男は刃物を取り出し襲いかかってくる。
え、チョロい、煽り耐性なさ過ぎ。加えてとろいし。
私も服に隠していた包丁を取り出しケースを外す。
男は腕を振り上げて突進してきて、私のそばまで来ると思いっきり腕を振り下ろした。
私はそれを躱し、男の後ろ側に回り込む。
私は男により深い傷を与えるため、全身をしならせるように斬り付ける。
ズシャ!
肉を斬り裂く感覚が手に伝わる。
ああ、相変わらず、最悪な感覚だ。
「うああああああ…」
男はうめき声を漏らし、倒れ込む。
脂肪のおかげで致命傷には一歩遠いようだ。
「…あ、ああ」
声が聞こえ振り返ると、さっきの女性がこちらを指さして声にならない声を出している。
「ひ、人、殺し」
私が彼女の方を見たせいか、一言そう呟くとおぼつかない足取りで脱兎の如く走り去っていった。
まあ、その反応が正常よな。
外にいた頃見たファンタジー物の本で、助けるためとはいえ目の前で人が殺されて、殺した人間に助けられた人が御礼を言ってる場面があった。
正直、人を殺した人間に対して御礼が言えるなんて相当な精神力があるとしか思えない。
まあ、状況が状況だからなぁ、そういうこともあるか。
むしろ謝らない方が不誠実?そうかも。でも私は無理だな。うん。
もしくは恐ろしいが故に、その刃がこちらを向かないように丁寧に扱う。
…もしかしたら神道の根源はそんな感じだったのかもな。
自然がこわい故により神として祀り丁寧に扱う…なんてね。
だが、ここにいると言うことは犯罪を犯したか来ることを望んだんだろ?
噂くらいは耳に入るだろうに。いちいちあの反応じゃ、この街では直ぐ死んでしまう。
男の方に顔を戻しつつ、そんな脱線したことを考える。
「ひっひぃ」
男はそんな情けない声を出しながら必死に立ち上がり逃げ出す。
逃げるとは言っても怪我のせいでほとんど走れていない。
ため息をつき、男を後ろから歩いて追いかける。
私がさっき来た道を引き返すように男は逃げていく。
「どけぇ!」
男が突然そんなことを叫んだので何かと思ったら、私より年下の女の子が突っ立ていた。
私はその子を見てぞっとした。
伸びきった髪の毛にぼろぼろの服。
そこまでならなんとも思わなかった。異様なのが…
そのすべて、そして手に持った刃物が血と思わしきもので真っ赤に染まっていたことだ。
ザシュ!
斬撃音がしたと思うと、カンッという金属音が続いた。
先程男が持っていた刃物が落ちたのだろう。
「ぐ、ううう」
さっきの男がまたもやうめき声を上げる。
男を斬り付けた少女は男の前に立ち、腕を振り上げ、
…無慈悲に男を斬り裂いた。
「あははは。晩ごっ飯~」
返り血で染まったその少女は笑い声を上げ、月光に照らされ光る双眸をこちらに向けた。
…なるほど、今度は私が標的か。
その目はとことん無邪気で、ちょっと前に鏡で見たひどく濁った私の眼とは全然違う。
ズキッと胸が痛んだ。が、気のせいだと思い込む。
あの動きからして明らかに普通じゃないうえ、私でも勝てない。
と、なれば、
「降参、降参。参りました」
こうするしかないだろう。
包丁を手から放し、両手を挙げ降参のポーズをとる。
ちょっと包丁が靴にかすった。あっぶな。
さて、ここからどう生き残るか。そもそも話が通じるか。
脳をフル回転させ、様々な考えを展開していく。
「こうさん?」
「負けましたってこと」
「…?まだ動くのに?」
「動かなくなったらそれは普通に死よ。降参って言うのは貴方には勝てませんっていうことよ。貴方の言うこと聞くから殺すのは勘弁してくれない?」
自分より年下の子に命乞いする日が来るとは…。
「……?」
少女はきょとんとした顔をしている。
…この子、失礼かもだけどあまり頭はよろしくないのかしら?
そうなってくると少しのぞみが出てくる。
「…ねえ、貴方お腹すいてない?食べ物上げるから許してくれない?」
うん、我ながら卑怯だ。
彼女だって人間だ。三大欲求に逆らえるわけがないんだから、食料はほしがるに決まってる。
「食べ物?」
ほら、食いついた。
「うん、そう」
胸が痛むが命には代えられない。
いや、何を今更心が痛むなんて善人ぶってんだか。
心の中で自分を嘲笑する。
強い目線を感じ、意識を思考の海から現実へと引き戻す。
先程の少女が、人を殺したときと同じように、純粋な目でこちらを見てくる。
また、胸が痛む。…人を殺したしたときですら感じないくせに。
自分に対し苛立ちを覚え、浅いため息をつく。
肩掛けのリュックサックからウェットティッシュを取り出し、手を拭く。
その後、パンと飴を取り出す。
正直、私この子苦手だ。不気味だしあんまり近寄りたくない。
でも仕方が無い。こちらから持ちかけた話だ。
こちらが信頼に値する人間だと証明しなければ。
「はい、どう…ぞ」
「……?」
渡そうとして、相手の少女の手も血だらけだったことを思い出し手を止める。
いや、さっき殺した男を夕飯と言っていたからきっと気にしないんだろう。
だが、この街では貴重なパンだ。
それにせっかく渡したものなんだから、せめて綺麗に食べて欲しい。
変な意地が邪魔をする。
もう一度、今度は深くため息をつき、食料を置きもう三枚ウェットティッシュを取り出す。
「手、出して。大丈夫、拭くだけ。傷つけたりしないから」
今私が出来る、精一杯の優しい声色を造る。
少女は思ったより素直に手を出してくれた。
綺麗になるよう念入りに拭き取る。
古く血がこべりついているものもあり、完璧ではないが、ほとんどは取り切れた。
「はい、綺麗になった。それと、約束のご飯」
今度こそ約束のものを手渡す。
彼女が受け取ったのを認めると、一歩下がって、
「それじゃあね。無事を祈るわ」
そう言い、彼女を背にして家へ戻るため歩き出す。
殺人少女(人のこと言えない)の無事を祈るとはなかなか…なんとも言えない気分だな。
さて、これから私が考えるべきこととしては、
家が占拠されていないか、占拠されていたらどうするか。そして…
…後ろからついてくるこの少女をどうするか…だ。
序章終了です。
前回序章の序章といいましたが、今考えると前編後編の間違いでしたね。はい。
次回も少しグロ要素がありますので、お気をつけ下さい。