惨劇の日
第2話です。
戦闘シーン表現とヒロインの登場に焦点を合わせました。
まだ、不備等あるかとおもいますが、皆様の寛容なお心で見て下さい。
今日も鳥のさえずりが聞こえる。絶妙に心地いい肌触りだ。何があろうと朝はきちんと起きる。これが俺の人生の流儀だ。
『今日の武装は...』
バルターは先日、あまり有名ではない戦闘集団から依頼を受けたのだ。その内容は魔物の討伐。具体的には魔物共が最近、動きが活発でその集団が生活しているの近隣の村や里に被害が出ているので、洞窟に住み着く魔物の根っこを叩こうという作戦だ。
『両手剣と爆薬袋、それに...これだな。』
この世界には特殊な能力が存在する。それは魔物の「心」だ。魔物を倒した時に極々希に手に入る事が出来る水晶の様なものだ。これを体に近づけると自然と体内に浸透していくのだ。これにより、強大な力を得ることが出来る。自分の体にいくつ「心」を取り込めるかは当人の魔物と戦った回数に依存する。
バルターの熟練度は3、つまり3つまで魔物の「心」を装備出来る。
その日の夕暮れ、作戦は決行された。人数はバルター含め総勢12人。この村や里の周辺に居る魔物から察するに、あまりレベルは高くはない。が、不安感が残る。また浮霊されるかどうかだ。
『さぁて、今回はどっちだ?』
にやけながらバルターは言う。
『さぁ、突入だ!』と、この集団のリーダーが意気込む。
中は当然暗いため、たいまつを付けていないと真っ暗だ。魔物はいつ出てくる?そういう緊張感が周囲に漂っていた。
そうして進んでいる内に大きな広間の様な所に出た。そこで惨劇の幕は上がった。地中からゾンビ達が大量に出て来たのである。戦場が乱れて仲間がどんどんやられていく。
『何でゾンビなんかが出るんだ』
『俺たちで敵う相手じゃねぇ』
周りの仲間達が叫ぶ。
熟練度の差だ。彼らにゾンビは倒せない。
『撤退だ!!急げ。』
物量には勝てないとバルターは判断し、命令を出したが既に遅かった。ゾンビは永遠と思える程に沸きだしてくる。我が隊は壊滅状態だ。バルターは手持ちの武器で退路を何とか作開きながら出口の方へ向かっていく。ただひたすらに。
バルターは洞窟の外へ出たが被害はここでは止まらない。ゾンビ共は洞窟から溢れ出て近隣の村や里を襲撃しに行ったのだ。
『これは地獄か...』
バルターはそう思いながらも戦い続けた。その最中、一人少女を見つけた。
少女を守りなさい!
そこで彼は運命の出会いを果たす。
一晩経ってバルターはゾンビを一掃した。脳内に響いたあの声のとおり、少女を守り抜いたのだ。だが、周辺の村、里は全滅、彼女も家族を失い疲弊していた。
傷の手当てをしている時に名をバルターは尋ねた。
『アスカ。』
他には何も問わなかった。バルターは彼女を保護することにした。頭に響く声のとおりに。これからは用心棒ではなく一端の「戦士」として生きていく事を決めた。
これからの展開は、どんどん新キャラクターを出していく所存です。
この作品ならではの「浮霊」や「心」「頭に響く声」、謎を徐々に説き明かして行くので宜しくお願いします。