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銀色の雲  作者: 火曜日の風
6章 異世界冒険譚?
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5話 危険予測


 街を出たレッグと瑠偉の一行は、速度を上げ軽快に目的地に向かって進んでいた。当然舗装された道は無く、大きな石から小さな石が無造作に散らばる道を進んでいた。道には車輪の幅の(わだち)が出来ており、馬車の行き来が激しい通りだと予想できた。その轍は踏み固められ、石等が弾かれ舗装された道路の様に、平らになっていた。おかげで馬車は激しい衝撃は無く、瑠偉の予想とは裏腹に快適であった。


「もう一度聞きますが、本当に安全ですか? 盗賊とか出ませんよね?」

「盗賊は、一隊いましたがルイさんのお連れの方が、討伐されていますよね? 今は街の周辺には、いないはずです。領主ですので、その辺の情報は確認済みです」

「そうですか… (なら、危険な事件ってなんだろう? )」


 瑠偉は黙り込んで、考え始めた。それを見たレッグは、心配の表情で瑠偉に話しかける。


「大型で凶暴な肉食動物が生息していたのですが、2年前に全て狩りつくしました。今は凶暴な動物は、居ませんので安心してください」

「そうですか。でも、肉食動物が居なくなったら、増える動物とか居ませんか?」

「その為に、ハンターと言う職を作りました。依頼と言う形で狩りをしてもらい、頭数と種を管理しています」

「なるほど… (意外と、考えているんですね…)」


 凶暴な肉食動物ですか、この辺が怪しいけど… と瑠偉は考え始めた。


「その肉食動物って、本当にいないんですよね?」

「川の向こうには居ますが、彼らは泳げないので川を越えません。それに、川の向こうと言っても、クッド族の領域にしかいませんので、ここから距離がだいぶ離れています」

「そうですか(クッド族って、たしか、麻衣達が向かった場所だよね。まさか? )」 


 瑠偉は、しばらく考え込んだ。昨日のララが言った、事件の予定なし。しかし、朝になると事件の臭わせていた。やっぱり、その肉食動物が怪しいな… と考えた瑠偉は、レッグにその動物について聞くことにした。


「その肉食動物って、どれくらい凶暴なんですか? 人とか食べちゃうとか?」

「そうですね、人も普通に食べますよ。昔は年に20人ほど、被害が出てましたね」

「年に20人も、食べら… (マジデスカ… 超凶暴じゃないですかー)」

「安心してください。私は、それを一人で狩ってました。と言っても、もう生息していませんから、見せられませんけど…」

「た、たのもしいですね」


 レッグは瑠偉の方を見ると、軽く微笑みかけた。


「安心しましたか?」

「はい… (確信しました。絶対、その肉食動物が襲ってくると)」


 瑠偉は辺りを見渡す、周囲は麦畑や野菜畑が点在している。所々に家もあり、閑散とした農村地帯と言った感じだった。田畑地帯を抜けると、所々に地肌が見える草原が広がっていた。瑠偉は、遥か先に見える森林地帯をぼんやり眺め始めた…


 (これがドライブデートの起源か? いや、なんか違うなぁー… あっ、そう言えば…)


 瑠偉は、ララが光学迷彩でついてきている事を思い出した。目を凝らしながら周囲を観察し、ララを探してみることにした。


 (どこにいるんだろう? 全く分からない… 本当についてきているのかしら? )


 レッグは、何かを探しているような瑠偉を見て、不思議に思い彼女に声をかけた。


「どうかしましたか?」

「なんでもないです。ちょっと、私の国とは違う風景なので… はははは」

「ところで、朝食は美味しくないですか? ファルキアさんから、いつも嫌そうな顔で、食べていると聞いたんですが」


 瑠偉は、レッグがなぜ私の事を知っているんだろう? と考え始めた。


 (レッグさんと、ファルキアさんは知り合いなのかな? 商人の妻と領主だから? )


「食事は、美味しくないですね。私の国に比べれば… それより、なぜそんな事を知ってるんですか? ファルキアさんとは、どういった関係なんですか?」

「ああ、話してなかったですね。昔、クレハとガフ、そしてファルキアとオーグ、そして私を入れて五人で、狩りをしてました。その好で、5人は仲がいいですよ。親友ですかな」

「そ、そうですか… (なるほど、グルだったか…)」


 瑠偉は、レッグたち5人が狩りをしている様子を、心の中で思い描く。しかし、オーグの現在の体系を考えると、どうしても想像できなかった。


「あのオークさんが、狩りを?」

「昔は痩せてましたよ? 今よりは、少しだけですが… ちなみにオーグです」


 それからレッグは、クレハ達と一緒に狩りをしていた頃の話。ファルキアとオーグが、結婚をして狩り仲間から抜けた話などをした。

 瑠偉は、内心興味がなかった。相槌を打ちつつ、時折質問を混ぜつつ、さりげなく会話を流していた。

 馬車は、遥か先に見える森林地帯に向かって進んで行くのであった。


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