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銀色の雲  作者: 火曜日の風
1章 猫耳を探しに行こう!
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6話 チャンバラごっこ


まずは観察し現状を正しく把握して、どうするか考えよう。

馬車の様な物は、地球でのペット用犬小屋を、大きくしたような作りの木造の簡素なものだ。車輪も木製で、乗り心地は良さそうには思えない。馬車の進行方向が、街側に向かっているので、馬車の先端は荷台に隠れて見えない。生態系が地球とはまるで違うので、引いているのは馬ではないだろう。とりあえず便宜上、馬車と言っておこう。


馬車の大きさは、おそらく人間が対面で6人乗れるだろう。まぁ、あのオーク・・・ではなく大きな人間なら、横幅は1.5人分か? 瑠偉とあの少女の尻の横幅を計算すれば、合わせて3人分のスペースで座れるな。あとは俺と麻衣とララで座れる。


「よし、助けるか。お礼に金銭を要求して、滞在資金を手に入れるぞ。あとは、同乗して街まで乗せてもらおう。そして、中で情報を聞き出す」


「じゃあ、行くね!」の言葉と共に、麻衣はすぐに飛び立とうとした。俺は、すかさず麻衣のスカートを引っ張り止める。麻衣は、また俺の目の前で、生半ケツを晒し止まった。


「だから、引っ張んないでって!」

「飛ぶなと言ってるだろ、走っていけ! その前に、防御シールドは展開しておけよ! あと、盗賊は殺さないように!」

「わかったから、早く早く!」


殺さないのは、ここの犯罪処理の仕方が解らないからだ。ゆえに勝手に処理して、後で面倒なことにならない為だ。


俺がスカートから手を離すと、麻衣は「まった、まったー!」と叫びながら、かつ両手でスカートの位置を整えながら、馬車に向かって勢いよく走っていった。

あとは、なにか問題が・・・・あったような気がするが・・・あっ?


「そういえば、言葉が通じない?」

「ご主人様、問題ありません。事前調査で主要言語の解析を完了しております。言語データは、ご主人様と麻衣様が寝てる間に、脳に書き込んでおきました」


「そ、そうか・・・ご苦労」

「もったいない、お言葉です」


いつ書き込んだのだ? 全く気付かなかったのだが・・・ 恐ろしいから、深く考えないでおこう。


「よし、俺達も行くぞ」

「はい」


俺とララは、馬車の方に向かって歩き始めた。

と、その前に瑠偉が起きて、面倒な展開にならない様に深い眠りをかけておこう。


前方を見ると、麻衣が到着したようで剣を抜き、盗賊と対峙していいた。盗賊達は、麻衣の方を向き1人は麻衣の正面に、その一人の後方両脇に各一人、後方に一人。ちょうど、ひし形の形で麻衣と対峙している。


麻衣は剣を横に構え、いかにも横切りをします、的な姿勢をとった。そこから左足を少し前に出し、「てやぁー!」と言う掛け声と主に、先頭の盗賊に向け盛大に剣を振り払った。


なんとも綺麗な、バットスイングだな。と思ったが、よく見るとお尻が引けていて、目を閉じている。大ぶりの上で、それでは当たらないだろう・・・

先頭の盗賊は、素早く一歩下がり剣が振り切った後に反撃を始めた。盗賊は、麻衣の胴に向けて剣を振るった。


カキィーン!!!


相手の剣が麻衣の防御シールドに当たり、乾いた金属音と共に剣がはじかれた。盗賊は『仕留めた!』と確信したのだろう、予想外の結果に驚きの表情を見せ、すぐさま麻衣から距離を取った。


「っふ、なかなかやるわね! ならば、これはどうだ!」


麻衣よ・・決めセリフだけは、一人前だな。しっかり反撃を貰っているぞ、そして普通は死んでいるからな。


麻衣は剣を鞘に収め、その鞘を左手に持った。右手で(つか)を握り右足を前に出し、姿勢を低くとり、大きく深呼吸をしている。


「必殺っ! 居合切りぃぃー! はぁぁぁぁっ!」


麻衣は叫びながら半歩踏み出し、滑らせる様に剣を抜き、そのまま横方向に切り払う。

おそらく麻衣は、剣道すらやった事ないのであろう。刀身の長さと相手の距離を、全く計算に入れていなかったに違いない。この時、麻衣と退治している盗賊との距離は、3mほど離れていた。当然、麻衣の刀身は虚しく空を切った。更にまたしても、お尻を後方に突き出し、目を閉じている。


「ば、馬鹿な! この速度を見切っただとぉ!」と、麻衣は堂々と言い放った。


なんだろう、この喜劇は? もうちょっと見ていたくなる気分になる。そんな状態の麻衣を、盗賊達はおろか、太った人間とその陰に隠れている少女は、黙って見ていた。


剣を当てて、はじかれたのが原因かもしれない、麻衣の奇行が原因かもしれない。

盗賊達は、少しずつ麻衣から距離を取り始めた。


「ふっ、どうやら、この私を・・・本気にさせたようね(・・・・・・・・・)!」


麻衣お得意の、大きな胸を乗っける腕組。さらに足を若干開いて、不敵な笑み。

この姿勢はまさか、あのエネルギー弾を打つつもりなのか? さすがにそれは、相手が死んでしまうだろう。


麻衣は右腕を伸ばし、拳を一人の盗賊に向けた。握られた拳から、ゆっくりと人差し指が伸びていく。人差し指の先端は、うっすらと光っていた。さすがに、これは止めないとまずいな。


「ドド〇波ァーーー!!!」

「まてこら!」


俺は、麻衣の側にテレポートで行き、そのまま麻衣の指先を手で包み込み。麻衣の指先から解き放たれた、エネルギー波を回収した。


何の前触れもなく、突然現れた俺を見て。盗賊達は、口を開け俺を見ていた。

最初に俺と目の合った盗賊は、暫らく俺を見ていた。そして、今の自分の状態を思い出したのか、頭を左右に振り、自分の意識を確かめたようだ。


先頭の盗賊は「なんだお前? 何処から来た?」と、俺を見ながら言ってきたので、当然俺に向けて言ったはずだ。しかし「悪人に、名乗る名などないわぁ!」と、俺の後ろのいる麻衣が、勝手に答えてしまった。


これは、素晴らしく話がややこしくなりそうな気がするな・・・


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