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銀色の雲  作者: 火曜日の風
4章 計画を考えているうちに、起こってしまうのが人生
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12話 storyteller(ストーリーテラー)完成


 ララと刻夜志摩との話し合いから三日後の休日。刻夜志摩は食卓テーブルに座り、パジャマ姿で遅めの朝食をとっていた。彼女は手に取ったトーストをかじりながら、先日ララに聞いた出来事を考えていた。


 (… あの事よりまず、生体融合型ロボットが気になりますね。私の体を使った事より、その先の事が・・・ 一応、彼に注意だけでも)


 朝食を終えた彼女は、メイドロボの出された昆布茶をすすりながら机に置いてあるスマホを手に取った。器用に右手だけで操作し始め、兼次に電話を始めた。


 プー・プー・プププ… プルルルル・・・


「おはようございます。志摩です」

『おう、久しぶりだな。地球生活は順調か?』

「ええ、毎日楽しく過ごせています。問題ないですよ」


『そうか、でも何かあったら遠慮なく、美憂やララに言うんだぞ』

「はい、ありがとうございます。(… ははっ、丸投げなんだ…)」

『で、何か用か? 前もって言っておくが、恋愛相談は出来ないぞ』


「恋愛の話でな無いですが、先日ララさんと浮遊島について話しをしていました。その中に、生体融合型ロボットの話が出たので、少し気になりまして・・・」

『ああぁ… あれか… 安心してくれ。俺は抱いてないし、今後も抱くつもりはない』

「いえ、その問題ではなく、生体融合型に関する技術問題です」


『そうだよな、意思のある生身のラブドールとか… ちょっとキモいよな』

「ら… ラブドール?? いえ、いえ… 生体融合型のロボット技術は、人類支配につながる、とても危険な技術です。出来れば進めてほしくなかったのですが…」

『なるほど… 人類支配か… っまあ、大丈夫だろ? 俺が見てるし…』

「貴方なら大丈夫かと思いますが、普通の人間は抗えません。私が指導できる立場ではありませんが、一応心にとめておいてください」


『わかった、自重させておくよ。で、昔の自分の体になるが、抱いてみるか?』

「え… 遠慮します。複雑な気分になります・・・ では、今日はこの辺で…」

『ああ、またな』

「はい、失礼します」


 変な方向に会話が進みそうになると感じた彼女は、逃げる様に電話を切り上げた。そして、スマホをテーブルに置こうとするが、会話の中で気になった【ラブドール】と言う単語の検索を始めた。そして画面に表示された、怪しい人形画像の数々を見て…「っう! うぁぁぁ…」と小さな声で唸りを上げた。


「購入されますか? 最近は女性向けの、イケメン男優物もあります」


 側にいたメイドロボに話しかけられた彼女は、素早くそちらを向いた。


「いりません! それより、さっきの電話の事ですが…」

「その件については、ご安心ください。人間に使う事は致しません、お約束します」

「そうですか… 信じましょう」

「ありがとうございます。それから、例の件ですが何とかまとまりました」

「話してくれますか?」

「分かりました。少々長くなりますが、お時間は宜しいですか?」

「いいですよ」


 メイドロボは、テーブルの急須を持ち上げ彼女の昆布茶をつぎ足すと、語り始めた。


「昨日、マスターの力を借りたワームホール式望遠鏡で確認を取りました。やはり、惑星全体にシールドを張っておりました。ナノマシンを飛ばしてみましたが、侵入は不可能でした」

「ワームホール式望遠鏡‥‥ それって、何をする目的の物?」


 彼女は浮遊島に存在しなかった技術に違和感を感じ、メイドロボの話を遮り質問をした。


「マスターの指示により、移民を受け入れる計画です。その為の調査用の物です。ちなみに、移民は猫耳を要望なされました」

「はは… 移民ですか(…移民なら、地上の人を移せばいいに…なぜ? )」

「理由は理解できませんでしたが、猫耳がいいそうです」

「ま… まぁいいです。続けてください」


「その猫耳の種族ですが、いままで見つかりませんでしたが、連合のデータベースから見つける事が出来ました。しかも、その惑星は連合の重要監視対象惑星になっていました。そして、教団にも目を付けられています。その惑星は、ウラン鉱石が大量に眠っていますので、その為の監視でしょう。


 その惑星は連合と教団が、お互いに牽制しあいながら監視しています。そこに、マスターが降り立てば、いずれ教団に見つかると思われます。そこで現地で私が教団と接触をはかり、教団の方からマスターにルシアン星の救援を進言していただく。と言う感じです。シナリオは現地で修正しながら、旅行程を作って行こうと考えています。ちなみに、夜巳様に未来を見て頂いた結果、成功率100%となりました」


 彼女は両肘をテーブルに置き、コップを持ち上げながら考え込んでいた。

 (…色々突っ込みたい点があるけど、どうしよう?? 成功率100%と言ってるし、でも一個だけ聞いておこうかな・・・)


「貴方の例のロボットは、彼の側に付きっきりですよね? どうやって現地で動き回るのですか?」

「少し心苦しいですが… 城島様を巻きこみます。そうすれば、私は城島様の護衛として別行動になり、単独行動ができます。城島様には申し訳ないですが、沢山の命を救う為です。必ず分かってくれます。ただし、本人には言いませんが…」


「なぜ彼女を?」

「私のシミュレーションでは、佐久間様ではマスターと一緒に行動をとってしまいす。必然的に城島様一択になってしましました。ただ… 留年になるはずですので、来年は仲良くしてあげてください。ちなみに、城島様には秘密でお願いします」


「すごく遠回りをしている気がするけど… やっぱり、彼に直接頼んだ方が?」

「申し訳ありません、何度シミュレーションしても断られてしまします」

「そうですか… (…さすがに瑠偉さんが、可愛そうですね。なら私が…)では、私が現地に行くという案は?」

「刻夜様は、一人で浮遊島に来れませんので、対象外です。むしろ、来ていただくと私が、疑われてしまします」

「そうですか・・・ かわいそうな瑠偉さん・・・」


 刻夜志摩はコップから昆布茶を飲みながら、瑠偉の事について考えていた。

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