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銀色の雲  作者: 火曜日の風
3章 まず行動、目的は後からやってくる
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9話 お買い物

 宿屋を出た瑠偉とララは、街の中心部に繰り出していた。彼女達の周囲には、食料品や雑貨などが並んだ店が、道の両側に並んでいた。


「意外と、まともな店が並んでますね」

「そうですね、生活水準は高い方です」


 ララと話しながら歩いていた瑠偉は、すれ違う女性達の服装に違和感を感じた。街に始めて歩き回った時には、皆同じようなスカートをはいていた。しかし今日は、縦にひだが織り込まれたスカートを、履いている女性とすれ違った。プリーツスカートと呼ばれるものだ、たった数十メートル歩いただけで3人ほどとすれ違った。


「ララさん… あのスカート、一昨日は一人も履いてなかった気がします」

「昨日、ロート夫妻の系列店で売り出されました。おそらく、お嬢様のセーラ服をヒントに、作られたかと思われます」


 瑠偉はすれ違ったプリーツスカートを、履いている女性を目で追っていた。色は簡素な茶色で、染色はしていない感じだが、縦に入れたひだによってボリューム感がある。布を巻いただけ感のスカートより、明らかによく見えた。そして彼女は、深く考え始めた…


「なんという事でしょう。私の服が意図的に、文明を進めてしまったんですね」

「大袈裟です。たかがスカートごときで、歴史は変わりませんよ」


 ララに思いっきり否定された瑠偉は、微妙な顔つきで半口を開けララを見た。ララは、そんな瑠偉を見向きもせず一軒の店の前に来ると、そこ店に近寄って行った。

 店の中に居た陽気な口髭の男性が、出てくると話かけてきた。


「いらしゃい、なにをお買い求めで?」

「塩と小麦粉をください。あとは、そちらの卵を」

「まいどありー」


 瑠偉は買われた品物を見て、何を作るか想像した。そこから何も導き出せなかった、日ごろから料理はおろか、お菓子作りもしないから当然である。


「砂糖は無いんですよね? 何を作るんでしょう?」

「作れる物は限られます。そこから、いかにいい物を作るか… それが私の評価につながります。今回は手を抜けません、本気です」


 ララの言葉を聞いて、瑠偉は疑問を持った。では何時もは手を抜いているのかと… ここに来る前のメイドロボの作る料理は、かなり手の込んである料理ばかりであったし。昼の弁当も周りの学生に比べれば、かなりいいものが入っていた。


「地球では、材料もレシピも豊富でしたので完璧にこなせます。しかし今回は… と言う意味です」

「か… 解説どうも…」


 ララは店の男性から、商品を受け取る。そして何処から出したか不明な買い物袋に入れ、その店を後にした。そんなララの姿を、瑠偉は不思議な表情で見ていた。とくに、その不思議な買い物袋を…


「ララさん… その買い物袋、どこから出てきたの? まさか… アイテムボックス?」

「私のナノマシン服の一部です。そして、現実を見ましょう。異世界小説の読み過ぎです」

「・・・便利ですね。てか、そんなに読んでないです!」

「昨日のスマホ閲覧履歴では、6作品を一晩で読んでます」


 瑠偉は「だから、私のプライバシー・・・」と小声でララに文句を言う。しかしララは、そんな瑠偉に目もくれず。少し歩いた次の店で止まった。その店は、野菜や果物類が並んでいた。瑠偉は、その店の商品を見る。見たことなない色の野菜や果物を見て、まるで海外の朝市に出かけている気分になった。


「ここで一番甘い果物をください」

「はいよぉ!」


 男性の店主は、黄色いウリの様な? マンゴーのような? 果物を取るとララに渡す。ララは金銭のやり取りを店主とすると、その店を後にする。瑠偉は、そんな現場を見ていて、重要な事を思い出した。


「ララさん。お金… 持ってませんでしたよね? 私が全部持ってるし・・・」

「お嬢様が寝た頃に、仕事をこなして稼いでおります。夜だと誰もに見られないので、飛べますし、テレポートも出来ます。やりたい放題で、短時間で終わります」

「そうですか。気づかなかった… です」


 瑠偉はララの仕事内容より、その買い物袋の中身が気になっていた。小麦粉、卵、果物とくれば… 瑠偉は、得意げな表情でララを見た。


「ずばり、タルトですね?」

「ありきたりですね。現地住民が、絶対まねできない物を作ります」

「と言うより、何処で作るんですか?」

「レッグさんの、屋敷の厨房を借りようと思います。お嬢様の手料理をふるまう。と言えば、喜んで貸してくれるでしょう」


 それを聞いて瑠偉は、何かの陰謀を感じとった。また、私をはめようとしているんじゃないかと・・・


「大丈夫です。なにも起きませんよ」

「でた、その言葉… なにかが起きる前触れ」


 心配そうな表情になった瑠偉をよそに、ララは領主の館に向かって歩いて行った。


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