第六話ダンジョンマスター、人助け
町を探して、しばらくした頃、少し距離があるが女性の悲鳴のようなものが聞こえてきた。急いで悲鳴の聞こえてきた方向へ行ったところ。
行商人らしき人間とその護衛であろうモノたちが交戦中である、悲鳴を上げた主は馬車の中にいる女性の声のようだ。盗賊たちはかなりの手練れのようで、護衛の人間が防御に徹している。
今のところは、護衛の人間が技術の面で勝っているためなんとか持ちこたえているが、ちょっとした要因で戦線が崩れかねない状況下である。ここで、行商人であろう人達を助けてもいいのだがどうしたものか。
助けるか、助けまいかと考えていると頭に声が聞こえてきた。
神様(カズナリよあの一行は助けたほうが、町に行くときに助けになってくれるはずだ)
俺「え!?神様どういうことですか?」
神様(それはだな、あの馬車に乗っている行商人はこの先にある街ではかなりの有名人なんだよ)
俺「わかりました」
相手が、自分に得な相手だとわかったんなら話が早い。
そして俺は、隠れていた茂みから飛び出し、盗賊の一人を切り伏せた。
盗賊A「ぐぉ!」
その場で戦っていた全員「!?」
いきなり茂みから飛び出してきて、斬りかかった俺に対して盗賊は驚きながらも敵意を、護衛の人たちは一瞬驚きはしたものの好奇だと見て一気に攻めの体制に変わった。
護衛1「援護感謝する」
護衛2「一気に畳み掛けろぉ!!」
敵の数は、ボスらしき人物とその仲間であろう奴らが6名と今切り伏せたやつ。対して護衛たちの方は軽傷を負ってはいるがまだ戦えそうな奴が5名、戦えなさそうなのが2名ほど。
とりあえず、近くにいた盗賊に切りかかってみたが今のやつはそこまで強くはなかった、なのでほかのやつらにも特攻を仕掛けてみる。
キンッ
背後から殺気を感じた瞬間に反応したのが良かったもう少しで俺の首が飛ぶところだった。斬りかかってきたのは盗賊の首領だったようだ。
俺(あいつ、かなり強いな。全く気づかなかった)
首領「今のを防ぐか、なかなかやるな小僧」
俺「おいおい、今のオレじゃなきゃ首が飛んでたぞ?」
首領「何言ってんだ?防ぐので精一杯に見えたのは俺だけか?」
俺「それは、お前だけだよっ!!」
そう言うと俺は全力でやつに斬りかかった。しかし、ヤツは俺の全力の攻撃を受け止めた。
俺「クソッ」
そのまま、相手の方に押し込もうとするがヤツとの力の差はほとんどないようで鍔迫り合いが続く。しかし、ヤツのほうが力が強かったためだんだん押され始めて俺はヤツの剣を流し離れた。離れる時に剣を一回入れたが鎧のせいで深くは切れなかったようで、切り口は浅い。
ヤツは、全力で力を込めていたので流された時に、バランスを崩したようだ。
首領「なかなかやるじゃねえかお前。だが、俺の方がまだ強いみたいだがな」
俺「何言ってる。今俺に一発入れられたくせに」
首領「こんぐれぇかすり傷だ、戦闘に支障はねえ」
俺(クソ、打つ手なしか?だがヤツはただ単に力で押しているからそこが救いか)
首領「何考えてんだ?こないならこっちから行くぞっ」
首領はそう言うと、全力で踏み込んできた。
俺(速いっ)
やつは踏み込んでから、剣を横薙ぎに振るった。それを俺はなんとか受け流しヤツの横っ腹にすれ違いざまに一発入れたがやはり鎧が邪魔して深くは切れない。持久戦に持ち込んでもいいが、相手の体力がどれだけあるかわからないし、もしかしたら俺の体力が先に切れるかも知れない。
俺(やはりここは勝負に出るしかないか)
俺はヤツが体制を戻している間に全力で踏み込み、首もとめがけ剣を振り下ろした。
ヤツはバランスを崩して防御も出来ないで、俺に首を落とされる、だったが振り切ったときに気づいた、手応えがない。
俺はそのことに気がつき全力でその場から離れた。数瞬後、俺がいたところにものすごい衝撃が走り、周りが地震のように激しく揺れた。
その場所には、首領が大きなハンマーを振り下ろした状態でいるのが見えた。
首領「おっかしいな。今のは殺れたと思ったのにな」
俺(なんだあいつ、さっき打ち合ったときはあんな力なかったぞ。)
そう思っていると、あのハンマーから妙なものを感じた。
俺(なんだ?あのハンマー。もしかしてあれに秘密があるのか?)
俺は奴が持っているハンマーに向けてスキル《鑑定》を発動したすると
《盗賊のハンマー》
マジックアイテム
レア度・固有級
効果
使用者が職業盗賊に就いている場合、使用者の力を上昇させる。
という、情報を得られた、つまりあいつの本当の武器はあれでありついさっきまでは、遊びだったというわけだ。だが、そんなことがわかっても仕方がない。
ただでさえ勝てるかわからない強敵相手に更に打つ手がなくなっただけだ、つまりどうしようもない。
そういえば、スキルに身体強化があったな、すっかりその存在を忘れていた。
だが、このスキルを使ってもやつに勝てるかはわからない。しかし、スピードだけならやつを上回れるだろう。これで、通用しなかったら負けは確実仕方ないが行商人たちは見捨てて逃げるしかない、あっちの方は盗賊を倒し終わって首領に向かって構えている状態だ。だが奴らでは勝ち目はない。それに俺もヤツに勝てるかわからない。
とりあえずあっちに、意識が向いたら死角から一気にやつの首を狙う。
首領「どこ行きやがった、あのやろう見つけたらぶっ殺してやる。まぁ、その前に...」
すっと、護衛たちのほうを向く。
首領「よくも俺の部下を殺りやがったな!!」
そう言うと首領は護衛たちに向い走り出した。
俺(今だ!!)
ヤツが護衛たちに向かった瞬間俺は隠れていた、木の陰から飛び出しヤツに斬りかかった。
俺(殺った!!)
そう思った瞬間、やつはこちらに振り返りハンマーを思いっきり振り抜いた。
俺(何!?)
ギリギリのところで《飛行》を使用しよけて、やつのとなりを通る時に足の腱を切ってやった。
これでもうやつは片足が動かないから歩くことはできない。
首領「クソ、こんな野郎にやられるとはな。すっかり体がなりやがった」
俺「そうか?俺相手によく戦えたと思うぞ?」
首領「そうかそうか!よく言うな小僧」
俺「あぁ、大人しく死んでくれよ?」
首領「そいつは無理なこった。最後の最後まで足掻かせてもらうぜッ!」
そう言うとやつは、落ちていたハンマーを握りオレに向かって投げた、いくらアイテムの能力で力が上がっているからといて俺には当たらない。ハンマーは俺を通り越して森の中に向かっていくはずだった。
しかし、ハンマーが向かう先には馬車があった、それに気づき俺は急いでハンマーの柄を握り全力でハンマーの軌道を逸らし、間一髪馬車に直撃はしなかった。
そして、すぐに首領を殺そうと振り向いたらやつはその場からいなくなっていた。
すると、
護衛3「伏せろ!!」
という、声が聞こえ伏せたすると頭上を剣の刃が通りすぎっていた。
俺「足の腱を切って動けなくしたのになんで動けるんだ?」
首領「教えるわけねぇだろ」
俺「それもそうか」
そう言うと俺はやつに斬りかかった。
結果から言うと、俺はやつに勝った。スキルでステータスを上げていた俺にとってはやつはもう倒せる存在だった。やつは、剣で斬りかかってきたが、俺は全てをいなし、着実にダメージを与えていき。そして、ヤツをやった。
ヤツをやって休憩していると行商人の護衛の人たちが応急処置だけ済ませてこっちに向かってきた。
護衛1「ありがとう。君がいなければ私たちは全滅していただろう心から感謝する」
俺「いえいえ、偶然盗賊に襲われている人が見えたので助けただけですよ」
護衛2「いや、謙遜することはない君のおかげで私たちは助かったんだから」
そんなことを話していると。
行商人「この度は本当にありがとうございました。よければなにかお礼をしたいのですが、さっきほどの襲撃でアイテムは大半使ってしまいましたし何もお礼ができません。これぐらいしか払えませんが、お金を」
俺「いえいえ、別に報酬目当てで助けに来ただけではありませんので、お気になさらず」
行商人「ですが、助けていただいたのにお礼もしないのはいけな…」
俺「じゃあ、お願いがあるのですが」
行商人「なんですか?私に出来ることなら何でもしますよ?」
俺「実は、俺最近村から出てきたばかりで、町に入るときに必要な身分証というものがなくてですね。身分証は発行するときに誰かからの紹介であれば、費用が安くなったり、サービスを受けることができると聞いたのです。
そこで、あなたに紹介状と町に入るときの手助けをしてもらいたいのです」
行商人「それくらいなら、お安い御用です」
俺「ありがとうございます」
行商人「それでは、馬車にお乗りください一緒に行きましょう」
そして、俺は町に行くことに成功するのであった。